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独立学園に行ってきた。
山形県小国町。

一学年25人の高校。山の中にあって、
田んぼと畑と牧場を持つ。
畜産部、園芸部、コメ部が「3大部活」で、
ほかに食品加工部、製パン部があり、
食べ物以外はハンドベル部もある。

スポーツ系はない。
みんなで楽しむのはいいが、
部活としては認めない。

スポーツは勝ち負けがある。
優劣が生じる。
平等が前提ではないが、
あるものあるんだから、
楽しむぶんにはかまわないけれども、
部活としてはまあやめておこう、
ということ。

全寮制で、スマホもパソコンもダメ。
テレビもダメ。
だから、夜はヒマである。
ヒマなうえに「沈黙の時間」が
2時間もある。
「沈黙の時間」は、なるべく物音を立ててはいけない。
要するに「自習時間」だが、
「自習」といわず「沈黙」といってるから、
勉強を強いてるわけではない。
ただ、「人としゃべるな」。

1年生は、昨日までスマホにタブレットにゲームがあって、SNSでコミュニケーションして、
という日常から、「沈黙の時間」が毎日になる。
何をしていいのかわからないから、
いろんなことを考えるしかない。
考えてたらモヤモヤしてきて、
それが何なのか知りたくて、
でも検索しようにもネットがないから、
わからないことは人に聞くしかない。
聞かれた方もわからないから、
また別の人に聞く。
別の人が答えると、
また別の人が「いやそうじゃない」と、
異論を展開する。
じゃあどっちが正しいのか、
第三者に判定を求める。
第三者はあろうことか、第三の論を唱える。

こうして、ひとりの「わからないこと」は
みんなで共有されることになる。
シェアである。

シェアはいまどきのことだが、
独立学園では昔からシェアしている。
食事も自分たちで作ってシェアしている。
悩みもわからないこともシェアしている。
山登りが盛んで(山ばっかりのところだから)、
そこでもいろんなシェアしながら頂きを目指し、
シェアしながら学園に下りてくる。

ただし、シェアしてはいけないのが、
毎日2時間の「沈黙の時間」である。