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「全国最中図鑑」69 飛騨街道 旅がらす(岐阜県高山市)

飛騨高山の和菓子店「まるでん池田屋」の「飛騨街道 旅がらす」は、飛騨情緒あふれる個性的なもなかだ。
飛騨街道は、越中富山と飛騨高山を結ぶ街道で、江戸時代は富山でとれた「越中ぶり」を大量に運んだことから「ぶり街道」とも呼ばれた。もなかの形を表した「旅がらす」とは、定住の地を持たず旅から旅へと渡り歩いていた渡世人のことで、三度笠を深く被ってマントをまとった姿は、まんま、さすらいの旅がらす。への字の口がユーモラスで、見ていると思わず頬がゆるんでくる。旅人をイメージして作ったそうだが、頭には耳があり、どう見てもキツネかタヌキにしか見えない。そんなところもご愛嬌だ。
ちなみに三度笠は菅笠の一種で、江戸時代に三度飛脚(毎月三度、江戸と上方を往復した町飛脚)が使っていたことからこの名がついたとか。被る角度がとても深く、「大深」とも呼ばれたらしい。
この三度笠も紙で作ったマントも取り外せる。バランスをとるために、あんは胴体部分にだけ詰まっている。どこから食べていいか迷うが、水飴でねっとりとした粒あんはちょうどいい甘さで美味しい。

まるでん池田屋
高山市昭和町3-178-7


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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。

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