#12 愛は扱いが難しい

【声優 佐原誠って?】

●アルビン!&しまっピーズ「サイモン」役
●カードファイト!! ヴァンガードoverDress「コイデ」役
●ぷよぷよテトリス2「スクエアス」役
●アサシンクリードヴァルハラ「オズワルド」役
●CallofDuty:ModernWarfare:Warzone「アズール」役
●ロシャオヘイ戦記「冠萱」役
●真心が届く「チェユンヒョク」役
等のボイスを担当しております。
宜しくお願いいたします!

*この動画のトークを「だいたいの形」で書き起こしました。
*動画を観る時間取れないよー!という超絶お忙しい方向け。
*あるいはテロップがわりとしてどうぞ。

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どうも、佐原です。
【声優 佐原誠のサハラジ!!】にお越しくださいましてありがとうございます!
ではさっそくサハラジオ、始めて行きますよ、というわけで今回のテーマはこちら

「愛は扱いが難しい」

12回目に突入!!もう言い訳はしません、今回もばりばりいきます!!!

前回では最後「愛って大事だよねー」というお話をさせていただきました。

しかしながら同時に「愛は取り扱いが難しい」というお話もさせていただきました。今回はここからいきますね!!


何故取り扱いが難しいかというと……基本的に「愛」を建前にすれば、一見、大抵の事が正当化されるような感じがするからです。

人の気持ちというのは他人からは決してわかる物ではありませんから、実際は違っても「これは愛のムチです!」と主張すれば、虐待やDVすらある種の正当性を帯びる。「叱る」とか「怒る」というのも「あなたのためをおもって」という枕詞を添えれば「仕方がない」感じがする。

「あなたのためをおもって」という言葉は「実際はあなたのためではない」、というのは多くの心理学や脳科学で説明されているところですし、虐待やDVに関しては、どういう心持だろうが法的に完全アウトなんですけど、「自分に対する、自分を正当化する理由」いわば「自分をだます」理由としては十分機能している感じがある。

この、客観的にみたらシンプルにアレな行為なんだけど「主観的には正義の執行である」という感覚に陥らせるのも、「愛」の難しさの理由のひとつです。


例えば僕が子供の頃住んでいた団地にはですね、いわゆる「教育ママ」的な有名人がおりました。毎晩毎晩窓を全開にして、「なんでこんな問題もわからないんだー!!」「この●●がー--!!!」と、一晩中大声で子供に対して怒鳴り散らしているそのお母さん。

今そんな事やったら直通でSWATを呼ばれそうな感じの行為ですが、このお母さんは、「主観的には愛ゆえにそのような教育法を取っていた」のだとも考えられるのです。

なぜそう言えるかと言うと、愛がなければそもそも「教育」という手間のかかる事に時間を割かないからです。愛してないならば放置しておけばいい。他人に対してなら「憂さ晴らし」でそういう事をやる人もいるでしょうが、親族にそれをするとは考えづらい。

ではなぜわざわざ怒鳴りながらもそんな事をしているかというと、それは愛ゆえになんだと思うんですね。


「勉強して良い大学に入って良い会社に就職すれば、きっと楽しくて幸せな人生が待っている。23歳まで頑張れば、その後ウン十年の人生をハッピーに暮らす事ができる。だからわたしは嫌われてもいいから、心を鬼にしてこの子の明るい未来のために、できる限りの教育を施さなくては。」


この様な事を考えて、そのお母さんはその「熱のこもった教育」をされていたのではないかと佐原さんは予想します。その理屈の「善悪」や「成否」は置いといて。

というか何なら、たびたび「私がいかに子供の事を心配しているか」をご近所のお母さん方に語ってらっしゃるの何度か見たことありました。もっというと、僕もそのお母さんにつかまって語られた事あります。僕は当時小学生だったんで、言われてもよくわかりませんでしたけど(

何が言いたいかと言うと、客観的には「え、大丈夫?」と思われるような事も、主観的には「愛ゆえの善行」だったりするわけで。
愛という物は、時として人にあやまった決断(や行動)をさせてしまうものです。


だからといって「愛があるからといって何をしても良い訳でもない」のもまた事実。「愛」は決して「免罪符にはならない」のです。


そしてまた、先ほどちらっと申しました「わたしは嫌われてもいいから」とか「恨まれてもいい」という考え方。これも非常に危険な考え方であると言えます。何故かと言うと、このような言葉を口にして他人に厳しくする人の中には一定数「怨みの恐ろしさ」について無頓着であるような気がするからです。無頓着という事はつまり、恨みつらみの持つデメリットを理解していないという事。

確かに場合によっては「見返してやる」という怨みの気持ちは強い原動力になりえます。しかしその力は「怨みが解決」したら、それ以降効力を発揮しません。
例えば「子供をいい会社に就職させるために恨みつらみの力を利用する」のであれば、その力は「就職した段階で効果を失う」わけです。

しかしながら。

当たり前ですが、会社に就職するというのは「スタート」なのです。そこから先もずっと努力して結果を出し続けなければならないものなのです。しかしそこに至るまでの道のりを「恨みつらみ」などの負の感情を原動力に頑張ってきたものだから、「それがなくなった今、今後の頑張り方がわからない」といった状態に陥ります。

社会に出て働き始めてからがいわば「本番」であるのに、本番に入ってから力を出せないのであれば、それは本末転倒です。


そしてそれ以上に、恨みつらみというのは、人間性をゆがめます。これが最大のデメリットです。

人間にとって大切なものは「希望」と「自尊心」と佐原さんは考えています。何故そう言えるかは長くなるので割愛しますが、恨みつらみというのは、この2つを他者から踏みにじられたと感じた時に感じるものです。

人間にとって最も大切なものを踏みにじられて平気な人はいません。仮にそれが「大義をなすため」だとしても、心が納得することはなく、またその踏みにじられた記憶は決して消えません。

こと「自尊心」は、その人の人間性を形作る上で非常に重要です。ここがゆがんでしまうと、他者へのコミュニケーションの取り方もいびつになり、また何かをなす時もその手段がゆがみかねません。

自尊心を踏みにじられ、消えない恨みつらみを心に宿した人は、人間性がゆがみます。そのような人が、学校や会社などの社会の中に入ると、他の人と軋轢を生みがちになります。


「敵意帰属バイアス」というものがあります。これは「他人の行動について、それを好意的ではなく敵対的と解釈してしまうこと」の事をいいます。例えば、目の前で人がこちらに聞こえない声で喋っている時「自分の悪口を言っていると思い込む」といった感じです。

この敵意帰属バイアスは「認知のゆがみ」のひとつと言われているのですが、何かを見聞きする度にこのような「誤解」をしていては、円滑で円満な人間関係を築くのは難しいでしょう。

人間性のゆがみは、このような認知のゆがみを引き起こすのです。

また、そのような「歪み」に染まってしまうと、絶えず「倒すべき敵」を作るようになります。「努力する事」と「恨むこと」が同居したまま頑張ってきてしまった人は、恨む以外の原動力がないので、それを得るために、恨む対象を常に探すようになってしまうのです。

このように「恨みつらみ」というのは、確かに原動力として機能する側面がありながらも、無視するには恐ろしすぎるデメリットが多くあるのです。ですから、安易に「恨まれても構わない」と考えるのは、おススメできないわけです。こと、その人に「幸せな人生」を送ってほしいのであれば。


ちなみに先ほど例に出した、佐原さんの地元のお子さん。
お母様から「愛ある教育」を受けたそのお子さんは、ある時を境に悪戯が目立つようになり、それがエスカレートした末、悪戯で緊急停止ボタン押して電車止めたりしてました。

お母様が実際のところ何を思ってそういう教育をされていたのか、今となっては確認が取れませんが、もし「愛ゆえに」「この子のためを思って」やった結果がこれだったとしたら………うーん。

「いたずらのプロフェッショナルとして飯を食える人を育てる」「いたずら系ユーチューバーとして世界を席巻」みたいな目的の元にその教育を行ったならば、目的と結果が結びついていると言えなくもない。
ですが、もしその「愛ある教育」によってこの結果を「もたらしたかったわけではない」のであれば、その「教育方法」について考え直してみるべきなのかもしれません。



しかしながらですね、このような、客観的にみたらDVや虐待、モラハラパワハラにしか見えなものというのは、やり方として間違っている事はわかるが、状況証拠を集めて裁判でもしない限りその間違いを本人に認識させるのはなかなかに難しい。

何故ならば、第三者が結論を出す裁判の様な場でない、個人間の話し合いでは「愛だから!」「その人のためだから!」と主張し続ければ、論破される事はなかなかないからです。何故ならば、「他人の心は分からない」以上、「それが愛じゃない証明」をするのは難しいからです。

そのように、結局のところ使い勝手が良すぎる「愛」という言葉。
使い勝手が良すぎるだけに、使い方には注意が必要だと佐原さんは思います。

そんな、扱い方が難しく、加減を間違えるととんでもない事になるリスクもある「愛」は、その事を理解した上で使うのであれば、けっこう有効かなーと思ったりはしております。

何故かと言うと……この話もまた長くなりそうなので、次に回します!!

今回も最後まで聴いて下さってありがとうございました!!

それでは、またね!!




【了】



佐原誠のTwitter
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