キャラ設定に悩んでいた15歳の自分へ / アンジェラ・アキ『手紙 ~拝啓 十五の君へ~』
アンジェラ・アキの名曲
『手紙 ~拝啓 十五の君へ~』が
なぜかふと頭に浮かんだ。
私は、極めて平凡な人間だと思う。
目を引くような個性はないし、
人にアピールできるような特技も資格もない。
趣味は映画鑑賞。
我ながら、容姿も体型も平凡。
「どこにでもいそうな顔」「友達や親戚に似てる」とよく言われた。
成績も普通。ずば抜けて良いわけでもなく、ずば抜けて悪いわけでもない。
ドラマや漫画で言えば、確実にモブキャラ。
絶対に主役ではない。悪役でもない。モブ。
育った家庭もまぁ普通。
経済的に苦しい方だったので多少悲しい思いはしたけれど、両親からの愛情は普通にもらえて、メンタル面はまぁたぶん普通。深刻なトラウマとかは別にない。
悪口を言われたり絶交されたりと人並みに悩んだことくらいはあるけれど、酷いイジメを受けたわけでもないし、クラス中に無視されたとかそういう経験もない。
不登校もなったことない。
セクハラ、痴漢、パワハラなどの
ひどい被害にあったこともない。
ありがたいことに大きな病気や事故もなく、
死にかけたのは出産の時くらい。
今ある悩みも、よく考えればお金があれば解決できる系の悩みがほとんど。
とにかく、可もなく不可もない。
凡人中の凡人なのだ。
不幸な境遇を生きてきた人には
「どこが平凡?十分恵まれてるし平凡以上じゃん」と言われてしまうかもしれない。
確かに、今のところ特に波瀾万丈な人生ではないが、これから何が起きるかは分からない。明日死ぬかもしれないし、大きなトラブルに巻き込まれることだって十分あり得る。アラサー時点で平凡以上な人生なのかを決めるのはまだ早い。
そのため私は常にビビっている。平凡であることへの感謝こそあれど、未来への自信や希望は大してない。アドラー心理学の考え方が好きだけど、素の状態は心配性だしけっこうネガティブ思考、悲観的だと思う。(だからこそ前向きなアドラーが好きなのだ!)
いずれにせよ、良くも悪くも、あまり特筆すべき特徴のない凡人であるということだけは変えられない事実である。
私の人生で起きた悲しいエピソードも、世の中の悲しいエピソード集に比べれば、ありきたりすぎてインパクトがない。(贅沢な文句なのは分かってる)
星野源の曲にもあるように、
「寂しいと叫ぶには僕はあまりにくだらない」
これ。凡人は常にこの気持ち。
そんな感じなので、高校1年生の1学期は自分のキャラが薄いことに結構悩んだ。
私は決して陽キャ1軍キラキラ女子ではなかったが
陰キャって感じでもなかったと思う、たぶん。
文化系2軍?中途半端すぎてなんと表現したらいいかも謎。
それにしても「陽キャ陰キャ」ってなんて嫌なネーミングだろう。これは大人にならないと絶対分からない感覚だろうがスクールカーストってほんとにくだらない分類だと思う。スクールカーストの概念なんて早く滅びろ。
どういう流れかは忘れたが、なぜか私は、クラスのキラキラ女子たちのグループに入っていた。
(なんでだっけ、ほんとに。絶対加入先間違えた)
人をイジるのも下手だし、イジられるのも下手。
横で笑うことしかできない。
恋バナもメイクの話もよく分からん。
みんなと、どんな感じの空気感、距離感、立ち位置でいればいいのかが分からなくて悩んで、しばらくは学校が嫌いだった。
女子トイレにみんなで連れ立って行く必要性が分からず勝手に一人でトイレを済ましたら「なんで一人で行っちゃうの!?」と言われた。
「いや、トイレくらい一人で行けよ」と思った。
連れションの何がそんなに嫌かって、
手を洗ったあと、鏡をじっくり見ながら前髪を丁寧に直す、あの美意識炸裂の時間が苦手だった。
ここで前髪完璧に直してもどうせ廊下出たら風ですぐボサボサだわ。
何より、可愛い友達に並んで自分の顔を見たくなかった。ただでさえコンプレックスだらけの自分の顔面を、可愛い子を見た直後に見るのは耐えがたかった。
一人で行くのを続けていたら、そのうち何も言われなくなって「○○はそういうキャラだよね」と言われた。(おかげで一人でも行きやすくなった)
1学期は、結構無理していた気がする。
でもだんだん慣れていって、グループのみんなも結構良い子たちってことが分かってきて、2学期に入る頃にはなんとなく雰囲気も掴めてきて、そこまで深刻には悩まくなった。
だけど、このグループに属している自分というものが、やっぱりどうしてもしっくりきてはいなかった。
毎日楽しい!自然体の自分!って感じでもないし、だからといって別のグループに移籍するほど居心地が悪いというわけでもなく…、ちょっとだけ無理して毎日頑張っていたような。
でもふと立ち止まると「私ってどんなキャラでいればいいんだろう」とやっぱりモヤモヤ悩んでいた。キャラの迷走。
ある日、同じグループのすごく可愛い子と何かの作業中に、ふたりきりで話すタイミングがあった。
いつもグループで集まっていたので、その子とふたりきりでそんな風に話すのは初めてだった。
THE一軍な可愛くてオシャレな子。
内心ちょっと憧れていたので、彼女と何を話したらいいのかドキドキして緊張していた。
記憶力が悪いのであまり詳しいことは覚えていない。
でも、なんとなく覚えていることがある。
話の流れで、「私なんて個性もないしつまんないよね」みたいな、自分を卑下するようなことを言ったはずだ。
そしたら、彼女は私を見てあっさり言った。
「そう?○○はそのままでいいと思うけどな。みんなも○○のこと〜〜って言ってたよ」
…みたいなことを。
(肝心なところ記憶が曖昧!)
具体的に何を言われたかは、ほんとに忘れた。
でも、その時の気持ちは覚えている。
私は、嬉しかったのだ。
すごく嬉しかった。
「あ、ちゃんと私のこと見ててくれたんだ」と
ホッとしたのを覚えている。
ちょっと無理をしていたとはいえ、今の私のままで、そのままでいいって思ってくれてたんだ、って。
その子は今、絶対にその時のことを覚えていないだろう。(私ですら忘れかけてる)
でもあの時、「え?なんのこと?そんな悩むところ?」くらいの軽いテンションであっさり言ってくれて、私はとてもホッとしたのだ。
あの時のあれがきっかけで、
「もうキャラについて悩むのやめよう」
と思えるようになった。
このままでもいいじゃん、って。
あの頃の悩んでいた自分に伝えたい言葉があるとしたら、なんだろうなぁ。
<高校一年生、15歳の自分へ>
自分のキャラについてウジウジ悩んでる暇があったら、本を読むか、映画を観るか、勉強に没頭しろ。
本や映画は、他人の人生を疑似体験できる。
色んな悩みや、その乗り越え方まで教えてくれる。
所詮、凡人のあなたが悩んでいる悩みなんだから、
過去に同じ悩みを抱えていた人は必ずいる。
乗り越えた人も必ずいる。
良い先生や素敵な考え方に出会えるまで、
本や映画の中を探してみるといいよ。
すごく楽しいよ。
それに、学校でいつも自分らしくいる必要なんてない。一度決めたキャラを一貫させる必要もない。高校生くらいの年頃なんて、みんな多かれ少なかれ仮面を被ってるんだから、全く気にすることない。第一、アラサーになっても自分らしさが何かなんてよく分かってません。
クラスにいるあのクールな彼も、家では実は甘えん坊かもしれない。明るくて面白いあの子も、親の夫婦喧嘩で毎日辛い想いをしているかもしれない。成績が良いあの子も、受験のプレッシャーがすごくて本当は逃げ出したくてたまらないのかもしれない。
私は、社会に出て驚きました。
特に、家庭環境や親との関係が原因で、大人になっても苦しんでいる人が想像以上にたくさんいたことに。
いつも幸せそうに見えた友達が、実は家庭の状況が結構複雑で当時は悩んでいたとか、そういうことはいつも後から知りました。学校で仲良くしているだけでは、全然気付けなかった。
虐待を除けば、貧乏が一番辛くて可哀想だと思っていた。でも違った。人間の悩みの種類は本当に色々あって、感じる辛さも人によって違う。どんな悩みにも優劣はない。
みんな、本当の本当に悩んでいる悩みほど、学校の友達にリアルタイムではなかなか打ち明けられないんだよ。
一見「そう見える」からといって、
中身まで本当にそうとは限らない。
だから、キャラだって同じで、キャラだけで本当のあなた自身を判断されるわけじゃないので、あまりキャラ設定に囚われすぎないように。
同じように、周りの人のことも、キャラや所属グループのイメージだけで簡単にジャッジしないように。それ、ただの偏見だから!
案外、みんな同じように内心は毎日ビビってるから、大丈夫。同じ同じ。どんなにカッコつけててもまだまだ親元で暮らす思春期のガキンチョなんだから。
ちゃんと話せば、意外と気の合う友達になれるかもしれないよ。まずは「この子はどんな価値観を持ってるんだろう?」って相手に興味を持ってしっかり話を聴くこと。
嘘はつかず、誰に対しても親切な態度でいるようにだけは気をつけて、あとは堂々としていれば大丈夫。キャラ設定なんて小賢しいこと考える必要なし!
誰も見てなくても、もう一人の自分は常にあなたをちゃんと見ている。卑屈で小賢しいことばかり考えていると、あなたを見ているもう一人の自分をガッカリさせることになって、結果的に自分をだんだん嫌いになって自信をなくすよ。
だから、世界をひねくれて見るのはやめた方がいいよ。素直に、明るく優しく前向きに考えたほうが何かと得だよ。良い悪いじゃなくて、あらゆる場面で得するの。
「私は強い、大丈夫。」って、
自分を応援して勇気づけてあげてください。
本当に大丈夫だからね。
貴重な高校生活、思う存分楽しんで!
<アラサーになったあなたより>
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