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この本の、この一節(5)

「多くの人が強固で迷いのない精神を望み、欲するだろう。

しかし、目の前の弁造さんのように急に自信を失い揺れ動く精神が抱く確かさはどうだろう。

その揺れを見つめることの正直さと強さはどうだろう。

信念を持ちながらも、揺れることを見つめ生きていること。

この心の在りようにこそ僕が触れてみたいと切望した"生きること"の中心があるように思えた。」

(『庭とエスキース』奥村淳志)


これまで積み上げてきたもの、

それが一瞬で崩れ落ちる衝撃に

激しく動揺しながらも、

目を背けることなく

自身の心の深奥を見つめ続け、

自分を打ちのめした対象に

真っ直ぐに向き合おうとする

その真摯な営みこそが、

その人の「本当の強さ」であり、

最も尊く語られるべき真実だと思う。

どんなに熱い志で事を成し遂げようと邁進している人であっても、

時に暗い陰に覆われて身動きが取れなくなってしまう瞬間があるだろう。

その陰をどう捉え、浄化し、次なる飛躍につなげてゆくのか、

その過程にこそ、

その人の真価が問われるのだと

勇気がもらえた一節。

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