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喜んで、戸惑って、そして明日も元気に

病院にいる父に会いに行きつつ、引き続き日本での生活を続けています。
日本を離れて20年以上、久しぶりに日本で暮らしてみると、嬉しいことや困ること、色々あります。

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レストランに入って席に案内され、メニューを決めます。その後で、なかなか注文を取りに来てくれないこと、店員さんを呼びたくてもなかなか気づいてもらえないこと、よくあることですよね。けれど、日本にはそんなことでヤキモキする必要のないレストランもあるのです。
注文はテーブルの上のタブレットに入力するだけで終了、店員さんを呼びたい時は、ボタンを押せば気づいてもらえるのです。

なんてすばらしいシステムでしょう!

さらに、先日某ファミレス系の中華レストランへ行った時のことです。
タブレットで注文し終わると、何やら音楽を鳴らしながらテーブルに近づいてくるモノがあるのです。

「ご注文のお料理をお届けに来ました」

そう言ってテーブルの横に止まったのは、ネコさんのロボットだったのです。
(言葉は違っていたかもしれません・・・)
胴体の部分には、ちゃんと注文した料理が入っていました。
手早く、正確に運んでくれて、なんといっても可愛いのです。


さらに、ネコさんにありがとうを告げると、ちゃんと笑顔までむけてくれるのですから、驚きです。

未だに特に役所関連では紙管理が多く、日本は遅れているなんて思わせるところもある一方で、この飲食業界でのITの発達はあっぱれです! 
是非ヨーロッパの国々にも広めてもらいたいです。

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レストラン、商業施設、駅などではお手洗いを利用することがあります。
すると、ここで困ってしまうことに遭遇します。

「どうやって水を流せば良いの?!」

あまりにもたくさんの種類のトイレがあり、水を流す方法も様々なのです。
レバーを動かして流す標準タイプのものもあれば、ボタンを押すもの、手を近づけてセンサーで流すもの、そして便座を離れたら自動的に流れるものまであります。さらに、水量が大・小で違い選択しなければいけなかったり、ウォシュレット使用でボタンがたくさん付いているところもあります。
ただ流したいだけなのになかなか見つからず、間違って緊急呼び出しボタンを押してしまいそうになったこともあります。

日本語がわかる私でも戸惑うのだから、外国の方がいらしたらさぞ困惑するのでは、常々そんな疑問を抱いていました。
すると、先日テレビを見ていた時、まさに共感すべき話題が出たのです。

WBCで大活躍し、日本中を歓喜に包んでくれた英雄の1人、ヌートバー選手のお母様が情報番組でインタビューを受けていました。そして、ヌートバー選手との逸話を語っていた中で、日本到着後にトイレに入った際、流す方法がわからなくて慌ててお母様にお電話をしたというのです。

やっぱりいました! 
日本のトイレで戸惑う人は私だけではなかったようです。ヌートバー選手が同じ困惑の体験をしていると聞いて、なんだか嬉しくなってしまいました。

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日本での生活の楽しみの一つ、それは日本語の本が周りにたくさん溢れていることです。当たり前のことだと言われそうですが、海外生活をしていると、日本語の本はとても貴重なのです。
最近は、読みたい本は海外にいても電子書籍で読めるようになったのでとても便利です。けれどやっぱり、紙の本とは一味違うのですよ。

図書館でカードを作ってもらい、2週間に一度通っています。
いつもタブレットで眺めていたタイトルの本たちが、実際目の前で本棚に収まっている姿を見ると、まるで有名人に出会ったかのような喜びを感じました。
日本からイギリスに本を買って帰る時はかさばらない文庫本を選ぶので、図書館でハードカバーの表紙のついた単行本を手に取り、自分の部屋でページをめくって読むことができることにしみじみと幸せを感じています。

また、本屋さんに立ち寄るだけでも楽しいひとときを過ごせます。タブレットに手を当てて本を探す楽しみとは別に、足で歩きながら実際に本を見て選べる楽しさは、子供がお菓子を選んでいる時のようにワクワクします。
これを購入するぞと決めて、レジに持って行く時は心が弾みます。

しかし、ここでまた戸惑うのです。

「お支払い方法はどうなさいますか?」

現金かカードか、という選択だけではないのですよ。
カードで支払いますと言っても、交通系のカードだったり、企業固有のカードだったり、種類がたくさんあるのです。

そして、支払いをしようとすると、今度はまた別の質問がきます。

「XXのポイントカードはお持ちですか?」

ポイントカードもまた種類が豊富なのですね。
帰宅後、母に話すと、あのポイントカードを持たせればよかった、と悔しそうな顔をされましたが・・・

イギリスでも確かに支払い方法は色々ありますよ。
銀行のデビットカードかクレジットカードかスマートフォン決済など。けれど、別にどこのカードを使います、とかその度に申告する必要はなく、カードをマシンの上にかざせば支払い終了なのです。
ポイントカードもありますし、私も使っています。けれど、なんと言いますか、もっとシンプルなのですよね。

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電車に乗って待ち合わせ場所に向かっている時、携帯電話が着信を知らせました。私は常に携帯電話の音は鳴らないように設定しているので、電車に乗る度に切り替えたりする必要はありません。
でもそういえば、日本では電車の中での通話が禁止されているのでした。
電話に出るわけにはいかないのです。

かつては、携帯電話が鳴ったら次の駅で降りてかけ直したこともありました。
今はLINEなどのメッセージでやりとりができるので、通話をしなくても問題なく過ごせます。それに、電車の中で通話している人がいると、確かに気になってしまうでしょう。

けれど・・・

イギリスでも、メッセージで連絡を取り合うことが多いですが、それでも仕事の案件や何かの連絡など、電話を使うこともあり、電車の中で通話することもあります。
電車の中で通話ができないとなると、やっぱりちょっと、困ってしまう思います。

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そんな風に喜んだり困惑したりして過ごしていますが、今は何よりこの時期に日本にいれてよかったと実感しています。
なぜなら、あちらこちらで美しい桜の姿を目にすることができるのですから。

近所の公園の枝垂れ桜

桜の名所と呼ばれているところに足を運ぶことももちろん良いですが、日常の生活圏内にも桜はいます。
少し遠回りをして、近所の公園を歩いたり、川沿いを通ったり、少しの時間でも桜を眺めるだけで気持ちが明るくなります。


子供の頃よく遊んだ公園の桜


父の病院近くの川沿いの桜

何かステキなことが起こるような気持ちにさせてくれる、淡いピンク色の小さな花びら。

少し汗ばむくらいの温かい春の風が、木々を緑に模様替えしていく日も近いようです。

空中を舞う桜の花びらのように、ヒラヒラと風に乗って、明日もまた元気に過ごしていきましょう。


長文記事にお付き合いいただきありがとうございました!


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