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【インタビュー】人生を見つめ直した20代後半、ときめきに呼ばれたデンマーク暮らし

インタビュー企画「気になるあのひとに会いにいく」の第5弾。このシリーズは、読者の方が「会いたい」「応援してみたい」と思う人に出会うきっかけになれたら嬉しいという想いから始めた企画です。今回は、デンマークでワーキングホリデー中の志波有里枝さん(しばちゃん)にお話をうかがいます。

しばちゃんは生き方やキャリアに迷う20代後半だからこそ、海外で暮らしてみることを選んだといいます。具体的な目標がないと、慣れた環境を飛び出すのは社会人には難しいものです。けれども挑戦をためらうのがもったいないと思うほど、デンマークで過ごすしばちゃんの表情はいきいきとしていました。日々刺激を受けているというデンマークでの生活と、ときめくことを選んだからこそ広がった縁について、早速聞いてみましょう。


その土地の暮らしは日常を豊かにするヒントになる


ーー現在はデンマークにいらっしゃるということですが、渡航するまでの経歴を教えていただけますか。

新卒で不動産企業にはいり、新卒採用や営業職を経験しました。尊敬できる同僚や上司に囲まれて夢中で働く一方で、不動産営業の仕事が自分の性格には合わないなと思ったのがちょうど20代後半で、自分の人生ってこのままでいいのかなとモヤモヤを抱える、いわゆるクオーターライフクライシスでした。

いろんな経験をしたい、広い世界を見たいと感じるタイプだったので、同じ会社で働き続けなくてもいいんじゃないかと思っていたんです。若いうちに業界や働きかた、住む国を変えてみて、その中から自分にいちばん合う生き方を選びたい。その選択肢のひとつがデンマークのワーホリでした。

ーー20代後半で人生について考える気持ちに、同世代としてすごく共感します。地方移住や世界一周の選択肢もあったという中で、デンマークでのワーホリを選んだ理由はなんだったのでしょうか。

デンマークは35カ国ほど旅をしてきた中で、長く住んでみたいと印象に残った国でした。ワーホリにこだわっていたわけではないのですが、当時ルームシェアをしていた仲の良い友人がデンマークにワーホリがあると教えてくれたんです。

それを聞いてまず「めっちゃいいじゃん!」と思いました。世界一周のようにずっと移動し続けるより、ひとつの国に定住してその国のライフスタイルを自分に取り入れたいと思ったんです。住みたい国と、自分にあった過ごし方という両方で、友達の言葉が刺さりました。

ーー旅をするのと住むのでは、その国で感じられることも違いますよね。しばちゃんはどんなことを求めて旅をすることが多いんですか。

もともと旅が好きだったのは、自分の知らない世界を知って選択肢を増やしたいという気持ちがあったからです。いろんな国を見るのが楽しくて大学生時代に旅にはまりました。

最近は、現地の人の価値観やライフスタイルを自分に取り入れることにわくわくしています。人によって合う国と合わない国があると思いますが、デンマークは私にとって「好きだな〜」と感じるものが多くて、現地の生活やファッションやインテリアに日々刺激を受けています。生活に取り入れたい、日常を豊かにするヒントがたくさんあるんです。

直感を頼りに飛び込んだ、デンマークでの刺激的な日々


ーーライフスタイルを取り入れるのが、最近の生活のテーマなんですね。はじめて旅行で訪れた時には、デンマークのどこに魅力を感じたんですか。

どのカフェに入っても内装が可愛いところに最初は惹かれました。学生時代に北欧4カ国を訪れたのですが、その中でも一番ときめいた国だったんです。ワーホリの候補も、デンマーク以外はほとんど考えませんでした。

ーーデンマークは一目惚れのような出会いだったんですね!渡航してからは5ヶ月ほどということですが、今はどのように過ごしているんですか。

首都のコペンハーゲンに住んでいますが、ここは都市と自然が共存しています。冬が長い北欧特有の気候の影響も強く受けるのですが、5月中旬にやっと暖かくなってきて、10月になったらもう真冬の寒さです。太陽の光の重要さを感じて、自然とともに生きている感覚が強くなりました。

何も準備せずに日本を飛び出して、ビザも家も仕事もすべて到着後に手配しました。家はアパートをルームシェアをしていて、仕事はこれまでベビーシッター、日本食レストラン、企業でのカスタマーサクセスなど、興味のあることをすべて経験してみました。

ーービザもですか!想像以上のスピード感でした。日本とは全く異なる環境だと思いますが、しばちゃん自身がすでに変化したと感じることは何かありますか

この街は、私にとって刺激が本当に多い街なんです。もともとインテリアやデザインが魅力的だからデンマークが好きだったのですが、毎日触れられる環境で過ごしてみて、やっぱり来てよかったと思います。

銀行や図書館までおしゃれだし、カラフルな色の組み合わせも上手だなと驚きます。どんよりとした長い冬を照らすかのような、パステルカラーの組み合わせのデザイン性が高いんです。

あとは美術館によく行くようになりました。日本ではほぼ行ったことがなかったんですが、芸術に触れる機会が日常でも増えたと思います。

ーーデンマークでの暮らしで、生活に取り入れたいと思ったことはほかに何かありますか。

デンマークの伝統的な価値観に、大切な人と心地の良い空間で過ごすヒュッゲというものがあります。キャンドルや間接照明で心を落ち着かせながら、美味しいものを食べたり、家族や友人とおしゃべりを楽しんだりする時間をイメージしてください。

デンマークのカフェや友人宅で体験したヒュッゲを自分なりに解釈して、日本でも自宅のインテリアや自分で開くお店に取り入れて表現してみたいです。

おいしいがつくる居場所、超える国境


ーーワーホリ後の生活については何か決めているんですか。

正直にいうと、目標や達成したいことは特に持たずに来ちゃいました。なのでワーホリ後に何をするかも、どこに住むのかもまだ決めていません。海外に住むこと自体がやりたいことだったので、これからどんなふうに自分の価値観が変わっていくのかという変化も楽しんでいます。

ただ、日本で週末に場所を借りて開いていた、SHIBA CURRYというカレー屋さんはこれからも続けたいです。正直なところ、提供するのはカレーじゃなくてもいいんですが、人が集まれる場所を作れることは私にとって大切だと思っています。

ーーヒュッゲでも人と過ごす空間を大切にしているように感じましたが、誰かと一緒にいる時間だったり、場所だったりを持つことがしばちゃんにとって大切なんでしょうか。

そこにもすごく強いこだわりはないんです。でも、日本でのお店は、友人のハンドメイド雑貨や手作りのお菓子を出す場所にもなっていました。いきなり公の場所に出品は難しくても、友達のお店ならハードルも下がります。そんなふうに、誰かの背中を後押しする場所がつくれたらいいなと思うんです。

ーーでは今は、生活の中で直感でときめいたことを試してみて、自然と起こる自分の変化を楽しんでいる時期なんですね。

そうですね。もうちょっと目標が決まってからは、それに向かってやらないといけないことが出てくると思っています。自分の力で稼いで、自分の好きなところに住むのがなりたい理想像なので、そのための力をつけるために頑張りたいと思います。

ーー直近では何かわくわくする予定が待っているんでしょうか。

ちょうど年末にかけて、コペンハーゲンでもSHIBA CURRYのポップアップをする予定です。カレー屋さんの話をバイト先のオーナーさんに話したところ、場所を貸してくれることになりました。デンマークの人たちにも興味を持ってもらえるようなカレー屋さんのコンセプトを考えているところです。

ーーとても素敵ですね!ぜひ日本に帰って来てからも、SHIBA CURRYの開催を待っています!

直感に導かれて日々を過ごすしばちゃんは、半年後に何にときめいているのでしょう。大人になればなるほど、自分のこころと体に素直な選択をするのは案外勇気がいることだと思います。けれども、社会人になってもわくわくを止めないで生きられる。そう信じられるインタビューでした。

デンマークの生活とコペンハーゲンでのSHIBA CURRYのポップアップの様子は、しばちゃんのSNSから覗いてみてください!

※インタビュー内容は2023年11月時点の内容です。年末に実施されたコペンハーゲンでのSHIBA CURRYでも、美味しそうなカレーがふるまわれていました。


プロフィール

志波有里枝 千葉県出身。国内47都道府県、海外37カ国を旅する。新卒で入社した不動産会社を退職し、現在はデンマークで1年間のワーホリ中。会社員時代から、週末の間借りカレー屋さん「SHIBA CURRY」を営んでいる。SHIBA CURRYの情報はSNSへ。

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しばちゃんアカウント

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(執筆)mayu
(写真提供)しばちゃん

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