インド物語−デリー⑥-

画像1 逃げるようにジャマー・マスジットを出た。何人かの男たちが叫んでいた。その声が聞こえなくなってからもしばらく心は落ち着かなくて腹の中で錆びた鉄が溶けているように胃が傷んだ。無心で道をぐいぐい進み坂道を登り下って気がつくと集落にいた。そこは部外者のためのものは一切用意されていない場所だった。道路から一段下がった家が並び道端には瓦礫が並んでいた。リクシャが走っていたので安心した。あれに乗れば知っている町まで戻れるはずだった。捕まえたリクシャの引き手は私の顔をみて何故かニヤリと笑った。彼には歯がなかった。

サポートしていただいたお金で、書斎を手に入れます。それからネコを飼って、コタツを用意するつもりです。蜜柑も食べます。