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寝取られた報復とその代償 第3話

数年ぶりに自分を裏切った雄介と寝た。自分が射精したらさっさと寝たりシャワーを浴びたりする所は相変わらずでした。当時は初めて付き合った男性と言うこともあり、好き、と言う気持ちが勝っていて気になりませんでしたが、自分中心の考え方しかできない男だということがわかると、何の魅力も感じなくなりました。

しかし、先に寝てくれるのは好都合です。全裸で寝コケている雄介の画像を撮影し、私自身も映り込むものも撮りました。この画像を沙也が目にした時、彼女はどんな気持ちになるんだろう。想像すると思わず口元が緩んでしまいます。沙也は昔から、自分がフラれたり、付き合っている彼が他の女に興味を持ったりするのは我慢出来ないタチなのでした。人の男にはちょっかいかけたり寝取ったりするくせに、異常なまでにヤキモチ焼き。独占欲がものすごく強かったのを覚えていました。このままその画像を送り付けて夫婦関係を崩壊に追い込んでもよかったのですが、私は少しずつ毒を盛るように、沙也を追い込んでいこうと考えました。

作戦としては、雄介との不倫関係を続けながら、それを匂わせるようなメッセージを雄介のスマホに、深夜に送ってやろうというものです。子供の夜泣きに悩まされているなら、深夜、間違いなく沙也は起きているはずです。そして、ひっきりなしにメッセージが入ってくる雄介のスマホに関心が向くはずです。私は、メッセージアプリのユーザー名を私とはわからないよう変更し、早速メッセージを送りました。
「雄介さん、この間はありがとうございました。色々話ができてうれしかったです。また、会ってもらえますか?」
「この間の事を思い出しちゃって、もう、我慢できません」
「早く会って、続きしたいです」
時刻は深夜の二時。そんな時間にも関わらず、速攻で既読が付きました。間違いなく、沙也が読んだものでしょう。今頃どんな顔をしているのか、そう想像するだけで、私は思わず口から笑い声が洩れてしまいました。

翌日、出勤すると雄介が冴えない顔で休憩室にいました。しらじらしいとは思いましたが、さも心配している、と言う顔で雄介に聞いてみました。
「どうしたの? 顔色良くないけど……」
「うん。変な奴からいたずらのメッセージが来てさ。それを沙也が見て、夜中にたたき起こされて……」
案の定でした。沙也は雄介のスマホをチェックしています。私はさらに雄介に誘導を仕掛けました。
「いたずら! だったらさ、そのアカウントはまた何かやって来るんじゃない? ちゃんと証拠としてスクショを取っておいてさ、訴えるとかしたほうがいいんじゃないかな?」「そっか…… そうだな」
「絶対また何かやって来るかもだから、ブロックとかしないで、しばらくわざと様子見たほうがいいよ」
私のアカウントだとは当然気が付いていないようです。サムネイルも名前も、あの夜雄介と交換したものから変更してあります。アカウント名も取得した時の、無意味なアルファベットの羅列なので、わからないでしょう。沙也には明け方までいたずらだ誤解だと説明したみたいで、寝不足もいい所なのでしょう。もっとも、送ったものはいたずらでも誤解でもなく、真実の内容なのですが。何とか沙也の怒りを鎮めることが出来たようですが、本番はこれからです。私はあえて数日間、時間を置いてから次のメッセージを送りつけました。今度は全裸で寝ている雄介の画像です。この画像はもはや言い逃れは出来ないでしょう。私は、あからさまに卑猥な内容にして、雄介に送りつけました。
「この間の寝顔を撮っちゃいました。雄介のあどけない寝顔は私の宝物です」
「また一緒にお泊りしたいです。奥さんだと物足りなく思っている所を、私が全部埋めてあげるね」
言い訳が難しい、よりストレートな文面と、不倫であることを承知しているとわかるような内容にして、送り付けてやりました。

次の日。雄介は病気を理由に欠勤していました。間違いなく大喧嘩になっているのでしょう。嫉妬に狂う沙也の姿が目に浮かびます。私があの時味わった苦痛を存分に味わってもらいたいと思います。しかし、作戦はまだ終わっていません。私の目的は、私のことを彼氏ヅラ、友達ヅラして裏切り、私を失意のどん底まで落としてくれた「二人」に対する復讐です。

私は次の手を打つために、平日に有給休暇を取りました。

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