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中国の友人に言われた話。


これは日本人はぜひ外国語を勉強した方がいいと思った話です。


私は中国の各地に友人がいます。
上海留学の時に知り合った人もいますが、日本に帰ってきてから知り合った人もいます。



以前、中国人富裕層向けのツーリズムの引率をしていた時に知り合い、仲良くなってそのまま友人になった方たちがいました。
その方たちは3人で小さな電気商店からビジネスを始め、今や中国でもかなり大きなメーカーとなり世界でも有名なブランドの部品を作るまでとなった、いわばチャイナドリームを実現した成功者たち。

中国人2人と台湾人1名で力を合わせて作った会社。3人とも出身地が違うのですが、ビジネスチャンスを求めて深センに移り住み、そして出会ったんだそうです。(台湾人の方になぜ台湾出たの?と聞いたらこっちの方がでかいチャンスがあったからだけど?と言っておりました)


私のことを純粋に友人として応援してくれ、話を聞いてくれます。私は彼らから中国の文化や考え方を聞いています。逆に、彼らもいろいろと私に日本の文化を聞き、日本人である私の考え方を参考にしてくれるのです。



1年ほど前、私は彼らの持つ工場見学に招待され、彼らの職場を見学させてもらったことがあります。かなり大きな工場でめちゃくちゃたくさんの人が働いていました。
場所は深センから少し離れた田舎です。本社は深センにありますが、工場のみ最近引っ越したとのことでした。
しかし、少し離れた田舎と行っても特急列車(日本でいう新幹線みたいなもの)で数時間行かなければならないところで、日帰りは難しい。決して気軽にいける距離ではありません。中国は広いので、それでも「少し離れたところ」と表現せざるを得ないだけ。

中国にいると距離感がおかしくなります。


その工場があるエリアは開発途中のような風景ですが、まだまだ田舎。かなり不便な場所です。それでも工場監督をしに月の半分はこちらに来ているそうです。


私「なぜ深センから工場だけ引っ越してしまったの?遠くない??」

友「深センは物価が高すぎて。工場の維持にコストがかかりすぎるから移動したんだ。こっちの方が土地も人件費もかなり安いからね。」

私「そうなんだ。土地はまあわかるけど、人件費も場所によってそんなに違うんだね。でも月の半分もこっちに出張なんて大変じゃない??」

友「大変だね。でも仕方がない。」

私「というか、ここ福利厚生すごいね。食堂も無料だし、テニスコートあるし、敷地内に寮完備って。あ、物価は深センとどれくらい違うの?」

友「給料は深センの3分の1くらい」

私「やっす!!!!!!」

友「給料をかなり低く設定しているんだ。食事と住むところがあれば生きていけるからね。そして本当の本当の本当に真面目に責任を持って働く、つまり仕事に対する意識が変わったらその後やっと給料を上げていく。
中国人の仕事に対する意識は日本人とは完全に違うんだよ。目を離せばまともに仕事をしなくなったり、サボったり、違う基準で勝手に作り出したり。管理が本当に大変。さらに簡単に仕事をやめるから、あえて食堂や寮を無料にすることでやめにくくしている。
日本人は真面目に仕事をする人は多いから”これをこうしてください”と言えばだいたいその通りに作業をするでしょう。中国人はコントロールを意識してやらないと大変なことになる。特にうちは大きなメーカーの顧客も多いからかなり気をつけてる。」

私「そうなんだ…そりゃここに張りついてなきゃいけないね…」




仕事に対する考え方の違い

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日本人は「やりがいを求めて仕事をする」というけど、中国人は「生きるために仕事をする」と聞いたことがあります。仕事に対する考え方が違うんです。


最近は仕事に対する意識も変わってきている人も多いです。が、全ての人がではないので、立場が上の人がどんなに意識高く取り組んでいてもそれが現場の作業をする人にまで及ばないことが多いのだそう。
人口も多いし貧富の差や学力の差もまだまだ大きいので、仕方がないのかもしれません。

なので中国では億を超える新築マンションでも水漏れが起きたり、穴が空いていたり、簡単に設備が壊れてしまったりします。
これは、現場をまとめる建築士が設計図通りに進めても実際に作業する人たちが文字が読めずに伝わっていなかったり、こっそり手抜き工事をしてごまかしたりするからだそうです。

以前上海で3億円くらいの物件を見せてもらったことがありまして、その階の部屋の壁を全部ぶち抜き、エレベーターから出たら自分ちの玄関があるような、内装にもかなりお金をかけたであろうマンションでした。
(中国では家を買ったらだいたい内装を自分好みにやり直します)
一見めちゃくちゃ綺麗なんですが、よく見ると窓のたてつけが悪かったり、フローリングが若干凹んでいたり、板と板の間に隙間があったりして
「え?これが億ション?日本の2000万円くらいの家の方が断然綺麗…」と思ったことがありました。

また、上海の友人が日本に遊びにきた時に日本の真っ赤に塗られた橋を見て
「日本人は赤に塗ってと言えばこういう風に綺麗に塗り上げるでしょう。中国で同じようにこの橋を赤に塗ってくださいと言えば”だいたい赤かな…?”って感じになります…はぁ…」
とため息をついていました。

中国人の間でもいろいろとギャップがあり、苦労しているようです。

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言葉以外に必要なもの

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友「MOMO。確かにあなたはこうやって中国語を話せるよね。でもうちの会社にはあなたよりもはるかに上手に日本語を話せる人がたくさんいる。でも私たちは彼らに高い給料を払わない。なぜだかわかる?」

私「確かにそもそも中国には日本語がうまい人がたくさんいるよね…なぜ?わからない。」

友「それはね、彼らは”日本語を上手に話せるだけ”だからだよ。」

私「上手に話せるのはいいことだけど…?」

友「人が発言する時は何か意図や思いがあって発言するでしょう。彼らはそれを汲み取ることができない。背景を察することが出来ない。気遣いが出来ない。上手に話せるだけなら翻訳アプリを使えば事足りる。
日本人であるあなたはそれができる。少し中国語が間違えていても伝われば問題はない。それよりも重要なのは相手の意図をきちんと理解した上で発言することだ。中国人は自分の主張ばかりをしてしまう。自分の考えを織り交ぜて翻訳したり場合によっては勝手に自分の都合で交渉しだしたりするんだよ」

私「勝手に相手にギャラの交渉とか?」

友「うまくこいつを説得してやるから報酬を分けてくれとかね。こっちにはばれないだろうと思って自分の利益のために動き出すから信用できない。大事なのはこの人に交渉の内容を見せても良いと思える信頼だ。もちろんあなたは友人だけど、それでも毎回通訳を頼むのは日本人で信頼できるからだ。」



私はよく、「日本人でありながら中国語を話せること」はブランドだと言っています。

確かに日本語を話せる中国人は本当に多いです。
昔、関西空港の免税店の化粧品売り場で中国語担当スタッフとして働いていたことがありますが、従業員の8割は中国人・1割が日本人・1割が韓国人とフィリピン人というような割合でした。(今は日本人はもっと減っていると思います)

どの外国語を勉強する時も直面することは「日本語にない単語」があることだと思います。独自の文化によってその国にしかない言葉があるのです。

それは中国語も然り。なので中国の文化背景を理解している者が発する日本語と日本の文化背景を理解している者が発する中国語は、単語のチョイスが違ってくるのです。
例えば「ちょっと」とはどのくらいなのか?それこそこの文章の冒頭に出てきた距離感。「ちょっと離れたところ」は中国と日本で違うのは明らかです。

また、実際に意味を間違えて覚えている単語も多いです。
文化を知らないので理解ができず、独自の見解で翻訳した結果、全然意味が違っていたり。前後の文章によって意味が変わるような単語もあるのでそういったことはネイティブでないとなかなか気づけません。


もちろん友人がいうような中国人通訳ばかりではありません。しかし、確かにそういうことをする通訳がいるのも悲しいですが事実です。


通訳・翻訳の仕事をしている友人が
「できれば翻訳の仕事はしたくない。なぜなら翻訳は文章で証拠が残るから。もしそこで自分が間違えていたらわかっちゃう。通訳で話すだけなら自分が間違えていてもわからないからできるだけ通訳の仕事だけやりたい。」
と話しているのを聞いたことがあります。

これは文化的な問題で、中国人は「簡単に謝ってはいけない」という文化背景があるからこその思考回路なのかな〜と私は思っています。
間違えていることがはっきりしてしまっていたら謝らなければならないですもんね。出来ればそういう状況にしたくないから、というのがあるのだと思います。


だからこそ、日本人であり中国語を話すことはブランドになるのです。
でも大学で中国語を第二言語で選択する人は多いけれど話せるまでいかない人が多くてもったいないな〜と思います。
日本人のパスポートは最強と言われていますが、世界的な信用を利用しない手はないです。


また、ビジネスの際に初めて通訳をつけるときは気をつけましょう。
ある程度自分で理解できるくらいに単語や簡単な文章を覚えておいたり、コストはかかるかもしれませんが、本当に大事な商談の場合は中国人の通訳と日本人の通訳を1人ずつ用意すると一番確実です。

もちろん、日本人通訳の場合は中国の文化を知らないので、ビジネスの進め方や中国の共通の認識、社会背景などはわかりません。そういったことは中国人の方がよく理解しています。
なので私は中国人の通訳が悪いと言いたいのではなく、それぞれにメリットがあるので、日本語を話せる中国人が多いので中国語を話せる日本人の割合を増やしてバランスをとった方が間違いがないのでは?と思うのです。お互いの認識にズレがないか?をすり合わせながら話を進めれば誤解も生まれません。



海外の友人から聞く話は自分の知らないことや発想できないような考え方も多く、興味深くて面白いです。

みなさんぜひ中国語………いや、外国語を勉強してみてください!

よろしければサポートをお願いいたします!頭の中には文章化したい事柄がたくさんあるのですが、なかなか筆が進まず・・・。楽しみにしてくださる方がいらっしゃるとより一層頑張れる気がします。