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【レポート #35】衆議院議員選挙・長野県第3区レポート(2021 10.31)


 長野3区は比較的地味な長野選挙区の中で唯一、全国的な注目を集めていた選挙区です。 前回の衆院選で野党系候補として当選した現職が任期途中にナント自民党に入党! 恥をかかされた野党が議席奪還すべく送り出した人は、この地に君臨する「王国」の血を継ぐ人でした。 事前の予想通りの接戦となった選挙戦を、レポートします。


◆概要

(Wikipediaより引用)
  • 長野県東部(東信)地域の選挙区で、
    ◎上田市
    ◎小諸市
    ◎千曲市
    ◎佐久市
    ◎東御市
    ◎南佐久郡
    ◎北佐久郡
    ◎小県郡
    ◎埴科郡 の、5市7町5村が含まれる

  • 有権者数:399,168人(長野県で2番目に多い区)


◆立候補者

神津 健  (44) 立憲 新 元JICA企画調査員 ※野党共闘候補(比例重複)
井出 庸生 (43) 自民 現 4期目を目指す ※公明党推薦(比例重複)
 
※他、一名

※売名のために立候補してきた某国政政党候補には触れません  悪しからず御了承ください

 神津候補は神奈川県鎌倉市出身。 米オハイオ州のオターバイン大学卒業、政策研究大学院大学終了後、JICA(国際協力機構)企画調査員としてアフリカの都市数か所の駐在や民間会社の代表取締役を経て今回の選挙に立候補のため長野県入り。 「今、この国の政治を変えたい」と訴え初当選と悲願の野党議席奪還を狙います。

 井出候補は東京都出身。 東京大学卒業後NHKに入局。 仙台、横浜で報道記者を勤めたあと2010年の参院選で「みんなの党」から長野選挙区から立候補するも落選。 2012年の衆院選で長野3区から出馬し小選挙区で落選するも、みんなの党北信越ブロックで復活し初当選。 そこから3期連続小選挙区で当選で今回「行動なくして、実現なし」と掲げ、4期目を目指します。 尚、9月の総裁選では河野太郎氏を支持していました。


◆POINT① “政界の渡り鳥” 井出候補

(Twitterアイコン画像)

 彼のコトを御存知でしたら説明するまでもない話ですが、井出候補は国会議員に一定数いる “政党渡り鳥” の一人です。 政界デビューは候補者紹介に書いた通り2010年の参院選で「みんなの党」からの出馬でした。 そして2012年の衆院選で比例復活した際もみんなの党公認でしたが、2013年に特定秘密保護法案の衆議採決の際、みんなの党の賛成方針に乗らず、後日 “ミリオンエダー” こと江田憲司氏と「結いの党」結党に参加。 翌2014年には(第一次)日本維新の会の橋下徹グループと結いの党が合流した「維新の党」に参加しました。
 2014年の衆院選では維新の党公認で念願の小選挙区当選を果たしますが、維新の党は2016年に民主党と合流し「民進党」となり、そこに参加。 翌2017年の衆院選前に民進党の前原誠司代表が「希望の党」に乗っかった際にそちらに参加して希望の党公認で衆院選出馬し当選しますが、希望の党と民進党が合流した「国民民主党」には参加せず “野党系無所属議員” として「新政信州」(民進党系)や「社会保障を立て直す国民会議」(野田佳彦グループ)に加わりますが、2019年に野田グループが立憲民主や国民民主と組んだ統一会派には参加せず、新政信州を離脱し入党の意思を示した先が “渡り鳥” の終着駅と言っていい「自民党」となったワケです。
 こうして彼の遍歴を見ると、みんなの党離党から民進党離脱までは江田憲司氏と行動を共にしながら党名という看板が変わっていったようにも見え、言われているほどの “渡り鳥” 感は無いと見えなくもないです。 

 世の中には2ケタの党を渡り歩き国会議員から神奈川県知事、はたまた東京都知事選や横浜市長選にも挑んだ松沢成文(現 日本維新の会顧問)というスーパースターがいます。 彼に比べれば可愛いもんです(笑)

◆POINT② “羽田王国からの刺客” 神津候補

(Wikipediaより引用)

 長野3区といえば、羽田孜元総理大臣の地元であり羽田孜さんが亡くなったあとも息子2名(雄一郎さん、次郎氏)が参院議員になるなど “羽田王国” が強い影響力を誇示しています。 それを支えているのが孜さんの時代から支えている後援会「千曲会」で、田中角栄元総理にとっての「越山会」のような、長野3区、いや、長野県の政治を語る上で外せない大きな存在です。

 コチラが神津候補の選挙事務所ですが、この建物こそ千曲会の事務所であり羽田一族を長年にわたり支え続けてきた “象徴” です。 孜さんが政界引退して9年、亡くなって4年経過しましたが、

 街灯の看板は未だに「羽田孜事務所」となっており、未だなおその “ご威光” は健在のようです。 孜さんが衆院議員在任中に長男の雄一郎さんが参院議員に当選。 孜さんが引退後は当然雄一郎さんが後を継ぐものと誰もが思っていましたが鞍替えのタイミングを逃し続け、そうしていたら2020年末に雄一郎さんが新型コロナで亡くなってしまい次男の次郎氏が後継に立候補、4月の参院補選で当選しましたがその翌日、このタイミングを狙って大々的に次期衆院選候補として新聞紙面等で発表したのが、

(Twitterアイコン画像)

 孜さんの実弟を父親に持ち、祖母(孜さんの母)の叔父に養子入りした神津健候補でした。 神津姓ながら紛れもなく “羽田の血を継ぐ者” です。
 ただ千曲会も今までずっと羽田家の血に執着していたわけではなく、孜さん引退から現在までは血縁関係の無い候補を立てていました。 それが再び血縁にこだわったのは、今回ばかりは負けられない、もっと言えば、絶対に井出を倒さねばならぬ “遺恨” があります。

長野3区、いや中選挙区長野2区時代から脈々と続く「羽田 vs 井出」の歴史を紹介し両候補の選挙運動を取材。 ともに40代という若い候補がどのような活動を展開したのか。 気になる方は御購読いただきたく存じます。

 また、今後リリースが続く長野選挙区のレポート5本をまとめた「第49回衆議院議員選挙 長野県選挙区パック」を販売中です。

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