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【ルーツ旅🌺高知編・一族の末裔にバトンを渡す⑥】この神社の下に埋められたものの正体を探る✨

【これまでのお話】
七人の郎党のお墓を見ながら歩いていたD花さんが、突然声をあげました。

「これって、五輪塔じゃないですか?」

私は、ほこらのそばの地面から出ている丸っこい石に目をやりました。

▼この石柱の正体は?

わずかに顔をのぞかせていたのは、奇妙な形の石柱でした。


こけしみたいな円筒型の先に、輪っかと玉型の石が乗っています。大きさは、せいぜい20センチぐらいです。

▼普通の五輪塔とは違うような……

その時は3人とも、

きっとこれは五輪塔の先頭部分で、長い間に地面に埋もれたんだろう

との意見で一致したのですが、私はなんとなく、

五輪塔ってこんな感じだっけ……?
と違和感を感じたので、東京に帰ったあと改めて調べてみました。

私が以前撮影した、筒井氏の五輪塔はこちらです。

ご覧の通り、五輪塔は普通の墓石よりも立派な形をしていて、上から「空・風・火・水・地」という宇宙の五大要素を表す石から出来ています。

私は、地面から突き出していた丸っこい石が、五輪塔の先頭部分にしては小さいことと、上から3つめの石がまっすぐなことに違和感を感じたのです。

▼これは宝篋印塔ほうきょういんとうでは?

私はネットで検索するうち、似たような形をした石塔を見つけました。

宝篋印塔ほうきょういんとうです。

これなら、先頭部分が細長くて小さいので、あの石柱と似ています。

Wikipediaによると、

宝篋印塔とは、供養塔、墓碑塔として、五輪塔とともに多く造立された。形状がシンプルな五輪塔が僧俗を問わず多くの階層で用いられたのに対して、装飾性の強い宝篋印塔は、主に貴顕の間で用いられる傾向がある

Wikipedia「宝篋印塔」より

さらに次のホームページによると、宝篋印塔は、

100年以上前の先祖を供養するためのお墓」とも言われ、現代でも、特に先祖代々の家系図が残る名家や旧家のお墓、寺院の歴代墓などで、遠いご先祖様の供養のために建てられることがあります。

「お墓きわめびとの会」より

つまり、宝篋印塔とは、五輪塔よりも格式が高く、個人墓というよりも、先祖を祀るための石塔のようです。

へえ~。こんな辺鄙へんぴな高知の山奥に、そんな立派なお墓を作ったとしたら、石を運んでくるだけでも大変だっただろうな~💦

▼裏付けとなる事実があった!

実は、これが宝篋印塔であることを示す有力な事実があるのです。

K太郎さんによると、そもそもこの場所に神社が建てられたのは、約60年前、この地中からあるものが発見されたことがきっかけでした。

(詳しくはこちら⤵)

当時、このあたりにあった大きなナラの木の根元に、何かが埋まっているようだということで村人が掘り返したところ、大きなカメ(甕)が出てきました。

カメの中には、川原にあるような青色の小石がたくさん入っていて、そこには梵字が書かれており、その上に折れた短剣が置いてありました。

それを見たエラい人が、『こりゃあいかん、埋め戻したほうがええ』といったので、あわててみんな、カメをまた元通りに埋め直して、その上に神社を建てた。

……そんな話でした。

これが一体どういう意味なのか、私はずっと疑問に思っていました。
だって、地面の下から梵字が書かれた小石がたくさん入ったカメが出てきたので、あわててみんなで埋め戻して神社を建てたなんて、わけがわかりませんよね。

きっと人の埋葬に関することなんだろうという気はしましたが、カメに入った小石の意味がわかりませんでした。

▼神社の下に埋められているものは


その後、D花さんが、こんな情報を送ってくれました。

川原石の梵字が気になり、調べてみたら、気になるページに行き当たりました。
川原石に梵字を書いたものを礫石経れきせききょうといい、富山市で宝篋印塔の移設工事の際、大甕に入った礫石経がたくさん出てきたそうです。

その「医王山東薬寺の礫石経の発掘」というサイトに書かれていたのは、次のような内容でした。

・平成19年、あるお寺で宝篋印塔を移設する工事をしたとき、塔の真下から大きなカメが出てきた。

・カメに詰められていたたくさんの川原石には梵字が書かれており、「礫石経れきせききょう」といわれるものだった。

・どうやら文化4(1807)年、そのお寺で宝篋印塔を建てた際、供養のために、礫石経を詰めた大ガメを、宝篋印塔の真下に埋めたらしい。

と、いうことは……。

Y神社に埋められていたこの丸い石柱は、やはり宝篋印塔の先頭部分だったんだ。

そしてそのそばには、いまも礫石経を詰めた大ガメが埋められている……。

やはりこの村の伝承には、根拠があったんだ。

私の胸は高鳴りました。

(続く)
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