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拝啓 吉本ばなな様

私があなたを知ったのは、小学生くらいの時でしょうか。キッチンという本が爆発的なヒットをしていたように思います。その当時から30年くらい経つでしょうか。その間、私はけっこうな数の本を読みました。図書館が好きで、読書が好きで。ジャンルは問いませんが、最近は小説、さらに絞りこむと、ノンフィクション系小説、刑事物ヤクザ物、官能系といいましょうか、そんなモノを好んでいます。あなたは売れっ子作家として数々の作品を生み出し不動の地位を築かれました。なぜあなたの作品を一度も、一冊も読まなかったのか。初めて考察しました。一番の理由は、自分がキッチンとはかけ離れた存在で、料理もしない、キッチンというもの自体が好きではなかったからだと思います。キッチン=料理、に関わる本だと思い込んでいたからだと思われます。なるほど、とても視野の狭い人間だと、自分自身が嫌になります。そして、5年前からキッチンに立つようになり、料理を始めました。だからなのか、ついにあなたの代表作、キッチンを読みはじめました。序盤で「夜は雨だった。しとしとと、あたたかい雨が街を包む煙った春の夜を、地図を持って歩いていった。」という文章に出会いました。ビビッときました。なんでしょうか。なんともきれいな川の流れのような文章、比喩、情景が目に浮かび、動き出し、匂ってくる。あなたに会えて良かった。30年ものあいだ、カタカナでバナナだと思っていましたが、ひらがなでばなななんですね。吉本ばななさん、ありがとう。。


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