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そこにあるあたりまえのしあわせを見失わないように 【4/14 巨人戦○】

しょっぱなからエイオキがホームランを放ち、先制したのもつかの間、あっという間に永遠のアーチに永遠のアーチを打たれて逆転されていた。本当に永遠のアーチってなんなんだ教えて欲しい。

それでも、(もう遠い昔のことのようだけれども)ヤクルトはすぐにエイオキのセーフティやらてっぱちのヒットやらココちゃんのチームバッティングによるタイムリーやら、なおみちの3ランやらで5点を追加する。

6-2。あなたはこれなら勝てると思いますか?私はもちろん思いません。当たり前のように、4点差はあっという間に追いつかれていた。当たり前だ、そんなもの。だから20点取らなきゃいけないのだ。

でもこの乱打戦になると思われた試合の流れを少し変えたのは、今日もやっぱり五十嵐さんの投球だった。久々にぴしゃりと、打者を三人で抑えてくれた。(いや、やや胃が痛いあたりとかはあったけれど。)ああいった仕事をしていればそりゃ、勝ちもつくよな、と思う。

続く5回表、先頭打者の19歳村上くんは、勝ち越しのホームランを放った。昨日の、クリーンナップが全員ホームランを放った豪華な試合とはまた違い、今日はなおみちが3ランを放ち、村上くんが決勝点になるホームランを打ち、駄目押しであきおがタイムリーを打つ、若手たちの躍動する試合だった。

みんな松山で一緒にどろんこになってたもんね、と私は思う。村上くん以外は、レギュラーを確約されているわけじゃない。松山のメンバーの中で、明らかに、村上くんだけは特別待遇なのだ。

でもみんな、そこに立つからには同じ一つの勝ちを目指して、そこでの1点を目指して、戦ってゆく。19歳が放つ貴重な決勝点を、みんなで後押しする。村上くんには、村上くんの仕事があるように、たいしやあきおやなおみちにもそれぞれ、自分だけの仕事がある。

村上くんは、初めてのヒーローインタビューで答える。

「ちょうど地震から3年が経ってるんで、あの時はなかなか野球ができなかったんですけど、今こうやって野球をできる喜びを、一打席一打席、一球一球、一試合一試合、感じながら頑張りたいなと思います。」

19歳の言葉一つ一つに、私はハッとする。

そうだよな、そこにある、もっとも小さくてそしてもっとも大切なしあわせを、忘れちゃいけないんだよな、と思う。

ヤクルトは一体どうしたことか真っ先に10勝し、気づけば首位になっている。だけどもちろんそれが長く続くわけじゃない。これからまあきっと首位はまた入れ替わるし、いつものような大型連敗が待っているかもしれないし、悪夢みたいなサヨナラだってあるかもしれない。でも、とにかく、ヤクルトは今年も試合をしっかりしてくれて、私たちは野球を見て楽しむことができる。そして私は今年も、神宮でビールを飲むことができる。

そこで野球が見られることは、そして野球ができることは、本当は当たり前じゃない。当たり前にそこにいると思っていたぐっちは、今チームを離れている。

子育てだって、仕事だって、なんだってそうなんだ。息子がさっぱりくもんの宿題をしなかったり、息子とむすめは毎日まいにちしょーもないことでけんかをしていたり、オットは今日もその辺に靴下を脱ぎっぱなしにしていたり、全くなんでこんな煩わしいのだ毎日は、と思うけれど、それでもそこで、家族は元気に生きている。それは、決して当たり前じゃない、とても大切な、何より大切なしあわせだ。それを見失わないことは、生きていく上ですごく大切だ。

村上くんは、まだ19歳だ。あんなにしっかりしているけれど、自分のために必死に頑張っていい歳だ。「チームのため」も「熊本のため」もそれはもちろん立派だけれど、まだまだそんなに多くのものを背負いすぎず、伸びやかに野球をしていて欲しいと、いつも思ってしまう。ただその根っこに、「野球がやりたいけれどもできない経験」があり、そして「今野球ができる喜び」を知っているのだとしたら、それはとても強い軸に、なっていくかもしれない。

そういったわけで、私も連勝だの勝ち越しだの順位だのそんなことはまだ一切気にせず、静かに、謙虚に、今野球を見られるしあわせをかみしめて、応援していきたいと思います。ただし次の試合はじゅりが完投してくれますようにと思っています。




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