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紅い瞳の白いウサギへ。 【詩】


ひどく白い貴方へ。
ひどく白くて紅い貴方へ。

・・・・・・貴方はいつ消えるのですか?


こうしてあたしは生きているのです。
こうしてあたしは生きているのです。
こうしてあたしは生きているのです。

・・・・・・貴方は生きているのでしょうに。


マザーグースを、グリム童話を読んで。
貴方の瞳は真っ直ぐ前を向いているのです。
そうやって、真っ直ぐ前に地獄を見ているのです。


あたしは気付かなかった。あたしは気付かなかった。
ただ貴方はひたすら前に歩いていく人だと思っていたのです。


ただただあたしが泣いた時も、貴方は何処かへとんでゆくのでしょう。

ただそれはあたしという存在が空気である以上極自然のことなのです。

貴方があたしを殺しにやってきます。
あたしはいつもそれを待っている。
潰れていくあたしに、貴方が一瞥する瞬間を待っている。


あたしの命のカケラを貴方にさしあげましょう。
貴方がそれを食べてくれさえすればあたしは幸せになれるのです。

貴方がその音達を奏でるえねるぎぃの僅かなカケラにでもなれたらあたしは幸せなのです。


貴方がもし地獄へとんでゆくならばあたしはそのお手伝いを致しましょう。
それが貴方の望みとあらばあたしはそれをかなえるお手伝いをしましょう。
そして貴方がその先に明らかに地獄が存在すると気付いた時には、あたしが生贄になりましょう。
貴方は蜘蛛の糸を地獄で待つ必要はないのです。
どうか、あの広く青い空へ。


ひどく白い貴方へ。
ひどく白くて紅い貴方へ。
貴方の声が聞こえなくなったら、あたしは耳を潰して消えて無くなりましょう。
貴方の声が聞こえなくなったら・・・・・・あたしは自然と朽ち果てていくのでしょう。


―――瞳の紅い白い白いウサギの赤ん坊へ。


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