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【選挙出まくり男】小西彦治とは何者か?(2)


 1月21日投開票の長野県・須坂市長選挙

 6期目を目指す現職と新人の一騎打ちなのですが、その「新人候補」というのが、小西彦治氏。 「元兵庫県議」という肩書きで須坂市とはこれといった縁が有りませんが、首長選はいわゆる「居住要件」がいらないため、こういった方が突然立候補するコトも可能なのです。
 昨年夏から全国各地の首長選に出まくっている小西氏。 彼をよく知らない須坂市民に向けて “昨年から小西氏を監視し続けてきた” 私が解説させていただくシリーズの二本目。

 今回は小西氏が出馬した首長選をひとつずつ取り上げていきます。




◆選挙履歴(2023年9月~)

①三重県・松阪市長選(2023 9.3)

[当]竹上 真人 (61) 無所属  34,184票
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[落]小西 彦治 (51) 無所属 新  7,121票

投票率:32.27%(前回比マイナス6.01ポイント)

 現職の竹上候補が圧勝。 得票率82.75%を獲得し3回目の当選を果たしました。


②岡山県・総社市長選(2023 10.1)

[当]片岡 聡一 (64) 無所属  20,190票
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[落]小西 彦治
(51)  無所属 新   2,268票

投票率:40.48%(前々回比マイナス14.80ポイント)

 8年ぶりの市長選は現職の片岡候補が圧勝。 得票率89.90%を獲得し5回目の当選を果たしました。


③京都府・精華町長選(2023 10.15)

[当]杉浦 正省 (75) 無所属  7,408票
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[落]小西 彦治
(51)  無所属 新 2,380票

投票率:33.14%(前回比マイナス8.05ポイント)

 現職の竹上候補が圧勝。 得票率75.69%を獲得し3回目の当選を果たしました。


④長崎県・時津町長選(2023 10.29)

[当]山上 広信 (62) 無所属 新 5,607票
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[落]山脇 博  (61) 無所属 新 5,237票
[落]小西 彦治 (51) 無所属 新    488票

投票率:48.61%

 新人3人で争った16年ぶりの町長選は、山上候補が競り勝ち初当選を果たしました。


⑤福島県・大熊町長選(2023 11.12)

[当]吉田 淳  (67) 無所属  3,307票
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[落]小西 彦治
(52)  無所属 新   394票

投票率:45.34%(前回比マイナス7.66ポイント)

 現職の吉田候補が圧勝。 得票率89.35%を獲得し2回目の当選を果たしました。


⑥三重県・いなべ市長選(2023 11.26)

[当]日沖 靖  (64) 無所属  10,933票
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[落]小西 彦治
(52)  無所属 新   2,336票

投票率:37.66%(前々回比マイナス8.74ポイント)

 8年ぶりの市長選は現職の日沖候補が圧勝。 得票率82.39%を獲得し6回目の当選を果たしました。


⑦福島県・矢吹町長選(2023 12.24)

[当]蛭田 泰昭 (65) 無所属  5,243票
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[落]小西 彦治
(52)  無所属 新   600票

投票率:42.37%(前回比マイナス20.96ポイント)

 現職の吉田候補が圧勝。 得票率89.73%を獲得し2回目の当選を果たしました。


 ・・・如何でしたでしょうか。 ご覧のように昨年9月から4か月で7回もの首長選に立候補しています。 特に②~⑥は2週に1回のハイペースで、日曜日の開票で落選が決まった2日後の火曜日には別の町長選に出馬するという最速コースをとっています。

 ちなみに、福島県には県内の選挙に出まくっているコトで有名な、

 「ショウ・タカハシ」こと髙橋翔氏という方がおり、私は敬意を込めて「髙橋プロ(通算成績:全敗)」と呼んでいますが、髙橋プロが2018年から6年で13回。 「さすがプロ(全敗)」だと思いつつも比較すれば小西氏のハイペースっぷりがお分かりいただけるかと。

 では、小西氏の履歴を見て、どのような選挙を “狙って” 立候補しているかを見ていきましょう。


◆小西氏の傾向

1. 無投票の公算が強い選挙を狙う

 上記の履歴を見るだけでは分かりませんが、小西氏が立候補を表明するのは無投票だろうと見られていた告示直前であるケースが殆どです。 例えば、

 ①松阪市長選の立候補が判明したのが告示2日前

 ②総社市長選は告示1週間前。 それ以外もニュースは残っていませんが無投票だろうと見られる中で出馬を表明しており、そういった選挙を狙っているコトが分かります。

須坂市長選も新聞に出馬が報じられたのは告示16日前の12月29日でした。

2. 年上の現職との一騎打ちを狙う

 全ての選挙で相手候補は自身より年上。 小西氏も現在52歳でそこまで若くはないのですが、自らを相対的に若い候補と見えるようにするコトで新鮮味刷新感を演出しています。
 また、④時津町長選を除く全ての相手が現職です。「現職vs新人の一騎打ち」という構図を作るコトで自身を「市(町)制を刷新するために立候補した!」というキャラクターに仕立てています。

3. 多選の首長が出る選挙を狙う

 ②総社市長選は5期目を目指す現職、⑥いなべ市長選は6期目を目指す現職、そして須坂市長選も6期目を目指す現職が相手です。 多選首長を相手に選ぶコトで「市(町)制の停滞を打破する!」ために立候補した、ように自身を演出しているのです。

 そして、コレが最も大切な点ですが、これらの分析は私の独りよがりなものではなく、

 須坂市長選の立候補受付後の記者会見で小西氏自身が、

「現職の首長が、高齢である、多選である、無投票になる可能性が高い選挙をピックアップして須坂市を選んだ」

 と発言しているのです。 なんと恥も外聞も無い堂々たる宣言でしょうか。 加えて「人口7万人以下」という選定基準も挙げており、それは松阪市(人口約15万人)を除く全てに当てはまります(須坂市の人口は約5万人)。

 ・・・それにしても、何故小西氏は選挙に出続けるのか。 こうやって振り返っても不思議不可解奇妙奇天烈です。 皆様も御存知かと存じますが選挙というものは、とてもお金がかかるものであります。 何より、立候補にあたっては「供託金」というものを自治体に預けなければならないのですから。


◆供託金から見る小西氏の「戦績」

中日新聞Web より引用)

 供託金とは「公職選挙において、売名や泡沫候補の乱立を阻止するための制度」(Wikipediaより)で、立候補の際に用意しなければならないお金です。 小西氏の場合、市長選には100万円町長選には50万円を預けて立候補しており、須坂市長選を含めた8選挙で合わせて600万円もの大金を用意し、預けたコトになります。 よぅそんなお金有るなぁと羨ましくなりますが、小西氏はコンサルティング会社の代表であり中古車販売業などの仕事も手掛け、且つトレーダーでもあるので、これだけの大金も準備できるのでしょう。

 そして、供託金は決して預けっぱなしなものではなく、一定の条件をクリアすれば候補者に返還されるようになっています。 小西氏が立候補している市(町)長選挙の場合、

「有効投票総数の10%」

 を超えれば供託金が全額戻ってきます。 では、これまでの首長選で小西氏が獲得した得票率を見ていきますと、

①松阪市長選:17.25%
②総社市長選:10.10%
③精華町長選:24.31%
④時津町長選:4.29%
⑤大熊町長選:10.65%
⑥いなべ市長選:17.61%
⑦矢吹町長選:10.27%

 となり、時津町長選以外は得票率10%を超えているため、(須坂市長選を除いて)450万円もの供託金が返還されています。 なので、選挙自体は7選全敗な小西氏ですが、「供託金」というものを基準にすれば、「6勝1敗」だとも言えるのです。


 と、いうワケで今回は小西氏の首長選を勝敗そのものと「供託金基準」で見ていきました。 実はそこまで “損” はしていないと言えます。

 とはいえ選挙を戦うには選挙カーを用意したりポスターやビラを作ったりと、まだお金がかかるものが残っています。 が、選挙費用には供託金と別に、もうひとつの制度が有ります。 それが、

「選挙運動の公費負担」

 です。 次回は小西氏がこの制度を利用したかもしれない、ある “疑惑” について迫ります。 一日空けて1/19㈮に更新しますが、次回がこのシリーズの本丸です。 お見逃しなく!!



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