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【31日目】神さまが開けた『パンドラの箱』(セカイのトリセツ)


※ご注意※
 『モトの話』の最終奥義として【神さま】の話をしています。
 ですがこれは

  • 特定の宗教への勧誘

  • 創作した宗教団体への勧誘

  • モトの話への信仰の要求

を目的としたものではありません。


◆【大いなる矛盾】の導入手順

 前回の話で、ようやく【神さま】がこの【地獄】というセカイをなぜ創ったのか? が分かりましたね。神さまの大疑問
「私は誰なんだ?」
の答えを探るためにこの【地獄】が創られたんです。

 しかし、ここで一つ問題が出ました。

 自分の創り出した【地獄世界】の中でも、『他者』どうしは特にどれも違いがなかったんです。
 なぜなら当時の地獄には

「やらないといけないこと」

がなかったので、特に「特徴」を見出す必要がなかったからです。せっかく地獄に存在しているのに、神さまと同じ特徴を持った単純な「ミニサイズの神さま」ばかりだと、ただ存在しているだけで【有】のモトでいっぱいになってしまっていたんです。
 これでは神さまの大疑問を解くために「他者との比較で自分を割り出す」ことができなくなってしまいます。

 そこで【神さま】は、この新しいセカイの『他者』たちに「すること」を与えました。すなわちそれこそが

【大いなる矛盾】

上級編【4日目】『大いなる矛盾』の世界とその名前

なんです。

 この世界にいる『他者』同士が、お互いが何者かわからない状態で「食うか食われるか」の厳しいシチュエーションにおいてみたら、きっと激しく競争することになって、その結果として個々に色々な「特徴」が出てくるはずです。


◆ココロに【好き嫌いゲージ】があるのはなぜか

 ところが……【大いなる矛盾】があるだけではこの『他者』たちは競争をしませんでした。なぜなら全てがミニサイズの【神さま】自身なので……つまり【有】のモトがいっぱいの「愛の状態」マックスのままなので、お互いがお互いを差し出して、食べさせてしまうからです。
 【愛】というのは「モトの量」でしたね。ココロのモトの量がマックスの状態が【愛】です。愛があれば何でもできます。相手に自分を分け与えることもできます……その頃の『他者』どうしは(神さまが自分を分割した)モトだけでできていたので(つまり肉体を食われる痛みも無いので)楽勝で自分を差し出すことができたのでした。
 素晴らしい世界なのですが……これでは「競争」にならないので個々の「特徴」が生まれません。【神さま】はあくまで「特徴」が知りたかったんです。

 こんなわけで、【神さま】は僕たちに

「ココロの量」と【好き嫌いゲージ】

入門編【6日目】『好き嫌いゲージ』ココロがモトをはかる道具

をつけることにしました。
 この好き嫌いゲージが僕たちに備わることによって、ココロの量が減ると「嫌な気持ち」が出てくるようになります。こうしてこの【地獄】世界の生き物にはネガティブな感情である

  • 恐怖

  • 不安

  • 怒り

  • 心配

  • 後悔

  • 悲しみ

  • 嫌悪

こういったものがいっぺんに備わりました……まるでギリシャ神話『パンドラの箱』のように。
 みなさんもよく御存知の通り、好き嫌いゲージの減少にともなう「マイナスの気持ち」は、とてもイヤなものです。ですからできるだけ「避けよう」としますよね。それは人間に限らず、ほかの動物や(なんと)植物も同じで、どんな生き物もやっぱり「好き嫌いゲージを減らしてくる他者の行動」をできるだけ避けようと行動したり進化したりするものです。
 つまりです……これがすなわち、神さまが僕たち【地獄】の住人に与えた

「やらないといけないこと」

そのものなのです。


◆「物質」の誕生

 しかしまだ問題が残っています……好き嫌いゲージが下がってネガティブな感情を出すためには「襲ってくる他者の状態を認識する」必要がありました。それに「苦しみが簡単に消えない」装置も必要でした。
 なぜなら「他者に襲われて食われて死ぬ」という認識ができないと、その状況を「恐れる」というマイナスの気持ち(好き嫌いゲージの減少)を『体験』することができないからです。好き嫌いゲージが設計どおりに減少してくれないと、先に挙げたような「負の感情」も経験できません。
 それに、実際に「痛み」のような感覚がないと、それにともなう「マイナスの感情」がなかなかでてきません。感覚的に「苦しい」からこそ、避けようとするのですから。

 そこで、神さまは自分を分割して創り出した世界に

「物質」という概念

を生み出しました。
 本当は全体がモトでできている「ミニサイズの神さま」である【地獄】世界の住人たちが、この「物質」というものだけを感覚器官で知覚・認識すること「しかできない」ようになれば、お互いがお互いの『モトの状態』を知ることができなくなりますし、自分自身の『モトの状態』もわからなくなるはずです。
 これなら【地獄】の住人にとって「物質」こそが世界のすべて(という認識)になるはずで、そうするとより「他者と比べることで自分の特徴を知る」という仕事がやりやすくなるはずです……相手も自分も同じ『モト』でできていることが分からなくなるから、言いかえると

「より他者が他者らしくなる」から

です。

 こうして、少しずつ僕たちの世界が今の【地獄】らしくなっていきました……なんて迷惑な!


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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)