見出し画像

胎動カウント完全ガイド

こんにちは、助産師Suiです。
今回は胎動カウントという凄く大切なテーマについて
取り上げてお話します。

妊婦さんは必ず読んでくださいね。

胎動って何?

胎動とは胎児の動きをいいます。
ぐるんと動いたり、手足を伸ばしたりキック・パンチをしたり‥
胎動があることは赤ちゃんが生きているサインということになります。

胎動はいつから?

胎動は妊娠7週から始まり,妊娠が進むにつれ赤ちゃんの動きが変化し成熟していくと言われています。

妊娠8週を超えると体幹の動きが始まります。 1)
実際に妊婦さんが胎動を自覚し始めるのは平均的には18-20週

経産婦は初産婦に比べ胎動を早く感じることもあるため中には15~16週で胎動が分かる方もいらっしゃいますが個人差が大きいです。

赤ちゃんには 20~75 分の睡眠(sleepawake)サイクルが生じますが、これは妊婦さんの活動とは無関係です。

赤ちゃんが寝ている時間は平均23分と報告されています。2)
お腹にいる赤ちゃんは寝たり、起きたりを繰り返しながらお腹のなかですくすく育っているのです。

人によって胎動の感じ方は違う?

知人は胎動が激しくてしんどいと言っていたけど、自分は胎動をあまり感じない‥という質問を助産師外来で何度かお聞きすることがあります。
質問にお答えすると胎動の感じやすさは人によって異なります。

また上記以外にも重要なのが「羊水量」です。
羊水量は胎動にとって大事な因子です。

羊水量が少ないとスペースの関係から胎動が制限されるためか妊婦さんは胎動を感じにくくなります。

羊水量が最も多いのは妊娠28~32週頃であり、この時期に胎動は最もよく観察されるといわれています。

また全ての胎動を妊婦さんが分かる訳ではなく、胎動のおよそ80%が分かると報告されています。4)

一般的に20秒以上の長く続く胎動のほうが妊婦さんは分かりやすいといわれています。5)

胎動は妊娠後期に減る?

妊娠後期になると胎動は減るという文章を妊娠アプリで見たことがあり、実際に妊婦さんからも胎動減らないのでお産はまだですよねという声を聞くこともあります。

これは具体的にいうと「1番多い時期(32週)に比べると減る」が正しいです。そのため、妊娠後期だからといって胎動がほとんど無くなる訳ではありません。6)

胎動が少ない、ないことはお産が近づいているサインではなく、むしろ周産期スタッフからすると怖いサインです。

妊娠後期もしっかり胎動があることは素直に喜んで頂いてもらって大丈夫なのでご安心を!

胎動カウント

胎動が少なくなったかどうか判断するものとして「胎動カウント」というものがあります。

アメリカ産婦人科学会はもしも胎動を10回カウントするまでに30分以上要する場合は1日2ー3回測定するようにと述べています7)

ただ赤ちゃんは20ー75分周期で睡眠ー覚醒しているため、胎動が20~30分全くない場合は寝ている可能性があります。

そういう場合は妊婦さんが体の向きを反対の横向きに変えるだけで赤ちゃんが起きて胎動が出現する可能性も大いにあります。

また前述したように胎動が分かりづらい要因があると胎動カウント・・・結構大変だったりします(私自身、第1子の妊娠時は胎動が分かりづらくて困りました‥)

特に日中は家事や仕事もあり妊婦さんも動いていると胎動が分かりづらい場合もあります。

心配される方もいらっしゃいますが、10回カウントするまでに30分以上かかる=赤ちゃんが元気ないという訳ではありません。

一般的に妊娠週数とともにこの胎動カウントの所要時間は増加し,所要時間の平均は妊娠22~36週で25分,妊娠37~40週で35分というデータもあります8)

胎動がない・弱い場合は直ぐに産院へ連絡!

先ほどでもお話しましたが1時間に10回未満もしくは全く胎動が無い、いつもよりも胎動が弱く感じる場合は直ぐに病院へ電話をしましょう。

赤ちゃんが元気のないサインとして考えられる原因はいくつかありますが、原因として有名なものの1つに常位胎盤早期剝離という病気があります。

これは赤ちゃんがまだ子宮内にいる状態の中で胎盤が先に子宮から剥がれてしまう病気です。

胎盤が先に剥がれてしまうために赤ちゃんに供給される酸素や栄養が少なくなり、赤ちゃんが苦しくなってしまいます。

この病気は赤ちゃんだけではなく、妊婦さんも生命の危機に陥る可能性もある病気です。

結構笑えないので、すぐ産院へ連絡を!!

ただこの症状全てがある訳ではなく、胎盤の剥離した面積や剥離の進行具合によっても全く異なります

そのため胎動が少ないもしくはない常位胎盤早期剝離の症状がある場合はしつこいですが、必ず産院へお電話しましょう。

例え深夜・早朝であったとしても必ずすぐに電話をしましょう!
いえ、して下さい‥!お願いします(切実)

病院やスタッフに遠慮してもう少し待ってみよう・・と思う方もいらっしゃるのですが、そのような遠慮は無用です!

もしも来院して赤ちゃんの状態を確認し、赤ちゃんが元気だったとしても私たちは「こんな時間に受診して・・」なんて絶対に思いません。「赤ちゃんも妊婦さんも何もなくて良かったですね」とむしろ安堵します!

私たち周産期に携わるスタッフはいつでも皆さんの味方であり、理解者です。

「どうしよう・・」という言葉が脳裏をよぎった、その瞬間がまさに電話すべきタイミングです。

今回は以上となります。
また次の記事をご覧いただけたら嬉しいです。
それでは、助産師Suiでした!

公式LINEをはじめました。
こちらのLINEではnoteの更新情報Twitterでは書けないお話,LINE登録者限定の記事配信などをこっそりとお伝えしていきますので、ぜひ登録してくださいね!!

ちなみに、過去にはこんな記事も書いてます。
ご興味ありましたらぜひご一読ください。

引用文献

  1. 高橋 宏典, 妊娠30週妊婦から「胎動が減少している」と連絡があった。どのような場合に来院させるか?周産期医学 2021,51(6): 848-851 

  2. 同上

  3. 同上

  4. 同上

  5. 同上

  6. 住江正大,妊娠期のこれホント!?① PERINATAL CARE:2017 VOL36 P12

  7. 長谷川潤一,産科グリーンノート: 1版1刷 P307-308

  8. 高橋 宏典, 妊娠30週妊婦から「胎動が減少している」と連絡があった。どのような場合に来院させるか?周産期医学 2021,51(6): 848-851


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?