見出し画像

タンポンを軽減税率の対象に!ドイツであった鮮やかな訴求方法とは #5

********
【シロウトからみた広告の世界】
広告代理店に新卒入社した、社会人1年目のシロウトが
広告をみて感じたあれこれを
真面目に、楽しく、時に生意気に綴っていくシリーズ。
********

THE TAMPON BOOK

画像1

これは、私が参加しているオンライン広告サークルのADBOXを通して知った、衝撃的な広告作品のひとつです。

女性の方なら当たり前のように知っているタンポン。
生理用品の一つで、毎月約1週間もの間生理と向き合う女性にとっては生活必需品です。

しかし、ドイツではタンポンが生活必需品とみなされず、軽減税率の対象となっていないという問題があります。
ちなみに、日本でも生理用品は軽減税率の対象から除外されています。が、ドイツの税率は日本と比べ物にならないくらい高いです。

ドイツの消費税率はなんと19%。でも軽減税率の対象となれば7%の課税で済みます。

個人差はあるものの、女性にとって生理とは、決して嬉しい期間ではないと思います。
もちろん、生理が来て、子宮を毎月ととのえるおかげで可愛い赤ちゃんを産むことができるのはなによりも幸せなことです。

しかし、例えば私自身は特別生理が重いわけではないものの、
生理前はイライラと食欲・眠気が止まらなくなり、頭痛と腹痛・体のだるさによって、精神的にも肉体的にもいつも通りふるまうことが難しくなります。これがまず、生理前の5日間。
そして生理が始まれば、経血の量が非常に多く、洋服に血がついていないか?という漏れの心配と不快感が一日中続く。血液が四六時中流れ出るのだから貧血になる。生理前からの頭痛と体のだるさに加え、風邪や腹下しとは比べ物にならない腹痛と腰の痛みに苦しむ。そして、自分ではコントロールできない眠気により泥のように眠り続けてしまい、必ず1回は寝坊する。この期間に大事な予定があるともう大変です。
こんな日々が5日間。

1か月のうちで10日間、こんな日々が毎月やってきます。
もうその期間を生き抜くだけでご褒美をもらいたい。道端に毎月ハーゲンダッツがたまたま転がっててくれてもいいくらい。
せめて生理休暇の文化がもっと日本に広まればいいのにと思います。

でも現実は、生理くらいで休む人はあまりいません。
だから、生理でもいつもと変わらぬ日常をこなさなければならない。
そのために必要な頭痛薬が、1000円。1回2錠で20錠入りのイブエーがこの10日間でなくなります。
そして1回の生理で必要な生理用品が、500円分くらい。
これを毎月、約40年間。

(1000円+500円)×12か月×40年=720,000円。
72万円、かかるのです。

これを見てどう感じますか。
普通に生きるために、女性であることによってかかるお金です。

「女性を敬え」なんて言いません。
本当は生理用品は無料にしてほしいくらいだけど、現状それは難しいでしょう。

でもせめて、生活必需品なんだと認めて、軽減税率の対象にしてくれませんか。

「女性差別だ」とか、ジェンダー論とか、そういう上位概念的な話も大事かもしれないけれど、
困っている人がいるという「事実」を解消しよう、ただそれだけのシンプルな話だと思うのです。

ついつい熱く語ってしまいましたが、このTHE TAMPON BOOKは、こうした女性の声を拾いこの問題を鮮やかに解決したプロダクトなのです。


THE TAMPON BOOKの説明をしていませんでした。

THE TAMPON BOOKは、生理についての興味深い情報が載っている40ページくらいの本。そして、その付録として、タンポンが15個ついてきます

ドイツでは「本」は軽減税率の対象となるため、これにより7%の税率でタンポンを購入できるようになります。

これは、タンポンのサブスクリプションモデルを展開するスタートアップ企業であるThe Female CompanyがPRとしておこなった企画で、
カンヌライオンズのPR部門でグランプリを獲得しています。


「税率」という国をも巻き込む壮大な問題に対してこんなにも鮮やかな解決策があるかと、これを知ったときは目から鱗が落ちました。

もしかすると、この企画によって「生理用品は生活必需品なんだよ」という思いを伝えることはできていないかもしれません。
なぜなら、タンポンの話題に耳を傾けるのは女性であり、「タンポンが税率7%で買える」というフックでは男性の興味を引ききれないだろうと考えるからです。

しかしPRの面では、ターゲットである女性はこれを知れば大いに盛り上がり拡散したでしょうし、実際に買うという行動まで繋げた素晴らしい企画と言えます。

また、実際に賞までとったということで、この問題が女性の間だけでなく認識されることにも繋がったと考えれば、女性以外への訴求も成功したといえるでしょう。

もう、これ以上の分析が特にできないくらい素晴らしいです。


最後に。

日本でも生理用品を軽減税率の対象にしよう!という署名活動が行われています。
よかったら、ここまで読んでくださった方は署名してみませんか。
下にリンクを貼っておきます。
ちょっとでも明るい未来のために!

change.org
[生理用品を軽減税率対象にしてください!]

https://www.change.org/p/%E7%A8%8E%E5%88%B6%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E4%BC%9A-%E7%94%9F%E7%90%86%E7%94%A8%E5%93%81%E3%82%92%E8%BB%BD%E6%B8%9B%E7%A8%8E%E7%8E%87%E5%AF%BE%E8%B1%A1%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?