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社会福祉士が言いがちな「ニーズ」の本質【Xいいね100考察#03】

みなさんこんにちはKeiです。高度急性期病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士6年目で、毎月5,000PV以上のソーシャルワーク関連のブログやX (フォロワー1,200人以上)等を発信しています。

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今回は下記のポストを深掘りしていきます。


社会福祉士はニーズという言葉を乱用するが…

一般的に、欲求、要望、需要などと訳されるニーズはソーシャルワークの分野で「必要」と解釈されます。
クライエントが生活する上で必要なもの(欠損しているもの)を地域のフォーマルサービス及びインフォーマルサービスを活用して解決するべき課題を社会福祉士(以下SW)は「ニーズ」と呼んでいます。
では、SWのみなさんは「ニーズとは何なのか」を説明できますか?
今回は、ニーズの正体について具体的に説明していきます。

ニーズの本質を考察する

実際にあった事例で解説します。
80代男性で独居で生活中のAさんは以下の悩みがありました。
※細かな設定は本質からズレるのでなしです。

  • 杖で歩くのが億劫でお風呂に入れない

  • リハビリがしたい

  • 家に引きこもりがち

クライエントから頻繁に表出するニーズです。
ほとんどのSWが上記のニーズに対する回答として「訪問リハビリor通所リハビリの利用」が解決策として浮かんだと思います。
どちらのサービスを提供するのがAさんにとって有益なのかをアセスメントするのがSWの腕の見せ所です。
では、このような場面でのアセスメントはどのようにAさんへ行うのが望ましいでしょうか。

ニーズの正体は「ベネフィット」

「Aさんはサービスを利用した先でどんな未来を手に入れたいのか」を考える必要があります。
Aさんは入浴ができて、リハビリができて、外部からの刺激が得られたらどうなるのでしょうか。
「暖かい湯船に浸かれて」「筋力が向上して」「コミュニケーションが増える」そんな快適な生活を求めてサービスを利用します。
「お風呂に入れない」「歩けない」「話す相手がいない」からサービスを利用するわけではありません。
現状を打破するためではなく、未来の生活のためにサービスを利用するのです。
これは、マーケティングでいう「ベネフィット」です。
Aさんはベネフィットを手に入れるためにサービスを利用し、お金を支払います。

ベネフィットとメリットは混同しがち

ベネフィットと類似している表現で「メリット」という表現があります。
SWはこの2つを使い分けずにアプローチしていることが多いため、リハビリで違いのニュアンスを解説します。

リハビリのメリット

  • 理学療法士:下肢筋力向上

  • 作業療法士:小手先の感覚向上

  • 言語聴覚士:失語の解消

リハビリのベネフィット

  • 理学療法士:日課の散歩ができる

  • 作業療法士:箸を使って食べたい

  • 言語聴覚士:演歌を気持ちよく歌いたい

SWが重要視するのは当然ベネフィットです。
「筋力つけて歩けるようになりましょう」よりも「また日課の散歩ができるようになりましょう」の方がアプローチとして有効です。
ソーシャルワークの「ニーズ」はマーケティングの「ベネフィット」を指していることがわかります。

まとめ

ベネフィット=クライエントが欲しい結果(理想の未来)
メリット=ベネフィットが手に入る理由

Aさんは歩行練習ができて、カラオケのできる通所リハビリを利用しました。
「カラオケ好き」があつまる通所リハビリ利用したことでAさんの友人が増えて、通所リハビリ以外の日常的な交流も増えたそうです。


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