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「春くん」という男の子

ある日のいつもの婦人科の待合室

待合室の片隅に
絵本やオモチャが置いてある「幼児コーナー」がある

1歳くらいの男の子がトコトコ歩いてきて
わたしに絵本を差し出してきた

「絵本読んでほしいの⁈」
そう聞くとコクンと頷く

「どうもすみません ハル〜」
トイレから出てきたお母さんらしき女性

「ハル君っていうんですか⁈」

「はい」

わたしの右足にピタッと身体を寄せてきて
ハル君が早く読んでと催促する

その絵本は奇しくも「お月様」の絵本🌝

読み始めたのだけど
まだ内容がハル君には早いかなという感じ

「上手ですねー^^」ママに褒められる

「一応保育科出てるのw
子ども大嫌いだったんだけどねw」

「えぇ???」ママに爆笑される


よく見ると絵本の右上にお月様の絵

ページを捲る毎に
満月から少しずつお月様が欠けていく様子が描かれている

「見て!ハル君
お月様食べられちゃったよ⁈」

ページを捲ってみせる

でも キョトン⁈という感じw

少しずつ欠けても判りにくいかな

一気に「満月」から「半月」へ
ページを飛ばして見せてみた

「お月様食べられちゃった!パクッ!」

4本の指と親指をくっつけてパクッ!とやってみせる

すると真似をしてパクッ!とやりながら
ニコニコ顔で返してくる^^

自分でページを最初に戻し
何度もパクッ!っとやりながら
わたしの顔を覗きこむ

パクッ!する時に
同時に頭まで動かしててかわいい( *´艸`)

「あはは 可愛い^^
これからもっと可愛くなりますよー!
特に男の子はずっとママの味方だし
ずっと可愛いから^^
今は大変でしょうけど」

「ぜんぜん喋らないから心配なんです」
とママが不安気に言う

「1歳くらいでしょ⁈
男の子は遅いし個人差もあるから
特に女の子とは比べない方がいいかな
女の子は断然早いから」

「引っ越して来たばかりだから
比べる対象がいなくて^^:」

「どちらから⁈」

「愛知県の○○です」

「愛知県は名古屋しか行ったことないな」

プロ入り前の「イチロー」に会ったことを話したらビックリしていた

「お子さんはひとり⁈」

「そうです」

初めての土地で初めての子育て
それがどれだけ心細いか想像に難くない

「幼稚園なんかに行き始めればママ友なんかも出来るのにね
公園デビューするしかないかなw」

「ママ同士の対立とかありそうじゃないですかw」

「わかるw
実はわたしも公園デビューはしなかったw」

「えぇ???」また爆笑されるw

「近所に同じ年齢くらいの子は居ないの⁈」

「社宅なんですけど借上住宅だから
誰が住んでるのかもわからないんですよね」

東京あるあるだな…

「お住まいはどちらですか⁈」

「わたしは市内だよ
どちらなんです⁈」

「北区です」

「え⁈そんな遠くからこの病院に⁈」

「ネットで見たら評判良かったので」

「鳩ヶ谷に住んでる男に通い妻やったことあるよ 若い頃w」

「あはは^^通い妻ってw
わたし赤羽の近くの○○です」

「ところでハル君って可愛い名前ね^^
字は季節の春なの⁈」

「そうですー^^」

「もしかして春うまれ⁈」

「ハイ!」

「わたしと同じだぁ^^
春くん!しっかり生きてね!
わたしみたいに"春生まれだよねー"
って言われちゃうからねーw」

そんなことを言いながら
ひとりでソファを登ったり降りたりしている春くんのお尻をぽんぽんしてみる

「かわっっ♡ʾʾ
うちなんてもう可愛くもなんともないよ」

思わず愚痴っていた

「お子さんおいくつなんですか」

「19
今じゃ女の家から帰ってきやしないから」

「えぇ???
そんな大きなお子さんいらっしゃるんですか」

こんなお上手言っちゃうのも よく笑うのも
寂しさの裏返しなのかも知れないな…

そんなことを思っていた

「それにしても予約時間とっくに過ぎてるんですけどまだかなぁ^^:
ここっていつもこんなに混むんですか⁈」

「予約しても日によっては何時間も待たされるよ」

「旦那が帰って来ちゃう…
帰ってきた時に居ないとうるさくって」

「あ〜そのタイプかw
うちの旦那もそんなタイプだった
わたしはとっとと逃げたけどねw

でもまだこんな時間だよ⁈」

「ジムのインストラクターやってるので
朝早いぶん帰りは早いんですよねー」

「ジムのインストラクターで社宅あるなんて珍しいね!いい会社だね!」

「インストラクターというか格闘やってるので… ブラジリアン○○とかもやってて〆°%☆…」

   ???

格闘⁈ブラジリアン⁈
ワックスしか頭には浮かばず…

最近の若者は男性も「脱毛」するというし
なんだか小洒落たお仕事なのねんw

なんて思ってたw

「事情話したら先にやってくれるよ!きっと」

「そうですね!」

𓈒𓏸┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❁𖥧ܾ☼

この話には続きがある……


それから数ヶ月後
同じ病院で偶然の再会♪

「あれ⁈春くん⁈」

「あぁー!偶然ですね!春ー^^」

ママに言われて最初はキョトン顔だったのだけど

「春くん覚えてる⁈」

「お月様パクッ!」

とやってみせたらなんと覚えていて
あの時と同じようにパクッ!とやってくれた^^

「ママ友出来ました⁈」

ママに聞いてみたけど 首を横に振った


春くんに靴を履かせ 帰るママの後ろ姿に

  *ˊᵕˋ)੭がんばって^^

心の中でエールをおくった

𓈒𓏸┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❁𖥧ܾ☼


その人を最初に見た時
Σ(∀ |||) ゲッと思った

旦那と同じ「波動」をもっていた

おまけに後ろ姿のライン
特に首から肩にかけてソックリだった

ムリ…( = =)

なのでそれきりだったのだけど…


ずいぶんと経った頃
たまたま見かけてしまう

お誕生日だったらしい

そしてなんとその日は
旦那の誕生日でもあったのだ

なんて恐ろしい偶然…

同じ波動に 同じ誕生日
おまけに経歴や言うことまでそっくりではないか

しかもこの波動はあまり良い波動ではない

「命知らず」

ジャーナリストだった旦那は
この波動のままに生き
2004年に中国で首を切られて亡くなった
遺体は未だ見つかっていない


なるほど…
旦那が差し向けたんだな
それでわたしに何をさせたい⁈

そう思っていたのだけど…

春くん!君だったのかな^^

君が見ているお月様は
今どんなふうに見えているのでしょう

パクッと食べられちゃったお月様は
また少しずつ膨らんで
丸ぁるいお月様に戻っていくんだよ

そのことを教えてあげれば良かったな

まだ小さい君には理解できる筈もないけれど…


春くん!君ならきっと大丈夫^^

ママは君が守るんだよ👍
これは男の子全員に言っていることだけどねw

そしていつかは雪解ける
いつか君も大人になる

それからね
わたしの霊感が正しければ
君は圧倒的にパパ似だ^^

✨ ー・ーー・・ー・ーー・・ー・ーー

追記

春くんでトロフィーもらっちゃった🏆◡̈⃝︎⋆︎*

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