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【実践編】人材アセスメントとは~オンライン・アセスメントの具体的な導入・実践方法

人材アセスメントを検討している皆様にとっては、人材アセスメントを効果的に活用することができれば、個人の適性や能力を正確に把握し、適材適所の人材配置や育成計画を立てることができます。さらに、採用や昇進の際に客観的な判断基準を持つことで、公正かつ透明性の高い人事制度の構築が可能となります。

近年、人材アセスメントツール市場規模はコロナ禍前よりも拡大し、今後もその成長が見込まれています(矢野経済研究所:企業向け研修サービス市場の実態と展望 2022)。その結果、ニーズの拡大が期待されています。

「能力開発」「人事評価」「組織診断」の領域におけるアセスメントツール市場は、研修サービスやコンサルティングとの一体化・連動した提供形態が今後もさらに拡大すると予想されています。こうした活用を想定したツールの販売には、単にモノを販売するビジネスとは異なり、クライアント企業のニーズを聞き取りながら、企業それぞれの人材・組織課題にマッチした研修プログラムの設計やサービス・ソリューションの導入提案を行う「コンサル営業」が行える人材が必要不可欠となる。

出典:企業向け研修サービス市場の実態と展望 2022
矢野経済研究所

しかしながら、実際のところ人材アセスメントをうまく活用することができずに悩むことや、忙しい現場から理解を得ることが難しいなど、多くの壁があるのではないでしょうか。

また、多種多様な人材アセスメントが存在し、その中から最適なものを選ぶことは容易ではありません。

この記事を読むことで、人材アセスメントの目的別の選び方、手法ごとの効果的な活用方法や注意点を知ることができます。「業務での実践」にできる限り繋げていただきたく、当記事ではリーダーシップに焦点を当てて解説します。
ぜひ、この記事を読んで、成果を上げるためのアイデアを得て役立ててください。

*グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト調査(GLF)とは
世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業のDDI社が1999年から実施している、リーダーシップに関する世界最大の動向調査です。2023年版の調査では、世界50カ国以上、15,000人以上のリーダー・ビジネスマンと、2,000人以上の人事担当者が参加しました。
https://www.youtube.com/watch?v=qYE5opH4nDM


1.人材アセスメントとは

🔵人材アセスメントの基礎内容まとめ
「人材アセスメントの基礎(【初心者編】人材アセスメントとは~ゼロから学ぶオンライン・アセスメントの基礎やメリット・デメリット」にさらに詳しく掲載されています。先にお読みいただくことをお勧めします。

🔶人材アセスメントとは

人材アセスメントとは、英語のassessment(評価)から来ており、「個人の能力や適性、性格などを客観的に評価すること」を指します。

🔶オンライン・アセスメントとは

オンライン・アセスメントとは、インターネットを利用して行われる評価やテストのことを指します。社員育成、適性診断、昇進・昇格といった多岐にわたる分野で活用されています。オンラインでの実施により、地理的な制約を受けずに、参加者は自宅や任意の場所でアセスメントを受けることが可能です。また、結果の処理とフィードバックの迅速な提供により、効率的な評価プロセスが実現されます。

🔶人材アセスメントの目的やメリット

人材アセスメントの目的は、対象者の能力や適性を評価し、可視化した結果を活かすことで「人材の選抜や配置の最適化」「人材育成」を行うことです。

🔵人材アセスメントの種類

🔶5つの種類

人材アセスメントは大きく5つの種類に分かれます。診断ツールを評価する時間軸に分けて説明をしています。個々の人材アセスメントについて詳しく知りたい方は、「基礎編」をお読みください。

🔶サイン(兆候)とサンプル(行動例)

ここからはさらに重要な概念です。他の書籍やサイトではなかなか説明されないポイントなので、ぜひ覚えてください!

人材アセスメントはさらに、取得できるデータの違いによって2種類に分けることができます。「サイン(兆候)」と「サンプル(行動例)」に分けられます。それぞれデータの収集方法が異なり、結果的にその使用目的にも違いがあります。

「サイン」とは、性格や知識、判断力など、将来のパフォーマンスの指標となるデータのことです。それに対して「サンプル」とは、対象者の具体的な行動例のことです。どちらの情報を取るか、目的に応じて選定するアセスメント手法が変わります。​

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運転免許取得によく例えられますが、「サイン(兆候)=学科試験」、「サンプル(行動例)=実技試験」とお考えいただくとイメージを持ちやすいと思います。要するに、「知っているかどうか」と「できるかどうか」の違いだとご理解ください。

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2.人材アセスメント実践のポイント

先に述べましたように、人材アセスメントは2種類に分けることができ、「サイン(兆候)=学科試験/知っているかどうか」、「サンプル(行動例)=実技試験/できるかどうか」とお伝えしました。

当然、「知っているかどうか」と「できるかどうか」の間には大きな壁があります。したがって、人材アセスメントの選択を間違えると効果が発揮されない点について要注意です

ここからは、適切なアセスメントを選ぶためにおさえるべきポイントをお伝えします。

🔶人材アセスメントのデータ使用目的を事前に明確にする

まず第一にデータの使用目的を必ず明確にしましょう。これによって使用する人材アセスメントの大まかな方向性が決まります。例えば、下記のような目的例が挙げられます。

・昇進昇格の決定をしたい?
・リーダーの能力の現状と理想のギャップを診断したい?
・集団としての現在地を把握したい?
・単にリーダーとしての自己認識を高めてもらいたい?

🔶対象人数と対象者を確認する

対象人数が多い場合は、サイン(兆候)を使われることが一般的です。サイン(兆候)のアセスメントは短時間で受講可能でコストが低い一方で、サンプル(行動例)アセスメントは、時間および費用面いずれのコストも高いためです。

また、対象者によって使用するアセスメントが変わります。例えば、多くの職種を含むもしくは特定の職種だけなのか、外国籍やグローバル他拠点における対象者がいるのかなどによって、より適応するアセスメントを選ぶべきです。また、一般的には階層が高いほど、深い洞察を得られるサンプル(行動例)のアセスメントを用いるべきです。

🔶どの程度深い洞察が必要か検討する

🔵選抜(採用・昇進昇格・人材配置)
サイン(兆候)とサンプル(行動例)いずれも有用です。ただし、ポジションの重要度がポイントになります。

ポジションの重要度が高い場合、サンプル(行動例)の人材アセスメントがおすすめです。深い洞察を得られ、正確なパフォーマンスの予測が可能なためです。一方、ポジションの重要性が低い場合、サイン(兆候)の結果を活用可能です。ただし、サイン(兆候)はできるかどうかではなく、あくまでも「知っているかどうか」に過ぎないため、パフォーマンスや成果など複合的な判断を行うべきです。

🔵能力開発
単に自己洞察を得るため、能力開発のきっかけとしての自己認識のためなどにデータを使用する場合、サイン(兆候)の人材アセスメントで十分
です。

一方で、サンプル(行動例)の人材アセスメントが重要な対象が2つあります。

ハイポテンシャル・リーダー
後継者育成

です。

行動ベースの粒度で細かい点までフィードバックができ、能力開発のスピードを加速させるので、育成の重要度が高い対象者には効果的です。

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※サイン:

※サンプル:

🔶人材アセスメントの実施にあたっての注意点

🔵人材アセスメントの公平性を確保する
人材アセスメントは、評価対象者の能力や性格を正確に測定するために行われます。そのため、人材アセスメントの実施にあたっては、公平性を確保することが重要です。具体的には、評価対象者に対して同じ条件で人材アセスメントを行い、偏りのない評価を行うことが求められます。

🔵人材アセスメントのプライバシーを守る
人材アセスメントは、評価対象者の個人情報を含む場合があります。そのため、人材アセスメントの実施にあたっては、プライバシーを守ることが重要です。具体的には、評価対象者の個人情報を適切に管理し、不正アクセスや漏洩を防止することが求められます。

🔵人材アセスメントの結果を適切にフィードバックする
人材アセスメントの結果は、評価対象者にとって重要な情報です。そのため、人材アセスメントの実施にあたっては、結果を適切にフィードバックすることが求められます。具体的には、評価対象者に対して、結果の説明や改善策の提案などを行い、評価対象者が自己改善につながるような支援を行うことが重要です。

3.事例紹介

実際に人材アセスメントを使った事例を紹介いたします。下記ページをご参照ください。

☆一般社員向け_サイン(兆候)アセスメントの事例:こちら
☆初・中級管理職層向け_サイン(兆候)アセスメントの事例:こちら
☆初・中級管理職層向け_サンプル(行動例)アセスメントの事例:こちら
☆経営幹部層向けアセスメントの事例:こちら

4.まとめ

今回のコラムは下記のお話をさせていただきました。

●人材アセスメントはさらに2種類に分かれる。
●「サイン(兆候)=学科試験/知っているかどうか」
●「サンプル(行動例)=実技試験/できるかどうか」
●人材アセスメント実践のポイント
●人材アセスメントデータ使用目的を事前に明確にする
●人材アセスメント対象人数を確認する
●人材アセスメントはどの程度深い洞察が必要か検討する

いかがでしたでしょうか?今回はアセスメント実践編ということで、今後、人事部門において人的資本の可視化や人材開発業務を効果的に活用していただけるよう、ご活用いただければ幸いです。

5.よくあるご質問(FAQ)

Q1: 人材アセスメントを実施する際、対象者に期限内に本気で受講してもらうためにはどのようにしたらよいでしょうか?

A1: 受講者に実施目的と受講メリットをお伝えしてください。よくある失敗例ですが、人材アセスメントの目的などが伝わっておらず、「とにかく受講して欲しい」といった形で現場に情報伝達されているケースです。

受講者は、適切な説明が無ければ、アセスメントを気の進まない、単に時間がかかるものなどとみなすためです。そのため、この人材アセスメントを受講することで何を得られ、どのような利点があるのかを事前に明示することが重要です。

Q2:アセスメントの結果を正しく解釈できるか不安です。どうしたらよいでしょうか?

A2. まずは、「アセスメントの種類」と「特徴」を正しく理解しましょう。当記事で記載している、サイン(兆候)もしくはサンプル(行動例)のどちらのアセスメントなのか、また5つの中でどの診断ツールに当てはまるのかを理解できれば、どんなデータが収集できるのか、限界はどこまでかについて理解ができます。

その上で、各社サービスごと固有に特徴があるので、ベンダー担当者へ詳しく確認するとよいでしょう。

Q3:人材アセスメントの結果を現場に報告する際のポイントは何ですか?

A3:「正しい結果の解釈」と「正しい結果の活用方法」を理解していただきましょう。失敗ケースとして例えば、性格診断が内向的な人よりも、外向的な人の方が「人と接するのが得意である」と判断して、管理職に選んでしまうなどが挙げられます。

外向的な人は他人の意見に耳を傾けることに苦労して正しい課題への着手や課題を洗い出すことができない一方で、内向的な人は傾聴力を活かしてメンバーの問題を捉え、着実に問題解決を進めることができる場合もあり得ます。

そのため、現場には結果をなんとなく理解してもらうのではなく、正しく理解してもらうよう努めるとよいでしょう。

Q4:人材アセスメントの結果を元にした人事政策や人事決定において、気を付ける点は何でしょうか?

A. 「人材アセスメントの結果を過信しすぎないこと」、「複数の評価軸をもって実施すること」です。人材アセスメントは種類によって、収集できるデータが変わり、それに伴い活用できる方法も変化します。

また、1つの人材アセスメントツールだけでは、対象者のすべての側面を見ることは難しいです。そのため、例えば人事評価(パフォーマンス評価)、性格診断、アセスメントセンター方式を掛け合わせて、日々の業績は達成できているか、特定の職位・職種への適正は高そうか、上位の職位で成果を出すための準備は整っているかなどを複合的に判断することで、人事施策や人事決定の成功の確度が高まります。

6.おすすめソリューション&コンテンツ

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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