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その日の「チームのため」は将来の「自分のため」につながってゆく 【3/6オープン戦 オリックス○】

試合が終わった瞬間、Apple Watchが「深呼吸しましょう」と提案してきた。よっぽど呼吸が乱れていたらしい。疲れた。どっと疲れた。つい「勝ちたい」と思ってしまった。この「勝ちたい」という気持ちを持ち始めるとまずい。この人たちはそこに付け入り胃を痛めまくってくる。

というわけで私は今日もまた「こりゃだめだいつものヤクルトだ」と言ってさじを投げた。良い流れに乗り切れない。相変わらずのミスがある。点を取った直後に取り返される。ここでとらなきゃいつとる!というチャンスで凡退する。そしてチャンスを潰した直後に失点する。胃が痛い。そりゃApple Watchだって深呼吸を勧めてくる。

だけどこのシーソーゲームで、ヤクルトは踏ん張った。2-8くらいで負けてもおかしくない流れだったけれど、なんとかかんとか5-4で勝った。5-4というところに胃の痛さが凝縮されているけれど。

6回表、たいしが四球を選び(!)迎えた二死満塁のチャンスで、村上くんは三振した。まだまだこのチャンスを生かせるようになるには経験が必要だなとか思っていたら、8回表、二死2塁の場面で勝ち越しのタイムリーツーベースを放った。生かせなかったチャンスを挽回するまでが早すぎる。まだまだ経験が必要だとか言ってすみませんでした。

ミスをした時、だめだった時、落胆するんじゃなくてなにくそと立ち向かってゆく。そういうたくましさが、そして図太さが、垣間見れるようになってきたなあと思う。村上君だけじゃなくて、たいしにも、なおみちにも、塩見にも、あきおにも。それがきっと、シーソーゲームを粘り強く戦い抜く根気につながっているのかもしれない。

その表情を見ているとやっぱり、松山や、浦添を思い出さずにはいられない。特に松山でどろんこになりながら、必死にトレーニングしていた姿が、声を出していた姿が、今の姿に重なる。

たとえば夕暮れ時の松山のグラウンドに響くあきおの声を思い出す。あの時必死に追った何かが、寺原との良きバッテリーにつながったのであればいいな、と思う。今日のヒットにつながっていたのであればいいな、と思う。

だけどあの時の全員が、これからいつも試合に出られるわけじゃない。開幕一軍をつかみ取れるわけじゃない。ある日突然、トレードを言い渡されるかもしれない。あんなに、あんなにどろんこになっていたやちくんがもう今は、別のユニフォームを見て別の球場に立つように。

でも、野球はもちろんチームでプレーするものだけど、「個」が色濃く出るスポーツだ。上田のバントはチームのためにすごく大切だけれど、一方で上田はいつも、自分のために、一人黙々とトレーニングをしている(こともある)。それがサヨナラの1本を放つ(こともある)。そしてそれは、例えばやちくんのようにチームを変わっても、自分が生きて行くための技術につながってゆく。その日の「チームのため」は、将来の「自分のため」だ。

オープン戦が終わればまた、長い長いシーズンが始まる。きっとまた、いろんなことが起こる。我が家の家宝である、抽選で当たったぐっちのサインボールは、その重みをころころと変える。(ひどい負け方をした日はとても重たくなる)

その時その時、で切り替えて、良い時も悪い時も、ただひたすらまっすぐに、あのどろんこのトレーニングを思い出しながら戦って行ってもらえたらなと勝手ながら思います。私も良い時も、悪い時も変わらず応援してゆきたい。今日みたいな試合の試合中は「おいこらもう信じられへんはいもう見ない」とか叫びますけどね。ふむ。


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