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寝取られた報復とその代償 第1話

私は今はすっかり人間不信になってしまいましたが、学生時代は結構明るく、サークルとかにも積極的に参加していました。私生活も充実していて、彼氏もいて、楽しい毎日を過ごしていました。しかし、あの出来事から、私はすっかり他人を信じることが出来なくなってしまいました。こういうのをトラウマって言うのでしょう。どうしてそんなトラウマを持つようになってしまったのか、そんな話をしようと思います。

私は女子高出身で、その頃からの親友が居ました。名前は沙也。高校のクラスで出身校が同じ子が誰もおらず、クラスでぽつんとしていたところに声を掛けてくれたのが沙也でした。お互いに成績も真ん中くらい、中学は違うけど同じ駅を使っている事ですっかり意気投合して、気づくとお互い親友と呼べるまでの仲となりました。私は性格は内向的で沙也は社交的。私は恋愛にもオクテですが沙也はどちらかと言うと奔放なほうで、高校時代から彼氏を作り、初体験もすでに済ませていました。私は沙也から恋愛の話やセックスの話を聞くのがとても楽しく、男友達すらいなかった私は沙也の話にドキドキしたりわくわくしたりしてました。

そんな私たちも無事高校を卒業し、同じ大学に進学しました。私たちの大学はいわゆるマンモス大学と言う奴で、私は薬学部、沙也は経済学部。校舎は別々になってしまったため、なかなか会うことは叶わないけど、それでも、頻繁にメッセージを送りあい、仲の良さは相変わらずではありました。

薬学部は理系の中では女子の比率が高く、キャンパスは結構華やいだ雰囲気ではありました。女友達も出来、その友達に誘われてサークルにも入りました。サークルと言ってもお遊びのサークルで、基本はテニスサークルではありましたが、飲みに行ったり、海に行ったりなど、地味だった高校時代に比べると華やいだ生活を送っていました。化粧なども覚え、気が付くと私にも彼氏と呼べる男の人が出来ました。鈴木雄介、同じ学科の同級生でした。彼も高校は男子校で同じくオクテだったようで、私と雰囲気やリズムが似ていました。サークルの中では私たちの関係は周知のものとなり、仲間たちも見守ってくれていました。

ある日、サークルの集まりに行くと、他のキャンパスとサークルと合併するという話がありました。サークルのリーダーは人望もある人で、私たちは特に反対などもせず、合併の話に賛成しました。程なくして最初の全体会合があり、私は沙也と再会しました。なんと沙也は合併先のサークルのメンバーだったのです。その日は居酒屋の二階の座敷を借り切ってコンパとなりました。その席で私は沙也に彼氏の雄介を紹介しました。沙也はすごく喜んでくれているようで、一緒に遊びに行ったりしようよ、と誘ってきました。私は少し戸惑ったものの、最下位のうれしさもあり、快諾しました。その日は珍しくテンションが上がり、いつもより飲み過ぎてしまい、途中で眠ってしまったのです。

終電が近いので周りに起こされ、店を出る前にトイレを済ませておこうと思い、座敷を出たら、店のバッグヤードの入り口でいちゃつくカップルが居ました。軽く人目に付くような場所で濃厚なキスをしていて、恥ずかしくないのかと遠巻きに通り過ぎようとしました。でも、よくよく見ると、見覚えのある服と髪型…… 抱き合っているのは、雄介と沙也でした。私はその場で声を掛ける勇気などなく、酒と動揺でくらくらしながら、トイレに行って、そのまま私は帰りました。どうやって家にたどり着いたかわかりませんでした。玄関のドアを閉めた時、我慢していた思いが一気に破裂して、私はそのまま泣き崩れてしまいました。

朝、起きるとスマホに雄介と沙也、二人からメッセージが来ていました。二人とも私が知らないかのようなとぼけた内容のメッセージでした。雄介は「一人で帰っちゃったけど大丈夫だった?」と言う文面、沙也は「昨日は久しぶりに楽しかったね!」と言う無邪気な文面でした。その日は何も返信するきになれず、翌朝、雄介に別れを告げるメッセージを送りました。浮気の現場を見てしまったこと、相手がよりにもよって自分の高校時代からの親友である沙也だったこと、私はそれらを淡々とメッセージにして送りました。すぐに電話が何度もかかってきて、メッセージも山のように届きました。電話は出ることなく放置し、メッセージも、誤解だ、などとありきたりな言い訳が書き連ねてありました。私は雄介をブロックし、そのあと学校に行くことも出来ず、休学届を出しました。何かとお金がかかっている薬学部なので、中退する勇気はなく、学年を一つ留年すれば雄介はキャンパスが変わり顔を合わせることも無くなります。

親に理由を作って、留年でかかる費用は自分でバイトして用意するから、と言う約束をして留年を承諾してもらいました。そしてありきたりな行動ですが、長かった髪をバッサリ短くして伊達メガネをかけ、ぱっと見私だとわからないようにして新学年まで過ごしました。自分を心も容姿も否定して、友達も作らず、無味乾燥な大学を卒業し、そのまま地元のドラッグストアチェーンの会社に就職しました。

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