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【14日目】ココロ・アタマの働きまとめ(ニンゲンのトリセツ・改)

◆「ココロ」と「アタマ」という【新しい概念】まとめ

 ここまで【三つのパーツ】のうち

・ココロ
・アタマ

の話を続けてきました。これらの話は読者のみなさんにとって「新しいこと」ばかりだったと思いますので、ちょっとここでまとめて振り返ってみたいと思います。


①ココロとアタマの違い

 【三つのパーツ】のうち、僕たちの“内側”にあって

  • 目には見えない

  • 触ることもできない

  • だけどたしかに「ある」

という性質を持っている二つ、それが「ココロ」と「アタマ」です。この二つについて、みなさんは今まで「自分の中にある『何か』」ということで「同じものを表す名前」……すなわち『心』とか『精神』などと、いっしょくたに呼んでいたはずです。ですがこの『モトの話』では、これら二つは全く違う性質を備えた「別モノ」として扱います。
 まず第一に、形が違います。「ココロ」という“器官”は「モトという粒子(ツブツブ)の集まり」という『形のあるもの』で、そして「アタマ」のほうは“脳の機能”ですので『形のないもの』となります。
 ですがどちらもやっぱり「目には見えないもの」ですから、僕たちがどうやってその二つを見分けるのかというと「機能」の違いです。

  • ココロは「感情」を出すパーツです。

  • アタマは「思考」を出すパーツです。

 こういうふうに、この二つのパーツは僕たちの“内側”で「別の動作」を行っています。


②【アタマとココロのケンカ】と【大いなる勘違い】

 このように「ココロ」と「アタマ」が「別の動作」を行っているため、状況に応じてそれぞれ「違う結論」を出してくることがよくあります。そのことを『モトの話』では

  • 【アタマとココロのケンカ】

と呼んでいます。
 ココロというものは【好き嫌いゲージ】を使ってモトの量を常にはかっています。そしてその変化の結果を「感情」という命令として僕たちのカラダに送ります。
 一方でアタマというものは、周囲の状況や自分の状態をよく「考えて」、どうふるまうのが一番“イイ”のかを「思考」しています。
 このように

  • 「感情」と「思考」は出どころが違う

のです。だから時々、気持ちと考えのギャップが生まれるわけです。

 このときに「アタマ」の言うことばかりを聞いてしまうことを『モトの話』では

  • 【大いなる勘違い】

と呼んでいます。これは「アタマ」で考えたことを優先することが「正しい人生」で、カラダはその道具、ココロは言うことを聞かないダメな自分、といった「勘違い」のことを指し、この勘違いが続いている間はずっと【アタマとココロのケンカ】でアタマが勝ち続けることになります。このことは、アタマががココロの『モトあつめ』をジャマし続けることになるため【好き嫌いゲージ】が上がりづらくなる、つまり『幸せを感じづらくなる』ことを意味しています。


③「ストレス」というものの正体

 【アタマとココロのケンカ】が起こった結果、僕たちの“内側”では「アタマの勝利」という状態になることがよくあります。それは僕たちニンゲンが『社会』という場所で暮らしているからで、周囲から教えられた「大事なこと」や、周りの人の様子などから、「アタマ」の言うことをきいたほうが“イイ”と「アタマで」判断するからです。
 僕たちが最終的に行動を決定する際には、通常ならば「アタマ」でどうするか考えるものです。いますぐおしっこを出したいけど、ここはトイレじゃないからやめておこう……というとき、ココロは「おしっこを出したい(不快をさけて【好き嫌いゲージ】をアゲたい)」と思っていますが、アタマは「トイレ以外でおしっこをするのは、社会ではイケナイこと」という「思考」をしますよね。こんな感じで、僕たちはよく『ガマン』をしてしまいます。
 社会で生きていく上でこういう『ガマン』は必要不可欠なものなのですが、こういう【アタマとココロのケンカ】で「アタマの勝利」がずっと続くと、ココロでは【好き嫌いゲージ】が少しずつ下がっていき(モトの量が増えない)、やがて慢性的に「半分以下」となってしまいます。
 実はこれまで、この状態を僕たちは『ストレス』と呼んできました。ストレスの原因は【アタマとココロのケンカ】で「アタマが勝ちすぎること」……つまり先ほどの【大いなる勘違い】をしている状態、というわけです。こんな“メカニズム”なのですから、いわゆるストレスの解消法というものが「ココロを意識的に勝たせてあげる」もの……カラオケで大声を出す、スポーツで体を動かす、趣味に没頭する、映画やアニメを見て感動したり笑ったりする……そういう「ココロを喜ばせる(モトを増やす)」ものなんです。


④新しい『感情コントロール』の考え方

 そもそも感情は「ココロ」から出てくるものです。ですから別のパーツである「アタマ」を使って直接「コントロール」することができるものではありません。
 感情というのは、【6日目】に書いたとおり「ココロが【好き嫌いゲージ】をアゲるためにカラダに出す命令」というのが“本質”なので、ココロという器官はそれ以外のことを全く考慮していません。
 ですから僕たちが『感情コントロール』と呼んでいるもの……怒りっぽいとか、メソメソしがちとか、そういうのを「やめよう! と『アタマ』で考えて直接コントロールしようとすること」は、僕たちニンゲンの【三つのパーツ】という“構造”から、基本的に不可能なことである、とはっきり分かります。
 では僕たちは普段、どうやって感情を「コントロール」しているのか? というと、実はそこには【三つのパーツ】による“シームレスな連動”が関わっているのです。


⑤『ABC理論』と【三つのパーツ】の合わせ技

 僕たちが普段「感情」をどのようにコントロールしているのか? を解説するために、認知行動療法の現場で広く利用されている理論

『ABC理論』

をご紹介しました。このABCとは

  • A「出来事」(Activating event)

  • B「信念(考え方の基礎のようなもの)」(Belief)

  • C「結果(わき起こった感情)」(Consequence)

という三つの「段階」を指しています。この三段階で僕たちのココロから「感情」というものが出てきます。

 この『ABC理論』について、『モトの話』においては

  • カラダ → 「A:出来事」を知覚する

  • アタマ → 「B:信念」で出来事を判定し、ココロに送る

  • ココロ → 「C:結果(感情)」好き嫌いゲージで感情を出す

こんなふうに【三つのパーツ】の各部が連動した結果、ココロから「感情」という“モトあつめの命令”が出されている、という説明になります。
 実は先ほどの『感情コントロール』というものは、この中の「B:信念」の部分を調整することによって行われています。これはつまり、僕たちが「C:結果(感情)」を自分の考えたとおりに変えたい! と思ったら、感情そのものではなく、「アタマ」の中の「B:信念」の部分にどのような

・無意識の習慣

が隠されているかを見極める必要がある、ということを表しています。


⑥「無意識の習慣」をおおい隠す『当たり前』という感覚

 『ABC理論』の手順は、実は“脳の機能”である「無意識の習慣」によって自動的に行われていることがほとんどです。この「無意識の習慣」に自分で気がつくことで、自分の感情を“コントロール”することが容易になるのですが、どのようにして「気づけ」ばいいのか? というと、それはあなたのアタマの中にある

・当たり前

という感覚に隠れています。
 ですから何らかの「C:結果(感情)」で悩んでいるなら、その「C:結果(感情)」が出ているときに、アタマの中でどのような「当たり前」から来る「B:信念」があるのかを、あなた自身で探る必要があるのです。これが『感情コントロール』の第一歩となります。


⑦「心配」という気持ちの“メカニズム”

 ここまでの

  • 【好き嫌いゲージ】

  • 【三つのパーツ】

  • 【アタマとココロのケンカ】

  • 『ABC理論』

という「新しい考え方」をうまく使うと、あらゆる感情の“メカニズム”を「言葉」を使って上手に『説明』できるようになります。その一例として挙げたのが「心配」という気持ちのメカニズムです。

 心配な気持ちのメカニズムはこうです。

・「ここではないどこか」または「今ではないいつか」のことをアタマで考える
  ↓
・イヤな考えが起こり、好き嫌いゲージが下がる(モト減少)
  ↓
・ココロが『心配』という感情を出す

 面白いのは、僕たちの「注目」というのは「自分自身で考えたことや想像したこと」に対してもモトを飛ばしている、ということです。ともかくこうした“メカニズム”でもって、僕たちはハラハラする気持ちを起こしています。
 ときにはこの「心配」する気持ちが自分や周りの人を助けることもあるので、すべてをなくしてしまえ、というわけではないのですが(感情が出ること自体は、とても自然な『ニンゲンの機能』です)、心配性でいつもハラハラし続けている人は、こういった“メカニズム”を意識して、アタマが「どういうふうに『イヤな考え』を出しているのか」を、自分自身の『当たり前』=『無意識の習慣』をあぶり出すことで探してみるといいかもしれません。


◆『正しい生き方』は、ある!!

 ここまで長々と「ココロ」というものと「アタマ」というものの違いと働きを書いてきました。結論として、僕たちは【3日目】に書いたとおり「幸せな方がイイ」ので、そのためにはアタマをうまく使いましょう、という話になるのですが……問題は

  • どう使うか

でして、その「どう」の中身に当たるものは、実は

・「正しい」生き方とは何か?

という話になってしまいます。

 「はじめに」でも書きましたが、この「正しい生き方」というのが何なのか……ここがはっきりしないと、ここまで書いてきた【大いなる勘違い】だの『感情コントロール』だのをきちんと自分でコントロールすることができないわけです。

 これまでのあらゆる人生訓・自己啓発・哲学・スピリチュアルなどは、こういった「正しさ」というものは「人それぞれ」で、自分に合ったものを探すことこそが人生だ……といった結論になっていたのではないかと思います。唯一、宗教だけは「〇〇を信じなさい」という教えを広め、それが「正しい」と決めてくれるものでしたが、これも「〇〇」が宗教によって違うため、時には悲しい殺し合いに発展するほどの差が発生したりします。

 ところがどっこい……!

 何を隠そう、シリーズ『モトの話』はこの「正しい生き方」というものを、ニンゲンの構造と宇宙全体の構造を「モト」という新しい概念で解き明かすことで、きちんと言葉にすることを目的としています。ですからこの『モトの話』を続けて読んでいると、僕たちがニンゲンである以上、この本を読んでいるあなただけでなく、隣の人、周囲の人、イヤな上司やムカつく後輩、宗教や政治の考えが違う人や地球の裏側にいる全く面識のない人までが(もちろん筆者も)、全員同じ『構造』であるがゆえの「正しい生き方」というものが“存在する”ことが理解できるようになります。

 ですが……これは一口で説明できるものではなく、本数冊分の解説が必要になることなんです(この本も含みます)。ですから、将来的に必ず明かしますから、今はどうか「正しい生き方は『ある』」という話だけに留めさせてください。具体的には、上級編(四冊目)で「人生とは何か」「どう生きるのが正しいのか」を示し、その次のエキスパート編(五冊目)で「なぜそう言えるのか」すべてを解説します。


(tips)
 どうしても気になる方のために、ちょっとだけ書いておきます……
『モトの話』では「人生とは何か?」の答えは

【個別のドラマ】が【関わりの網目】によって連なる【地獄世界】の『時間の構造』の一部分

『ジンセイのトリセツ』(シリーズ:モトの話④上級編)

である、となり、その構造から分かる「最も正しい生き方」は

【うに】の目的にしたがって『許す』こと

『ジンセイのトリセツ』(シリーズ:モトの話④上級編)

となります……ね、まだ難しいでしょ?


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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)