文明と地図を考える その17 「行基図」③
前回の記事では、「行基図」の世界観について触れてみました。
行基図は、
五街道など、主要街道の大まかなルートは描かれているものの、それ以上の情報の記載が一切ない
=ポイティンガ―図のような「道路地図」ではない。
さらに、海岸線の記載もかなり大雑把である。
つまり、実用性を考えた地図ではなさそうだ…ということでした。
また、古代から近世まで、ほとんど形を変えずに受け継がれているという点も、実用地図ではないだろうという根拠として挙げました。
一方で、地図を描く目的の原点、「世界観を描く」という点にスポットを当て、行基図もそのような地図なのではないか、という仮説を立てました。
今回の記事では、その点について考えていきたいと思います。
というわけで、今回のテーマは
行基図の世界観
です。
まず、改めて行基図を見てみましょう。
上の行基図は、14世紀初頭の百科全書である「拾芥抄」に収録されているものです。
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