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【下駄の日】普段履きhistory & これから(と、ある店と芝居)

突然ですが下駄は好きですか。
花火大会の時しか履きませんか。
そもそも今年各地の花火大会はあるんでしょうか。
ちょっと下駄を勝手に語ろう、普段履きの。

ジーパンとTシャツとかに下駄。
ちょっと前までの、我が夏styleでした。

学業をしながら演劇をやっていた頃からです。

下駄で走り込み(稽古前のトレーニングの一種)とかしていました。
「お前は鬼太郎か」
「ちゃいます、じゃりン子チエです」
夏は下駄を履き、冬は綿入れを着、片手に竹刀を持っている演出でした。
殴りませんよ! ネタですよ!

眉を顰める人も多いかもしれません。
竹刀を? ちゃう。下駄に。普段着に下駄を。
うん、そうでしょう。よくわかります。 

が、私のコレはいろいろの末、
Professionalたちからの「公認」のようになりました。

え?

大学を出て、喜劇作家の老・大センセーの私塾(など)で学んでいた頃、
同時にバイトをしていました。このときも下駄。
なんか昭和レトロな大阪観光フードテーマパーク。
だから制服は着物、足元は下駄。
簡単な下駄はどこでも買えますが、いっぱしの履物屋で買うてました。
当時、職場のあった難波のど真ん中にはまだあったのです。
めちゃくちゃ賑わってるミナミのど真ん中に老舗が、ひっそりと息をするように。
「ガラーン」とした店に飛び込み、
店主のおじいちゃんから下駄を買わせてもろてました。
「おっちゃんはな、寛美さんの履物もいっつも見立ててたんやでぇ」
驚きながらも歓迎をしてくれました。

そんな寛美さんの台本を(吉本の作家ながら)書いていた老・大センセーにも言われていました。
「おまえ! なんで下駄やねん!」
「似合てるっしょ?!」
「俺も長いことやってるけど下駄履いて酒呑みに来る奴初めて見たわ!」

その後いろいろ省略(長いから)の後、
特別番組で地方の古い商店街のリサーチと取材に行ったとき、
ふるい履物屋をみつけ、飛び込んだこともありました。
世間話をしながらあたらしいものをあつらえてもろた。
「おっちゃん嬉しいわ、あんたみたいな若い子ぉが履いてくれてな。毎日履いてや」

旅芝居を知った初期も、つっかけて観に行ってた。
昨年引退もとい勇退をした私的superstarを最初に観た頃です。
Starはツッコんではくれませんでした。当時、超とがってたからなー(笑)
でも彼と仲が良く、もう今は居ないゲスト先の副座長がよく「アホか!」と笑ってくれました。

でもだんたん履いていかなくなりました。なんだか格好悪く恥ずかしくなってしまったのです。

うん。

しかし、6年程前。
とある最後の(私的には)役者さんと仲良く(?)させていただくようになって。
地元の老舗、素敵な老舗に連れて行ってもろた。
89年続く店です。
一心不乱に作業をする御店主、棚にはミュシャや北斎や数々の美術展の図録。
店内にはオリジナルの、いかついものや、アートなものや、安いものや高いもの。
その昔、若い頃には男物の下駄に女物の鼻緒を合わせたり、など、
よく言えば粋、悪く言えば「かっこつけ」「いきってる」ことをしていた
件の役者さんはずっと講釈をたれていました。たれながら、毎回、何足かあつらえていました。
そして、私も。

ここで買うた、ええやつ。
勿体なくて、履かず箱に入れたまま直してありました。
正直忘れていたのです。閉まったままでした。
なんかもう「自意識だだ漏れ」なのが恥ずかしいなー、とか思うようになって。
昔はしょっちゅう柄物の服やエスニックなファッション、変な柄のTシャツなどを着たりしていました。
それすら、なんか最近、「漏れてるなー」と思うようになって。
いや、他人がじゃなく、私がということですよ。
これは、本当に大好きな世界や守りたい人や人々や世界やものが出来、だから、変な目立ち方じゃなくちゃんと、って思うようになったから、というのが大きいのですが。

ああ、でも履こう。履こうかな。と、なんだか、ふと。
歴史とともに。
初心に戻る気持ちなどで。
良くも悪くもとほほにも。
それも、そんなんも、わし、私、今の。
ははは。ふふふ。うふふ。

という訳で、きのう、新しい下駄をおろしました。
直してあったそれ。
トップ画像のやつ。

金栗四三? それは足袋。陸王? それも足袋、いや靴。チンピラ? かまやつひろし?
一人大喜利しだすときりがないね(笑)

で。
こんなアホみたいな文も、
気が向いたときにちょいちょい書いて行こうかな、と思う今日この頃です。
あれやな、文、ていうか、長いTwitterみたいや。初心。そう、初心。と、ええように言うてみる。

暑い。毎日暑いですね。暑いですが。
ほんと、眉をひそめるようなことや、ギャグみたいなこと多々、
いや、ギャグも笑えない世の中ですが。
どうぞ、どうぞ、皆、お体に気を付けて。無理のないよう。
バテぬよう。良い夏を。
また元気で会いたいです。嘘臭く聞こえるかもやが、ホントほんまです。 

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(毎週木曜日のルーティンで観る電車内からの光景。関西内やで(笑))

ちなみに……。
下駄って、鼻緒の付け根(っていうのかな)ギリギリまで足を突っ込んで
きっつきつで履くのって、粋ではないのですって。
鼻緒にね、いや、鼻緒をね、足の親指と人差し指でクッと摘まむというか挟む……くらいにして、
下駄の後ろから踵が出るくらいってのが、「粋」なんですって。
深々と履くのは野暮そのものなんですって。 引っ掛けるように履くのがスラリ綺麗なんだとか。
キザな粋ジジーが言うてました。
御店主も笑って頷いていました。
でも、これ、なかなか難しいねんなー、コケてまうねんなー。
ゴソッと親指人差し指を鼻緒の向こうに入れちゃうのと比べて、綺麗に見えるのはホント!
とはいえ、なかなかそんな履き方してる役者さんなどももう見かけませんね。

粋にありたい。

私はカッコつけたり偉ぶったり賢そうにしたりするのが好きじゃないので、
なんかそうゆうの逆にカッコ悪いなあとか
粋じゃないやんと思ってしまうので、粋人への道はなかなか遠そうです。
粋にありたいが、
でもそれよりその前に、
もっとちゃんと、ちゃんともっと、優しく強く、強く優しくありたいなあ。
これが一番難しいすね(笑)
ちょっとはカッコつけるくらいであってもええんかもな、いや、あらなあかんのかもな(笑)

精進します。

てか今日7月22日が下駄の日って今知った、ミラクル、わっしょい!(笑)

■omake■
最後にご紹介した下駄屋さんは、
北九州は小倉、魚町銀天街の「カクシン履物店」。
何足も愛用し履きつぶしましたLOVE!
近年、大好きな世界と方と方々のおかげで、
小倉にはちょいちょい行く機会ありなんですがなかなか寄れていません。また寄ろう。

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■omake2■
下駄が印象的……というか、
Keyな小道具となる旅芝居の芝居といえば『長崎の女』。
任侠純愛古典芝居、九州系の古い芝居ですね。
春日八郎の曲じゃないよ。
が、同じく昭和歌謡にある『オランダ坂に雨が降る』という同名タイトルで演じている劇団もいくつかありますね。

いろっぽい芝居です。古い。けど、だから、とても、いろっぽい。

いろんな人が演じたいろんなエピソードを聴きました。
幻の口立て台本も持っています。私的にも懐かしき一本です。また改めてちゃんと書きたいこといろいろ。

中盤に、いいシーンのいい役で下駄屋(正確には「歯入れ屋」)が出てきます。
この下駄屋の役を好んでやりたがった、というのが、故・深水志津夫。
私も映像でしか観たことがないけど。あー、観たかったなーこの役。絶対格好いい。

古い芝居の話、古い時代の役者や劇団・劇場の話、だいすきです。
いや、それでも、それを踏まえて、「今」を見ていかな、やけど、ね。

【プロフィール】
大阪の物書きでございます。
大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
下町・大衆文化も好きです。
女2人の立ち呑み旅も連載中。現在第9回まで更新中。

そして「大事な場所」にまつわる連載も、第2回まで。もうすぐ第3回アップされ!る!


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