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夏屋の店じまい

夕方の風が、少し軽くなった。夏特有のずっしりと湿った風のあいだに、軽く爽やかな風がまじっている。今年の夏も、そろそろ終わりかな、と思いはじめる。

思いたって、夏屋に連絡をとってみた。夏屋というのは夏のあいだにだけ営業している店なのだが、その店もそろそろ片付けはじめるだろうか。その前にいちど顔でもだそうか。などと考えていたのだ。

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夏屋からの返信(透明な便箋に入っていた。どうやら夏らしさの演出らしい。)によると、やはり今年はそろそろ店じまいらしく、さらに気の早いことに冬屋の店長も休暇を切りあげて帰ってきたそうだ。

こうも早く帰ってこられてはみんな困ってしまうのだが、冬屋も今年は気合いが入っている様子だということだった。

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帰りしな買い物に寄ると、発泡酒の缶が花火柄から紅葉柄に変わっていた。
夏屋の店長は店じまいを終えたら休暇にでかけるという。来年の梅雨まで、どこか暖かいところで過ごすということだった。

少し寂しいながらも、この夏のキラキラとしたピースを思い返す。
さよなら夏、また会う日まで。

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▼夏屋の話はこちらから🎐🌺
https://note.com/monetmonu/n/n92c9aa73c71c

美味しいお酒を一杯飲んで、そしてそのぶん幸せになります。一緒に呑みましょう。