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バイリンガル子育ての秘訣。話し言葉の発達はコップにインプットされる言葉の量によってのみ決まる

今回リクエストや質問を頂いた中で特に多かった項目5つを記事にさせて頂きます。5回に分けて記事を綴っているのでよろしければ第1・2回目下記記事より順にお読み下さい。

今回の記事は下記の頂いたリクエスト項目に触れさせて頂きます。
・どのような考え方でバイリンガル教育をしているのか
・おうち英語をどうやっているか
・バイリンガル教育で気をつけていること
・英語より日本語を優先させたほうが良いのか

日本に住んでいるけど親のどちらかが英語圏出身。逆に、海外在住だが親のどちらかは日本語圏出身。もしくは日本人の両親であるが子供には抵抗をなくしてあげ可能性を広げてあげたいから英語になじませたたいなど子供に二言語を話せるようになって欲しいと考える親御さんは多いと思います。

この記事では、英語と日本語の二つの言語習得の有効的だと考えられる方法をご紹介していきますので、参考になれば幸いです。

バイリンガル子育ての担い手は親

英語圏で暮らしお母さんの母語が日本語の場合、子どもをバイリンガルに育てることは選択ではなく必修です。人間形成の土台となる母語(日本語)を育て、さらに海外の学校教育(英語)についていける英語力を身に付けさせなければなりません。環境を変えれば自然とバイリンガルに育つのでは?と簡単に考えるのは危険です。海外やインターでは日本語環境が貧弱になりますから、日本と同じ感覚で子育てをしていると子どもの日本語は必ず弱く育ちます母語の貧弱さは第2言語の発達に影響を与えるだけでなく、学業不振や精神不安定などさまざまな問題を引き起こします。
 
また、英語力についても親が苦手だからと学校任せにしていると、学校で要求される学習言語力を身に付けるには母語が育っている子でも5年、母語が弱い子では7年かかると言われています。このプロセスをいかに短縮できるかが子どもの学校適応力を大きく左右します。親は学校との連携を密にし子どもの言語力をモニターし必要な時には適切なサポートを与えることが重要です。

バイリンガル子育ての秘訣

バイリンガル子育てという比較的歴史が浅い分野について知識や経験を共有できる場が少ないのが実情でその結果言葉を育てる時期が混乱してしまったり、優先順位を間違ったりするケースが多いように感じています。バイリンガル子育てはノウハウさえわかれば決して難しくはありません。適切な時期に、適切なサポートを与えていくだけです。そこまでサポートした後は、子どもが生来持つ能力に任せておけば、2つの言葉と文化を身に付けたくましい人材に育っていきます。

バイリンガルに育った人の頭の中がどうなっているのか不思議に思ったことはありませんか?どうしたら日本語と英語を自在に使い分けることができるのか?私たちは英語を頭の中で一度日本語に訳して理解します。バイリンガルも同じように言葉を翻訳しているのでしょうか?

実はバイリンガルの人は頭の中に日本語と英語の2つの思考回路を持っています。そして話す相手や状況に応じて思考のスイッチを無意識に切り替えているのです。彼らは見聞きした言葉を翻訳することなく、その言葉のまま理解することができます。日本語で話す時は日本語で思考し、英語で話す時は英語で思考できるのがバイリンガルです。

2つのコップを満たすこと

バイリンガルは頭の中に日本語と英語の2つのコップを持っています。そして、それぞれのコップがそれぞれの言葉で満たされると、その言葉が口から溢れてきます。話し言葉の発達はコップにインプットされる言葉の量によって決まるということを知ってください
 
よくバイリンガル環境で育つ子どもは発語が遅いと言われますがそれはコップに溜まっている言葉が少ないからです。海外生活では両親が気付かないうちに言語環境が希薄になります。両親は日頃からコップを満たすことを意識して、言葉をかけ絵本の読み聞かせをしてあげることが大切です。

両親が日本人の場合、日本語のコップが先に一杯になるのが普通です。当たり前ですが、両親の母国語が日本語の場合日本語を優先することは必須です。母国語をスキップし英語ばかり意識した場合、母語の貧弱さは第2言語の発達に影響を与えるだけでなく、学業不振や精神不安定など、さまざまな問題を引き起こします。毎日せっせと赤ちゃんに話しかけ、絵本を読んであげれば、2~3歳になる頃には日本語のコップが言葉で満たされ、口から日本語が溢れ出てきます。
 
発語が遅いと心配されている方は、言葉のインプット量を増やす努力をしてください。子どもと一緒にいる時は常に語りかけ絵本を読み聞かせてあげましょう。コップが言葉で満たされれば必ず口から日本語が溢れ出てきます。

日本語と英語は区別する。大切なのは混ぜないこと

英語のコップを満たすには、英語をインプットすればいいのですが、いくつか注意点があります。まず知っておきたいのが、普段日本語を話す両親が、ある日突然英語で話しかけても英語のコップに言葉は溜まらないということ。子どもの頭は話す相手に応じて自動的にコップを使い分けるのです。日本語話者の言葉は、日本語のコップに溜まります。
 
大切なのは言葉を混ぜないこと。「これはリンゴ、英語でアップル」というふうに、日本語と英語を混ぜてはいけない。気持ちは分かりますし、私もやりがちなので注意しないと!と毎度思いますが、日本語と英語をミックスしても、子どもの頭は「日本語」としか認識してくれません。「リンゴ」は日本語のコップ「アップル」は英語のコップというように振り分けてはくれないのです。
 
英語のコップを満たすには、英語だけの情報をインプットすること、英語話者とコミュニケーションをとることが必要です。英語だけの情報や環境に触れると、子どもの思考は瞬時に英語に切り替わります。すると英語のコップに言葉が溜まっていくのです。

英語圏で生活していれば、子どもはいくらでも英語環境に触れることができます。このメリットを言語教育に活用しない手はありません。家庭では子ども向けの番組を見せたり、英語の歌を聞かせたりしてあげてください。そして、家庭の外では英語話者とコミュニケーションする機会を作ってあげましょう。

2つの言葉を与えても混乱しない

日本語と英語の2つのコップは独立していますから、同時に教えても混ざることはありません。言葉を明確に区別してそれぞれの言葉でインプットすれば、それぞれのコップに言葉が溜まります。日本語と英語をミックスして話す子がいますが、それは混乱しているのでなく1つのコップに日本語と英語が混ざっているのです。

両親がミックス言葉で話しかけたり、言葉を翻訳して教えていると、2つの言葉が1つのコップに溜まってしまいます。日本語は日本語。英語は英語。明確に区別してインプットすることを心がけてください。
 
バイリンガル子育てを成功させる秘訣は、日本語と英語のそれぞれのコップを言葉で満たすことです。言語インプットは両親の責任です。英語については、英語だけの環境に浸らせたり、英語ネイティブと関わる機会を増やせばよいのです。

バイリンガル子育ての成功の秘訣は乳幼児期に母語の土台を築くことに尽きる

子どもを将来バイリンガルに育てたいと望むのならば、言葉の優先順位を間違ってはいけません両親とも日本人の家庭では、何よりも子どもの日本語の土台を育てることを優先させなければなりません。というのも、複数の言語環境で育つ子どもは、言葉の軸である母語が弱く不安定になりがちで、その結果情緒不安や学習不振に陥るケースが多いからです。
 
海外で育つ子どもが、母親から日本語を継承することは、自己のアイデンティティーに誇りを持ち精神を安定させ母子関係を形成する上で欠かせないプロセスです。「アメリカで教育を受けるのだから英語を優先すべき」とか、学校の先生から「家庭では英語しか話さないように」と言われたとか、海外ではさまざまな情報によって両親の心が動かされることが多いと思いますが、バイリンガル子育ての成功の秘訣は乳幼児期に母語の土台を築くことに尽きます。周りから何を言われようが、お母さんは自信を持って日本語を継承すべきです。日本語教育を放棄することは将来の子どものアイデンティティー形成はもちろん家族関係にも深刻な影響を及ぼします

0~2歳:話し言葉を育てる時期

子どもの言葉を育てる入り口は親の語りかけです。赤ちゃんは親の言葉か別の人の言葉かが、生まれた直後からわかるのです。考えてみれば、これは当然のことです。赤ちゃんはお腹の中にいる時からずっとお母さんの声を聞いてきたのです。さらに言えば、お母さんの声は胎内振動となってお腹の赤ちゃん全体を刺激し続けてきたのです。子どもにとって、お母さんの言葉ほど影響力が大きい刺激はありません
 
でも、この特権に気付いていないお母さんが多いのです。海外では親が意識して言葉をかけなければ、子どもの言語環境は貧弱になります。親が気付かないうちに、言葉の発達が遅れることが多いのが現実です。
 
家庭では語りかけや歌いかけに加えて、絵本の読み聞かせを行います。絵本は子どもの言葉を育て、感性を育て想像力を育てる最適の教材です。まだ小さいと思わずに乳児にも絵本を読むべきです。最初は言葉の音を楽しめるような絵本をたくさん読んください。

3~4歳:文字を集中指導する時期

話し言葉が育ってきた子どもには、文字チャートや文字カードなどを使ってひらがな・カタカナを教えてあげます。3~4歳に文字は早いのでは?と思う方が多いのですが、バイリンガル子育てでは早期文字教育は必須です。なぜなら、アメリカでは子どもが5歳になる年からキンダーガーテンがスタートするからです。キンダーガーテンに通い始めると、子どもは一日の大半を英語で過ごすことになります。そうすると、日本語の学習効率は必ず下がります。一般的に小学生低学年頃から日本語学習へのモチベーションは下がっていきます。子どもからすると、毎日学校で苦労している英語の勉強が優先であり、日本語は二の次になります。アメリカに永住する家庭の子どもにこの傾向は強く、親がうるさく言ってもなかなか日本語学習が進まないという悩みが多いと周囲の話を聞いていても痛感します。
 
バイリンガル子育てでは弱い方の言葉(海外在住であれば日本語)の文字教育をいかに成功させるかが、学習を継続させ学力を獲得していくカギのように感じます。学習意欲と学習効率が高い幼児期に、集中して日本語の読み書きを教えることが重要です。

5~6歳:読書力を育てる時期

五十音を覚えると、子どもは簡単な本が読めるようになります。そうなったら短い本を与えて子どもの力で読む練習(音読)をさせます。この時に大切なのが、親が同じ本を読み聞かせてあげることです。活字に慣れていない子どもにとって、文字を読む作業は大変な集中力を要します。同じ本でも自分で読むのと親に読んでもらうのではストーリーの理解度が違います。そして、一人で読めるようになったからと読書を子ども任せにせず、読み聞かせを継続する必要があります。

「日本語」の第二言語の取得は選択ではなく必修

我が家の場合、第一言語は「英語」と決めています。しかし、半分日本人の血が流れる息子にとって、お母さんである私の母国語である「日本語」の第二言語の取得は選択ではなく必修です。そして、我が家にとっては第二言語である日本語のコップを満たすインプットの責任は日本人である私の責務であり、英語については夫の責務です。このコップを意識することでしか言語のサポートすることはできないと理解しているので、それだけを今後も遂行していこうと私たち夫婦は思っています。

何ごともやすやすとできることには大きな価値はありません。知識を学び、考え、行動に行動を重ねてやっと成功させたことにこそ貴重な価値が生まれます。簡単ではないかもしれないバイリンガル教育ですが親次第でどうにでもなると理解しているので一緒に頑張って取り組んで行きましょう。



読んでくれてありがとうございます! 頑張っているチームのみんなに夜食をご馳走しようと思います。