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世界の酒窓から~コニャック in プラハ~

前回はドイツ、チェコそしてポーランドで出会ったビールの話をしました。
サワービールとピルスナーのセミダークとダーク、そして無濾過のビールの個性と面白さ、味わいなどについてでした。

そして今回は旅で出会ったお酒たちについての続きです。
ブランデーについて取り上げていきます。


ブランデー。
ブランデーはブドウからできる蒸留酒であることもあり、今まで比較的飲む機会が多かった蒸留酒でもあります。

が今回の旅ではブランデーを再発見してきました。

まずそもそもなぜチェコでブランデーに出会ってしまったのかということなのですが、実はこれはチェコのブランデーでもなんでもなく、チェコでフランスのコニャックに出会ってしまったのです。

チェコのプラハ城付近を歩いていると、
たまたま通りかかった店の看板にwine & brandyの文字が。

ワインショップを見かけたらとりあえず入ってみるというのが私の生態の一部となっていますからもちろん避けては通れません。

そこに入ると琥珀色に輝くブランデーのボトルの数々。

階段を下りていくとその奥にワインのスペースがありました。

エノマティック風のマシンがあったので、テイスティングができるのですか?と伺うと、ワインのテイスティングが1杯いくら、コニャックテイスティングがいくらなどと説明してくれました。

そのなかで我々のお気に召したプランは、バーテンダーさんの説明つきコニャックテイスティング(2500円ぐらい)でした。
もちろん2人で割り勘ですが。


とりあえず説明を受けます。
コニャックにはこういった地域の区分があって、この地域が一番有名でなど。

そしてそれを踏まえたうえでいざ試飲。

Bache Gabriesen 3KORS
3年熟成のライトで華やかなタイプ。
まだフルーツの香りがしっかりと残っており、甘口ワインを彷彿とさせるような、ハチミツや黄桃のようなニュアンス。

Chateau Montifaud VSOP Diva
次は10年熟成。
この辺りでかなり熟したような果実香に変わってきます。ドライフルーツのような香りにうまく樽熟のスパイス香が感じられます。
また先のブランデーより少し香りが落ち着いた印象もあり、全体のバランスがよくまとまった優等生タイプになっていました。


既にVSOPですがどんどんランクが上がっていきます。

Maison Guerbe RARE
次は18年。
そして産地もGrande Champagne (シャンパンとは関係ないよ)とコニャックの産地の中で最もブランド力のある地域のものだそうです。
彼はかなりやんちゃで舌触りも少しひりつくようなアルコール感がありながら、スモーキーさとバニラ、キャラメルなどの甘い香りが一体感をもって感じられます。
しかし彼のすごいところはここからのツンデレ。
時間が経てば少しずつ舌触りもまろやかになり、香りもドライフルーツの甘さまで醸し出してくるではないですか。
時間経過で最も楽しめたのはこのブランデーでした。

まだあります。
Francois Glboin XO

ついに来ましたXO。

ワインエキスパートの試験を受けていた頃はVSOPとかXOの違いとか覚えていたのだけれど忘れてしまった。

それはそうとこちらは1962,72,82,92の4つの年のみのブレンド。
一番若いEau de Vie(フランス語で命の水)で92年。先輩です。
ここでのEau de Vieとは一連の蒸留したときにできてくる蒸留酒の1つのまとまった量のことを指すそうです。

しかしこのブランデーの高貴な味わいのなんたるや。
度肝を抜かれました。
2人して「これを飲めば宮殿が見える」なんてことを言いながら。

このブランデーの最大の特徴は全く引っ掛かりがないこと。
どこにも棘のないバニラ、アーモンド、花の香りなどが優しく混ざり合い、そのどれもが主張することなく調和しています。全体の香り自体も強くなく上品さを感じさせます。

そして味わいもアルコールの焼け感もなく、丸く滑らかに感じられ、その余韻もかなりの長さで、その美しさにしばし声を失ってしまいます。


ここまで来てお気づきの方もいるかと思いますが、
美味しいブランデーになればなるほど、抽象的かつ長々と文字が並んでしまうのです。

かつてフランスのワインテイスティングの先生が
「おいしいワインは人を長々としゃべらすか、黙らすかの二択だ」
と言っていたのを思い出します。


しかし実は最後にもう一つ。

Francois Peyrot Heritage 1958
そうです。1958年。もう50歳になります。
これは4番目の高貴な感じとはまた違うスタイルで、舌触りや香りは全体のバランスをとりつつ、少し尖ったところがあります。
ドライフルーツやバニラ、キャラメルを中心とした甘めの香りから、スモーク感まで複雑さが感じられ、味わいはまろやかでありつつ、ブランデーとしてのアルコール感とボディを持たせています。
このブランデーの最大の特徴はその余韻の長さで、他のブランデーとは一線を画すほど長く喉元から鼻に抜けてきました。
熟練の技に酔わされている感じです。

ということで5種類のテイスティングをしました。

この5種類を飲むだけで1時間半ぐらいは話し込めたのでかなり楽しかったですね。
2500円でしたが、ここまで色々と飲める機会は日本にはなかなかないような気もするので、かなりお得感がありましたね。

またブランデーのテイスティングというものをしたことがなかったので、今回はチェコに関係はなかったのですがかなりいい勉強になりました。

店内禁煙じゃなかったら葉巻とも合わせてみたかったのですが、それはもう少しモノのわかるおじさんになってからにしたいですね。

あとこのお店にはアルマニャックテイスティングとピノ・デ・シャラントのテイスティングもあるみたいなので、そのあたりが気になる方も、もしプラハでお時間があれば立ち寄ってみてください。


では次は記事で最後のウオッカについてを書こうと思います。


これからもワインに関する記事をuploadしていきます! 面白かったよという方はぜひサポートしていただけると励みになりますのでよろしくお願いします。