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【映画感想】全体の3分の2は素晴らしかったと言うべきか、残る3分の1が悪すぎたと言うべきか【竜とそばかすの姫】

ドーモ、織田牛奈(noteのすがた)(@butakichi3hide)です☆(ゝω・)vキャピ

遂に金曜ロードショーで来ますね…!

「竜とそばかすの姫」が金曜ロードショーに!!


まあ延期になったんですけどね。7月9日→9月23日ですって奥様。


現在はアマゾンプライムビデオで無料配信されてるので金曜ロードショーを待たずとも視聴は可能です、ハイ。

と言う訳で地上波配信を記念して感想を書こうと思います。

ちなみに私は実際に映画館まで観に行きましたし、パンフレットも公式ノベライズ本も購入しております。
と言うか細田守監督作品はおおかみこどもの雨と雪以降は全部映画館に観に言っております。未来のミライは開始5分で主人公の声と駄々をこねまくる描写によって観客の95%がスタート地点で脱落する映画だったので映画館で見るにはファンじゃないと厳しい作品だった…。

また感想記事の関係上ネタバレを含んでしまいますので、一度映画を観られてから読まれますことを強く推奨します。
また後半は正直割と酷評してると思うので「竜とそばかすの姫大好き!アンチはアンベールしてやる!!」的過激思考の方も今すぐブラウザバック推奨です。


あ、先に書いておきますがこの映画には「割と現実味のある虐待表現」が含まれるので、そういったのがトラウマって方は視聴非推奨です、ハイ。


それではどうぞ。




まずは良かった点。

・とにかく歌・音楽がいい

全体を通してですが、とにかく歌が良い。


最初に流れる「U」も初めて電脳世界「As(アズ)」に降り立った時に歌った「歌よ」も竜の城での「心のそばに」も実に良い。最後の「はなればなれの君へ」起こっている状況はさておき曲自体は心揺さぶるものを感じた。


今回の「竜とそばかすの姫」は主人公が歌うキャラなのもあってか、挿入歌が多くミュージカルチックな作りになってるのも相まって曲に力を入れてるなあと観ながら思った。

個人的にはやっぱり「U」の「何かよく分からんが壮大なナニカが起こる感」がとても好きですね。

語彙力を0にしていいなら「太鼓系打楽器のドンドコ感」とでも言いましょうか。アフリカ系というか、パタポンっぽいよね。





・電脳世界描写の美しさは必見

細田守監督といえば「電脳世界」のイメージが私にはあるのですが、今回も他作品に負けず劣らずの素晴らしい描写です。

サマーウォーズの時は「全体的にパステルカラー・丸みを帯びたデザイン」な近未来な電脳世界でしたが、今回は上記もあればビルが立ち並ぶ街並み(竜と悪役たちの戦闘で破壊される訳ですが)だったり360°どこからでもライブが見られる空間だったりとかなり多岐に亘ってるなあと。

多分今と昔で「電脳世界」イメージの画一化が無くなりそれぞれの空間を選択できるようになったから多岐に亘ってるんだろうなぁと勝手に思っております。

改めてパンフレットを見直して背景の美しさも素晴らしいなと改めて思う次第でした。惜しむべくは今では劇場のスクリーンで見ることが出来ないのであの美麗さを100%伝えきれないコトでしょうかね。




・「美女と野獣」のオマージュ


まあ設定から既に何となく察してはいましたが、この作品は「美女と野獣」をモチーフとしてるそうで。

魅力的な歌と容姿で皆から好かれる「ベル」と正体不明で暴れん坊なため皆から忌み嫌われる「竜」の対比がまんま「美女と野獣」な訳ですが(そういえば主人公の名前も「ベル」なんだなぁ…と今気づいた)、作中でもガッツリオマージュしております。

それが城の中で踊るシーン。

実際には映画を観てもらうしか無いのですが「美女と野獣」を観た方なら思わずニヤッとしてしまうような構図があったりしてここまで徹底してオマージュするのねってなりました。

個人的にはスティッチの宣伝で美女と野獣の踊るシーンに乱入するってのが思い出されてしまった。

ちなみに上記記事内でこんな一文がありましたが

『美女と野獣』の野獣の正体は王子だったが、竜の現実世界での正体は何者なのか?

細田守監督『竜とそばかすの姫』のモチーフは『美女と野獣』

そこまではオマージュしなかった模様…ってかオチまで合わせたらもうディズニーの美女と野獣観るわってなるしな…
ただ竜のビジュアルや正体に監督の癖(へき)を強く感じたのは私だけじゃないハズ



・キャラクター(特にカミシン)が良かった

私が今回の映画で一番好きだったの、主人公でも竜でもペギースーでもなく「千頭慎次郎(カミシン)」なんですよね…。

空気読めないけど熱くて明るいスポーツマンなのがバカな大型犬みたいでいいなあ…と映画内でひとりごちしてました。途中のガッツリ青春してたのは画面前でポム爺さんになりながらも見てましたよ。

すまんがその石を...しまってくれんか。わしには強すぎる...。

特に主人公絡みではほぼ恋愛は出てこない(一応竜の城で踊るシーンがそれっぽいし、幼馴染との関係云々もあれど最終的に主人公がはたき落とすからなぁ…)ので、むしろカミシンとルカちゃんのシーンが唯一の清涼剤でした。

カミシンの中の人である染谷将太は過去作「バケモノの子」の主人公「九太(17歳のすがた)」の声で出演されており正直その時はイマイチに思ったのですが今回はバッチリ合っていたなあ。



・監督のキャラクター癖(へき)が良い

これはもう完全に私の好みの問題だが、誤解を恐れずに言うなら細田守監督映画は「ケモノ」「ショタ」「イケオジ」のキャラクター造形が素晴らしい。

サマーウォーズで言うところの「キングカズマ」「池沢佳主馬」「理一さん」「侘助」と言えば大体の方は私の言いたいことが何となく把握してしていただけれるのではなかろうか。「理一さん」派と「侘助」派で戦争が起こりそう…




さてここからは悪かった点。上記したけど見たくない方はブラウザバックするのよ。



・キャラクターの使い方が勿体なく感じる

あからさまに「私たちは「竜の中身かと思わせて実は全然関係ない、物語上におけるブラフ担当のキャラクターで~す!」」の皆さんはまあいいのですが、割と主要人物でイマイチ出番が無くて勿体ないなと思う人がチラホラいるんですよね。

例えば「しのぶ君」。主人公の幼馴染で且つモテモテでちょっとミステリアスな彼で映画を視聴中私も「コイツが竜の中身なんやろうなぁ…」と思ってた訳です。そもそも声優が竜と違うのでよく考えると分かる訳ですが…。

しかしフタを開けてみるとやった事自体は「主人公に「Belleだろ」と言い当てる」「全世界の前で「歌え」と勧める」くらいでこう…主要人物なのだからもっと活躍の場があってもよかったのでは?と思わんでもないんですよ。
そしてあまり活躍出来てない原因の一つは「コイツ竜かも…?と観客に思わせる役を担ってるせいで中途半端にミステリアスな行動しかできない」からだと思うんですよね。一応最後の方で何となく思いを吐露してくれるんだけど、やはりイマイチ活躍して無くね?感は拭えない。
やはり「竜ブラフ隊」は必要だった

そしてもう一人私が気になったのが「ペギースー」
分かりやすく「新人を否定する大物」「新人の人気に押され埋もれてしまう」役を担ってるわけですが、全世界の前でアンベールしてしまった主人公に対してエールを送る訳です。この時点で根は良い人って分かる良いキャラ。
私はてっきりこの後東京辺りで中の人が主人公をある程度助けてくれる展開とか来るか…?と期待したのですが、それで終わってしまったのでちょっと残念だなぁと思ってしまった。まあ別に主要人物じゃないし(しかも主人公たちの状況を把握してる訳でも無いので)仕方ないね。




・物語の残る3分の1からの「そうはならんやろ」ラッシュ

竜の根城まで行ってダンスを踊り心を通わせるシーンまでは100点なんです、いや冗談抜きで。曲が良い、絵も良い、内容も特段ケチをつけるところが無い(強いて言えばどんな姿にも何にでもなれる電脳世界に於いて何故アバターは本人を基にしたガチャなのだろうか?って点くらいか。説明が無いだけで後から外見は変更出来るとは思うけども)。
のだが物語のクライマックスに差し掛かる残り1/3辺りからこう…何と言うか…「そうはならんやろ」って点が目立ち始める。

・全世界配信で顔を晒す

いや、何しとんねん。
そりゃ竜の信頼を得る=竜の中身を救うためとはいえ、傍から失うものと得られるものが釣り合って無さすぎる。状況的には全世界配信と思われるので実質世界中に顔が知られた訳ですわよ。

「人気絶頂の歌唱系Vtuberがいきなり中の顔を晒して放送を始めた」と書けばどれだけ異常かは簡単に理解出来るはず。
Vtuberだと世間一般で有名な方がいないのでもっと現実に即すなら「Ad〇が顔出しで生放送を始めた」の方が分かりやすいでしょうかね。ちなみに「Ad〇 顔」で画像検索したら色々な顔が出てきましたね…。

一応最後に再び電脳世界でコンサートを行ってる描写があるため「belle=そ内藤鈴」である事に言及することはタブーになっているか、電脳世界全体が「belleの正体は○○(ここには色々な単語が入る)である」というジョークミームをバラまいて調べる事自体困難としたとかかもしれません。インターネット民はそういうの好きでしょうし。
例えるなら「鮫島事件」とか「牛の首」みたいな感じに仕上げるのかな。

とは言えこの後の人生どうするのさ?とつい思ってしまうのです。
学校でも実生活でも確実に影響は出ますし、SNSなんかで「belleってウチの学校の内藤鈴なんだって!!」みたいなリークは間違いなくされるでしょう。少なくともウチの地域ならなるわ、ウン。
物語上「いや流石に全世界に顔出すのはちょっと…^^;なんで今回は諦めてもろて…ね?」とは出来ないので、ここにツッコむのはいささか野暮かもしれませんが、ハッピーエンドじゃなくね?何お前らラストでワロとんねん。と思わざるを得ないのです。





・女子高生一人で東京に行かせる

いや、何しとんねん。(2分ぶり2度目)

お前ら全員状況は把握しとるやろ?
虐待現場+虐待おじさんに単身で乗り込もうとしてる主人公も大概無鉄砲だが、何でお前らついていかないのか。ココが分からない。ってかこの箇所がこの映画における一番の謎というかツッコミどころなんだよな。

まあ同級生ズがついていけないってのは仕方ないし理解出来る。いきなり東京に行くとか言われても…親の許可いるしな…ってなるだろうしな。ここでしのぶ君がついて行ってくれたら出番増えたのにナー。

だがおばさんズ、テメーらはダメだ。

空港まで送ったのに東京には主人公単身で行かせたシーンでは「えっ!?主人公一人!?車で送ったオバハンは?」って劇場でなったからな…。
いやそりゃおばさんズも仕事とか予定とかあるだろうからいきなりついてこいとか言われても…ってのも分からんでも無いのだが、少なくとも同級生ズよりは主人公へ思い入れがあるだろうし保護者責任とかもあるだろ。と言うか虐待を行うタイプの男性がいるところへ女子高生単身で向かう危険性が分かり切ってるのについていかないのヤバくないか?
単身で知らん街で一人暮らしさせる掟がある魔女の宅急便の世界線とちゃうんぞ。

ちなみに小説版だとおばさんズは「私は鈴のお母さん代わりだと思ってた」的な事を言うシーンがあるんですが、その後単身で向かわせるのでもうコレ分かんねえな…。

主人公自身が「一人で行かないと意味がない」とか言った描写は無いもののおばさんズで「ひとりで大丈夫かな…」「鈴が決めたんだから…」というやり取りがあるのでまあそういった覚悟で乗り込むんだって意思表明したんだろうなってのは推測できるもののそれとこれとは別でしょうし「ならアタシらも付いてく。原則的に手は出さないけど、もしもの事があったら容赦なく介入するからね!」くらいは出来た訳で。
この違和感がどうしても映画が終わってもモヤモヤしてるんですよね。

劇場で見てた時は単身で向かったから「ははーん、ここで「ペギースー」のオリジンが出てきて道案内とかしてくれるんやな!!」とか期待しちゃったんだよな。まあ出なかったんですけどね。


・総評

後半の悪かった点だけ大目に書いてしまった気がするが、私は「竜とそばかすの姫」を傑作の部類だと思っております。

人気が出るとファンも増えるものの好き勝手言いまくるアンチも増える点や青春(カミシンとルカちゃんだけど)、学生独特の面倒な女子の諍いなんかも描写されており非常にレベルは高いのですよ。今回一切触れませんでしたが「ネット警察」みたいなのも出てきていて監督が何を思ってるか何となく分かるシーンもチラホラあった気がしますな。

レベルが高いからこそ残りの「そうはならんやろ」「なっとるやろがい!」ムーブが私には「ウーム…これはしんどい」ってなってしまったのです。
逆に全く気にならない人からしたら何の問題無く楽しめる作品とも言えるかと思います。

そのため総評としては

「音楽や歌のレベルが高く作品自体は傑作だが、後半に違和感を覚えるか次第で評価がハッキリ分かれる作品」

かなと思いました。


そしてこの記事を読んだ皆様も一度是非視聴して頂いて感想を上げてもらえたらなと思う次第です。
少なくとも「ミライの未来」よりはとっつきやすいゾ。あれは最初の関門を突破しても主人公がケモ化する辺りでもう一般視聴者付いていけないだろうなって監督の癖を理解してるファンの私でも思ってたし…。

ちょうど金曜ロードショーで9月23日に放映されますし、ご覧になられてはいかがでしょうか?よろしければどうぞ。

以上、参考にされたし。


こちらもどうぞ\('ω')/三\(   )/三\('ω')/

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