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演歌とソウルと峠の話

演歌の歌詞の大半は「アウト!」だと思っている。
笑えんけど笑えたり、笑わなしゃあないレベルで笑ったりする。笑えない。
例えば、ちびまる子ちゃんが歌うことでもお馴染み、
殿様キングスの『なみだの操』、あれ、あかんやろ。
おっさんが歌うからよりキモいと思ってしまうのかもしれない(失礼)
 
似た系統の「塩辛声のおっさんが歌う古い女(男にとっての都合のエエ女)の歌」といえば宮史郎とぴんからトリオの『女のみち』もある。っていうか、こっちが先。
この歌は旅芝居界でも1,2を争うイケメン座長が女形で踊っていたのを見たことがある。
なんでこの曲なん? 塩辛ダミ声の中のきれいな女形君の胸元は満開に咲いた。
なにもおもしろくないけどめっちゃ笑った。
 
これら殿さまキングスだの宮史郎とぴんからだのの
あの一体どないしたらそんな声になるねん的塩辛すぎる声で唸る女ごころの歌は当時の夜のおねえさんたちを中心にめちゃめちゃ売れたらしい。
ああ、人間はまことに厄介で、だから、人間だなと思う。
 
演歌は古い。
忠義、尽くす、主従なんちゃら、耐えるが美学、兄貴と俺、故郷に錦、俺のふるさと。ぱっと咲いてぱっと散って。男の涙。待つ女。背中を向けて去る男。耐える女。しのぶ恋。むせび泣く。あなた死んでもいいですか。
知るか。
 
でもね。
絶唱とも言えるような唸りや節、まわすこぶし、眉間の皺、
成金な着物やスーツ、濃い化粧、ウォータードレスで、
その人情や道徳節はひとつの「型」なのだろう。   
そして、ソウル、なのだと。
 
先日夜中にいきなり『人生峠』という歌を思い出した。
村田英雄御大の1曲。御大の歌の中でもかなり後半のもの。
タイトルだけでもう内容が想像できると思うが、
演歌をパターン化して分類すると出てくる「応援歌」「人生の応援歌」のうちのひとつ。
2番以降の歌詞をみると「応援歌」というか「夫婦もの」となる。
あきらかにターゲット層(聴く年齢層)にロックオンした内容のいわゆる「ええ話」的、な。
明るい曲調とあの声で「とぉぉげぇぇぇ」って歌われると、
具体的な内容が飛ぶくらい、どうでもよくなるような何かがある、いや、何かもあるのだろう。
わけのわからないソウルのようなものに満ちている。
 
旅芝居で古くから踊る人が居た、おれも若い頃踊っていた、と、中年の役者から聞き、観て、知った1曲だった。
その役者は今思うとクズだった。どの面下げて応援歌を?である。いや、ほんと。
が、クズだからこそ、クズな自分を鼓舞して日々生きる、生きなあかん、と思っての選曲だったのだろうか。かもしれない。ほんと、旅芝居はクズだ。人間だ。
 
この歌に関しては世界的に有名なちんどん屋会社の社長も以前語ってくれた。忘れられない。
「約40年前の町廻りの際は親方の希望で『人生峠』ばかり。
新世界市場の宣伝で夕陽ヶ丘の坂を登ったり下ったりしていた」
 
先日夜中思い出して某動画サイトで聴いていたら、氷川きよしのカバーバージョンを見つけた。
あっかるい声で朗々と「じぃんせいとぉぉげぇぇぇ」、しばらく頭に残った。
だって、あの、あれから今の氷川きよしのことを重ねると。
 
峠って漢字は味がある。
山を、山の、「上」「下」、
のぼるんやなあ、くだるんやなあ。歩くねんなあ、越えるねんなあ。

ソウルと共に。
 

今日もさらっと。
同じテーマのさらっとじゃなく暑苦しい版はこないだ書いたこちら、かもね、です(笑)
 



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大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
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舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。

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