それまで東京へ来た事がなかった僕は、最初に新宿へ来た時は人の多さに圧倒された。
そんなに金がなかったので歌舞伎町のカプセルホテルに泊まりながら仕事を探した。
歌舞伎町を歩いている時、店の前に立っている男性に声を掛けられて、うちの店で働かないかと誘われた。
それが切っ掛けでそのセクキャバ店で働く事になった。
その店には、店の女の子の他にも男性スタッフをスカウトしてその人が一定期間働けば賞与を貰えるというシステムがあった。

東京へ来てからもまだ彼女に未練があったので、電話したら出てくれたしメールを送っても返事が来た。
彼女に東京へ来ないかと誘ったりもした。
しかし、ある日、メールで突然キレられて、「もう連絡してこないでよ」と言われ、彼女との縁は切れた。

しかしながら、僕は東京で仕事をしているうちに精神的に立ち直り、人生でこれまでにあった不幸な出来事からも解放され、気分が清々しつつあった。

2008年2月、その店は半年で辞めた。

それから約1年間はお金以外の自分の全財産はキャリーバッグ一つに収まるという状況で生きていた。
アパートを借りる金がないから仕方なく求人で寮完備の仕事を探すしかなかった。
そうなると僕の場合、いわゆる夜の仕事か肉体労働ということになる。
僕は上京してから約1年半、そのような仕事を転々として生きていた。

2020.7.26加筆修正