見出し画像

選挙結果振り返り(2023 8.13投票)

 昨日は6件の選挙が行われましたが、なんといっても盛岡市長選&市議選のダブル選挙が目玉でした。 そちらをタップリと振り返り、ネット等で得られた様々な情報を織り交ぜつつ、このダブル選挙から私なりに見立ててみます。




◎岩手県・盛岡市長選挙

 6期目(!)を目指す現職に三度目の挑戦となる新人が挑む一騎打ちです。
 両者無所属ですが現職は県議時代は自民党公認で当選しており、現在も自民系及び公明の支持を受け、(改選前の)市議の7割程度が現職を支持していたそうです。
 それに対して一方の新人は前回こそ約5千票差まで迫りましたが、それは自民系候補が分裂したのが大きな要因。 それならば一騎打ちとなる今回は多選批判は有れど現職有利と見ていましたし、投票率が前回から約4ポイント下がったので尚更現職有利のハズが、なんとゼロ打ちで新人が三度目の正直を果たし初当選しました。 この結果には驚いた、、、

 現職の敗因は多選に尽きるのでしょうが、物価高騰の給付金を出したのが告示直前だったという話が有るなど、現職の評価も調べた限り芳しくなかったので、厳しい審判が下ったのでしょう。
 では新人の勝因はというと、交差点でお手振りを続けた地道な選挙活動に加え、今回は「完全無所属」として政党色を一切消したコトが無党派層の獲得、そして現職に飽きた自公支持層票の獲得に繋がったという出口調査の結果です。
 過去2回の選挙は民主党系の支持を受けたり、高校の同級生である立憲の階猛氏や小川淳也氏が応援に入ったそうですが、今回は為書きすら政党から貰わないという徹底ぶり。 それが今回の当選に繋がったとするならば、決して勝ったのは小沢系でも階系でも立憲系でも無いと言えそうです。

 この結果が今後に及ぼす影響については、市議選の結果を振り返ったアトに見立ててみましょう。
 


◎岩手県・盛岡市議会議員選挙(定数38/50)

 現職29人、元職1人、新人20人が立候補し、政党別では公明3人、維新1人、国民民主1人、立憲2人、共産5人、れいわ1人、参政1人、幸福実現党1人、地域団体が2人立てた選挙は現職3人、新人8人が落選。 地域団体を除く政党公認候補は全員当選しました。

 盛岡市議会の会派別名簿を見ると自民系会派に16人所属しており(国民民主1人、幸福実現党1人含む)、無所属候補33人のうち半分超は自民系だと見て良いかと思われます。
 そんな中でトップ当選したのが自民系無所属の「ちばじゅん子(千葉順子)」候補。 偶然でしょうか、3日後の8/17に告示される岩手県知事選に自民系から出馬すると言われる「千葉じゅんこ(千葉絢子)」さんと同姓同名です。 県知事選絡みで「チバジュンコ」という名前が既に浸透していたからでしょうか、2位にダブルスコアの差をつけて当選しました。

 その2位に入ったのが、なんと維新! 獲得票を見れば2人立てても当選しそうな票数ですが、ここは手堅く1人、というか「上位当選!」というインパクトを求めて1人に絞り成功したように見えます。 その理由は後述しますが、県庁所在地の議会に1人送り込んで “楔” を打ち込めれば充分な成果なのでしょう。
 6位に国民民主公認候補が入っていますが、自民系会派に所属し、前回の当選後に国民民主入りしたようで、東北電力の票が流れたおかげか、過去最多得票となっています。

 公明と共産は全員当選し議席維持です。 公明にとって必ずしも強い地盤が有るとは言えない盛岡市において完璧な票読みをして中~下位ながらキッチリ3人ねじこんでくるあたりはサスガですし、共産も全体的な票こそ減らせど誰も欠けるコトなく5人当選させたのは大成功といえるでしょう。 ただ、5人のうち最高齢が84歳なので、そろそろ次の候補を準備された方がよろしいかと・・・

 れいわは郡山市議選で2位当選を果たした時と同じく女性候補を擁立し24位で当選しました。 山本太郎代表が告示日の日曜日に応援に入っていましたが、早めに入ったコトでインパクトが薄れるかもと危惧する中、最終日に櫛渕衆院議員を投入し、万全の応援態勢を敷いたコトが大きかったと思われます。 いくら山本代表が特筆して目立つ党だとしても彼だけの応援では勝てない結果が続いていたので、既に国会議員8人を擁する “中堅政党” なのですから他の国会議員も入れて手厚い応援をしていけば地方議会でも当選の道が開けるコトを証明できたのではないでしょうか。 ただ、当選する候補者のキャラクターが似通ってきているのが気になりますが、、、

 幸福実現党公認候補は安定の12位当選で、なんと4選! ただこの方は元フリーアナウンサーという知名度が有り、更に1期2期は無所属候補で幸福実現党公認となったのは前回から。 それらの実績からか盛岡市議会の自民系会派で幸福実現党議員ながら「幹事長」を務めるという、同党50人の地方議員の中で “別格” といってイイ存在なので、この結果も当然かと。
 ただし「幸福実現党」の文字を公報には載せず、ポスターには申し訳程度に小さく載せる、お馴染みの「幸福隠し」をしていましたが・・・

 参政党は56歳の、のキャラクターは強くない候補を立てながら、告示日に神谷宗幣参院議員、最終日には松田学代表が入りチカラを入れた結果、最下位ながら当選を果たしました。
 コレで参政党の地方における戦い方というのは、あらかたデータがまとまったと私は見ていますので、それについては来週にでも改めて書こうかと考えています。

 さて、問題は立憲です。 岩手の立憲といえば “小沢王国” なのですが近年凋落が激しく、知事選で達増知事が敗れれば完全に崩壊すると言われる中、県内で同党の階氏と犬猿の仲であるコトはお馴染みかと存じます。
 来たるべき衆院選で “野党結束” を訴えている小沢氏ですが、県内の同党をひとつにできない人が何を言ってるんだという話になる中、公認候補は全員当選を果たしたものの、推薦及び支持候補は落選者が出ています。
 まず推薦候補で階氏と近いとされる現職が参政党に競り負け落選。 あまりにもアホくさいので公報を貼りますが、

 ただ名字が同じというダケで「二刀流」推しを、一度とならず(前回の初当選時もほぼ同じ公報でした)二度繰り返せば、サスガに呆れられますわな。 ただ、前回から票が半分以下になったのは、いくら何でも減らしすぎでして、、、
 更に小沢氏が応援したと思われる候補と階氏が応援した様子の無所属新人候補が1人ずつ落選しています。 では、市長選と合わせたこれらの結果から、岩手県知事選を含めた今後を見立ててみます。


※岩手県知事選を見立てる

 まず見ていただきたいのが、市長選の出口調査。 支持政党別の結果がコチラ。

・自民:27% ・立憲:10%
・共産:5% ・公明:3%
・維新:3% ・れいわ:3%
・国民民主:2% ・支持政党なし:43%

NHK調べ)

 自民と立憲の支持率は歴然たる差があり、無党派の票はもちろん、如何に自民支持層の票が今回は新人に入れたかが分かります。

 そして、それ以上に重要なコト。 それは、市長選と市議選のダブル選挙でこの支持率が市議選にも当てはまるとした場合、維新が、この支持率で市議選2位当選という結果は異常なのです。 市長選と同じく多くの無党派票、そして下手したら自民票の一部までもが市議選では維新に票を投じたコトの証であり、決して地盤が強くない東北においても維新の “風” がブンブン吹きまくっているコトが明らかになったといえるでしょう。 これは脅威です。

 それと立憲ですが、市長選は今まで何らかの形で応援していた新人が「完全無所属」になった途端勝ったコト。 市議選で推薦候補が(いくらふざけまくった選挙戦略だとしても)票を半分以下に減らして落選したコト。 そして、市長選に当選した新人と高校の同級生であり、推薦候補の応援に入っていたのが階氏であるコトを見ると、“小沢王国崩壊の危機” とか言っている間に階氏の支持も爆下がりしているのではないかと私は感じます。
 思えば階氏は昨年の参院選において岩手選挙区に出馬した立憲候補の応援に入らず、岩手県外各地に飛び回り候補の応援に入っていました。 小沢氏と犬猿の仲であるコトが周知の事実だとしても、その姿勢というのは参院選当時から疑問に感じていたのですが、いよいよ数字となって出てきたのではないでしょうか。

 そうなると市長選で得られたデータは「多選はダメ!」という点だけになり、それは当然5選を目指す達増知事に向けられるコトでしょうから、相手となる「千葉じゅんこ」氏が女性アナウンサーから県議になった知名度のある方である点を見ても厳しい戦いになると思われます。
 ただ、野党陣営に最近 “一筋の光” が差し込んできたのが、階氏が応援に入らなかった昨年の参院選で立憲の現職を破り初当選した広瀬めぐみ氏が、

 例の「自民党女性局」によるフランス外遊のメンバーに入っていて、SNSでデザートやフレンチの写真を載せていた(削除済み)コトに批判の声が集まっているようでして、ココを取っ掛かりにして行くコトになるのでしょう。

 いずれにせよ小沢氏と階氏は、いい加減チカラを合わせないとダメでしょ。 

 でも、過去に裁判で争うほどに悪化した関係を修復するのは、もう無理かな・・・?


◎京都府・井手町長選挙

 7期28年も務めた町長が引退し、その後継を自民、立憲、公明、国民民主が推薦する町議4期目の方と共産党推薦の町議8期目の方がともに任期途中で辞職し立候補した選挙は、やはり “共産以外総乗り” と化した元町議が共産推薦の元町議を破り当選しました。


◎京都府・井手町議会議員補欠選挙(定数2/3人)

 町長選出馬で空いた2議席を争う補選は知事と引退する町長が推薦する候補と共産推薦の候補が当選し、共産は貴重な町議会1議席を守りました。
 なんでも、町長選に出た谷田候補と町議補選に出た谷田候補は御夫婦だというコトです。 共産党の人材不足を改めて感じますが、ココは御夫婦で闘い抜いた谷田候補を讃えるべきでしょう。


◎京都府・和束町長選挙

 町長が出張先の北海道で交通事故に遭って亡くなられたコトを受けて行われた町長選は自民、立憲、公明が推薦する元町農村振興課長が元建設会社社長の方と、4期途中まで務めた町議を辞して立候補した議長経験もある方を破り初当選しました。
 政党に推されているけど知名度の低い村職員が、無所属ながら町議選を4回戦って知名度のある候補にトリプルスコアの大差をつけました。 組織のチカラは、やはり偉大です。

 なお、補選についてはデータが全く無いため、各自リンク先から結果を御確認下さい。



以上となります。
当選された方々の御活躍をお祈り申し上げます。


メンバーシップ参加者を募集中です
取材費捻出のために御協力をお願い申し上げます





もし宜しければサポートをいただけると大変嬉しいです! いただいたサポートは今後の取材費として使わせていただきます。