私は1日が終わらないんだよ


朝。
5時30分。

6時にアラームをセットしていたのに、息子の泣き声で早めの起床。
電気をつけると、コロッと笑って遊び始める。



寝入りから4回に及ぶ夜泣き対応と、深夜3時帰宅の夫に夜ご飯なんだか朝ごはんなんだか分からない食事を準備して出して、ほとんど寝た感じがしない朝。

いつもの如く後追いが激しく、朝からサークルの中でグズグズする息子を尻目に仕事へ行く準備をする私。


朝ごはんを出せども食べずにグズグズ。

したくもないのに思わずイライラしてしまう。
深夜?早朝?帰りの夫が、私のイライラする声を聞いて起きてきた。

タイミングが悪く、ちょうどミルクをあげようとしていたところだったのに、夫の登場で遊びたいスイッチが入ってしまい拒否される。

「もう……、今ミルク飲むところだったのに。」
保育園でミルクが飲めない息子。
今飲んでおかないと夕方迎えに行くまでNONミルクになってしまう。

『……タイミング悪かったね。』と、夫。


なんだかんだ拒否られながらも、なんとか170ccほど飲ませて、イライラしながら夫が待つベビーサークルの中へ息子を入れる。


……分かってる。
つい数時間前に帰宅した夫がリビングに出てきたのは、イライラしている私に息子の対応をさせたくないからだ。


「ごめんね、イライラして……。」と、私が言うと、

『うん、気にはなってるかな。』と言いながら息子と遊ぶ夫。


分かってる、分かってるんだ。
イライラしながら息子の対応をしないで欲しいこと。

でも、全く終わる気配のない夜泣きに毎夜付き合って、なんなら貴方は夜勤務で昼夜が逆転していて夜中に起きている休みの日でも、私が1人で夜泣き対応しているのだ。

「もう、代わって欲しい……。」何度も言ったけど、貴方はいつも乾いた笑いでスルッと私の言葉をなかったみたいに避けるばかりじゃないか。


独身の時は夫だって洗濯も掃除も料理もしていたはずなのに、今は何もしないで独身時代よりも快適に仕事をして、ただ仕事をしているだけなのが許せなくなってしまった。

分かってる。
全部が全部そんな事もなくて、少しずつ手伝おうとし始めてくれていることも。

分かってる。
忙しくて残業が多くて、以前の職場と違って気を遣う職場であることも。

でも、それでも……。



「〇〇(夫)は毎日ちゃんと1日が終わるのかもしれないけど、私は毎日、1日が終わらないんだよ……。」

……耐えきれず、こぼれてしまった。

無言で洗濯機を回して、ゴミを集めてゴミ出しをし、保育園へお迎えに行ったあと車の中で飲ませるミルクの準備、息子のオムツ替えと検温、連絡帳の記入、私の着替えと身支度を済ませる。


ややあって、
『〇〇(息子)のこと、全部任せてごめん。』と言ってくる。

「……うん。」と、答えたけど、どこまで本当に思っているのか分からない。
言葉なんて、励ましなんていらない。
態度で示して欲しい。

自分が飲んで空にしたペットボトルは自分で片付けて欲しい。
言われなくてもやって欲しいことがたくさんあるのに、言われないとできない。

察して欲しいなんて、思ってはいけないというけれど、誰がどう見てもな状況でも何も察することが出来ない夫もどうかと思う。

……私は2人子どもを育てているのか??


今まで溜めてきた全てをぶちまけて、怒り狂いたい気分だった。

なのに、頭は何故かすごく冷静で、今ここでぶちまけても何の解決にもならないことを悟った。

怒り狂いたくなるほど、がんばりすぎた、仕方ない。
今は優しい言葉が口から出てくる訳もないから黙っていよう。


そうしている間に、私の怒りも収まってきた。

夫は今日、休みなのだ。
私は息子を連れて保育園へ、仕事に行く。

夫は、夜は飲み会なんだそう。
19時からだというので、保育園帰りでグズグズMAXな息子を、帰宅後少し見ていてもらおうと思ったのに、17時前には家を出ると言う。
それでは、私と入れ違いになる。

むくむくと、また私の中のわたしが不満をぶちまける。


もう諦めよう。
私は仕事へ行ってリフレッシュする。
夫の夜ご飯を作らなくて済むと思えば、楽じゃないか。

夫が帰宅する頃には、私も疲れきって寝ていることだろうから、もう今日は顔を合わせなくて済む。
深夜に帰宅したとしても、今日は食事を出さなくていいのだから起きなくていい。


そうやって、私を鎮めた。




帰宅すると、夫は既にいなかった。
でも、掃除をしてくれた形跡がある。

寝室で息子の夕寝の寝かしつけをしていると、帰ってきた音がした。

私は寝かしつけ中で動けなかったけれど、抱っこしている息子の背後に携帯を取りだし、
”掃除しておいてくれて、ありがとう”と、打った。

夜ご飯を買ってきてくれたらしい。
今日は夫が飲み会だから、私は卵かけご飯でも食べようと思っていたので、正直嬉しかった。

結局夕寝できなかったものの、機嫌がよかったので就寝までいつも通りに過ごせた。
私も疲れていたので、20時には眠りについた。


22時30分。
1回目の夜泣き対応を終える。
携帯の画面を見ると、十数分前に”今から帰ります!”と夫からメッセージが入っていた。

それから程なくして夫が帰ってきた。
寝付いたばかりの息子が起きないように寝室を抜け出す。

夫の手には無印良品の袋。
その中からビアードパパのシュークリームを取り出す。

『飲み会の前に買ったから、時間経っちゃったけど……。』
それから、無印で購入したお菓子と抹茶ラテの素を取り、私に差し出す。

それからレトルトのカレーやおかずを取りだして、『2個ずつ買ってきたから、ご飯作るの大変な時とか食べていいからね。』と言う。

「いや、私はもったいないから、私いない時の食事の時に〇〇(夫)食べて。」
『いつも卵かけご飯ばっかり食べてないで……食べて。』


それから、朝の出来事なんてなかったみたいに、2人でシュークリームをたべながら、夫は飲み会の話をして、私は今日の息子の話、私の新しい職場の話をした。


結局、まんまと夫からご機嫌取りをされてしまった私なのだった。

いままでイライラする事はあっても、ブチ切れしたことはないけれど、それはいつかの大事な時のために温めておこうと思う。


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