1995年春から僕は函館でアパートを借りて暮らし始めた。
パチンコ店の店員、レストランのウェーター、居酒屋の店員、高級キャバクラの雑用やホステスの使い走りなどの仕事をしながら音楽をやっていた。

僕が25歳の時、母親のがんが発覚した。

僕は仕事も音楽も上手くいかず、彼女もできず、精神的な問題や母親の心配も抱えていた事から閉塞感に包まれて、20代半ばから酒に溺れるようになっていた。

唯一、友達だったのは函館に住んでいる僕より二つ年下の従弟だった。
彼は僕の母親の妹の息子だった。
叔母さんは地元の松前町に住んでいた頃は看護師をしていたが、旦那さんが函館に転勤になったのをきっかけに函館に転居し、リサイクル店の店員の仕事をしていた。

僕が26歳の時に弟が結婚した。
弟は以前は実家から仕事に通っていたが、結婚と同時に町営住宅へ引っ越した。

2000年、僕が27歳の時にアルコール依存症で精神科の病院に6カ月入院した。
僕の母親は僕が入院している間、函館の病院で亡くなった。
母が危篤状態になった時、姉が母が荼毘に付されるまで数週間休みを取って東京から来ていて、僕も病院から外泊許可を貰って病院に寝泊まりして母を見舞い、親戚も何人か来た。

退院と同時にケースワーカーの勧めで生活保護を受け、以前とは別のアパートで生活した。
弟と弟の嫁とケースワーカーで話し合った結果、僕の生活保護費の管理に弟夫婦が関わる事になった。
僕が保護費で酒ばかり買って飲むのではないかと疑われたためだった。

2001年7月、僕は自分の自暴自棄から事件を起こし、逮捕された。

2020.7.26加筆修正

2023.7.12加筆修正