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ロシアの脅威

はじめに

ロシアのウクライナへの侵攻が始まって、半月ほどが経過します。ロシアの行動は常軌を逸しており、近代国家とは思えない野蛮さを呈しています。ロシアの算段ではウクライナをすぐに落とせると思っていたようですが、ウクライナの必死の抗戦と西側諸国の援助でロシアの侵攻を食い止めています。ロシアのウクライナ侵攻の与えた影響は非常に大きく、ドイツの左翼勢力ですら、国防費削減の方針を撤回し、国防費を増やさなければならないと考えるほどになりました。ドイツだけでなく、ヨーロッパにおけるロシアの脅威が観念的なものでなく、現実のものになったと言えます。日本にとって、ロシアのウクライナ侵攻は対岸の火事ではありません。今回はロシアの侵攻を基に安全保障について書いていきたいと思います。


ロシアとウクライナ

ロシアとウクライナは隣国で言葉もよく似ており、ウクライナの人はロシアの人と日常的なコミュニケーションを取る上でほとんど支障がないほどだそうです。旧ソ連時代のウクライナはソ連の一部でした。旧ソ連時代にウクライナの地域でチェルノブイリ原発事故が起こりました。今でもチェルノブイリの近辺は立入りが禁止されています。

旧ソ連時代に元々、同じ国だったからウクライナもロシアの一部になりたいと思うかもしれませんが、そんなことはありません。ソ連が崩壊したのはソ連国民が自由な資本主義を知ったことにより、自由主義を求めるようになった結果、崩壊したものです。ロシア帝国時代の近隣諸国と一緒になったというより、飲み込んだと言った方が正しいです。ドイツで知り合ったウクライナ人の友達によるとロシアとウクライナは地理的に近く、文化的にも似ているが、一緒にはされたくない。彼らと一緒にされるのだけはまっぴらごめんだと言っていました。ウクライナのロシアに対する感情はかなりのものがあるのだと思いました。

ウクライナはロシアの西側に位置し、ヨーロッパ諸国(冷戦当時は西側諸国)と近いことから、ヨーロッパ側に付こうとしていましたが、当時のEUやNATOがロシアと直接対峙することを躊躇してウクライナの加入を見送りました。その結果、今回の戦争に繋がります。そして、国際組織である国連も機能せず、ロシアが好き勝手に侵攻を進めています。今回の戦争は2か国の戦争ではなく、世界の課題を浮き彫りにし、変容させる戦争と言えます。


神話と現実

ロシアの脅威が現実のものとなった今回の戦争は冒頭でも触れたようにドイツの左翼勢力の考えを大きく変えるものとなりました。ロシアと陸上で国境は接していませんが、海上に国境があり、なおかつ、領土問題は抱えている国の左翼勢力はどうでしょうか?この期に及んで、憲法9条があれば、ロシアの侵攻を止めることができたと言っています。それができれば、誰も苦労はしませんし、あんな常軌を逸した行動を取らないはずです。ロシアはソ連崩壊後も自由の制限される国で、資本主義国家ではあるものの、根本はソ連時代のように自由が制限されている国です。つまり、9条のような戦争放棄をうたうような憲法があったとしても平気で破るか、出来レースのような方法で憲法を改正させて、侵攻を行うでしょう。

ロシアのトップ・プーチン大統領は旧ソ連の諜報機関KGB出身で、知略に長けた人物です。KGB出身の彼であれば、戦争放棄条項があったとしても、自らの都合のいいように変えるように仕向けるでしょう。今回の侵攻もウクライナ東部にいるロシア人を救出する目的で、侵攻しています。名目上は救出ですが、侵略のための口実をしっかりと作り上げて、進軍しています。プーチン大統領の強かさがうかがえます。ウクライナはロシアの自作自演に振り回され、領土に攻め込まれてしまいた。日本もこれを対岸の火事として捉えるのではなく、北方領土や北海道の将来であるかもしれないと危惧しなければなりません。ロシアの脅威が現実のものになった以上、北海道や北方領土の危機はより大きくなっていきます。三沢基地の存在が再び重要になるかもしれません。

憲法9条1項の条文は第一次世界大戦後に制定された不戦条約の条文です。国際条約で戦争放棄をうたっているにも関わらず、これだけ戦争が起こっているので、不戦条約は形がい化していると言えます。9条があれば、日本が平和というのは不戦条約の存在と現実世界を照らし合わせてみる必要があります。9条があれば大丈夫というのは気休めでしかありません。そんなのは古事記の神話ぐらいで十分です。

家内安全のお札を家に貼っているからといって、家を出るときに鍵を掛けずにドアを開けっぱなしで家を出ますか?ほとんどの人は鍵を掛けて家を出るはずです。お札が家を守ってくれるかもしれませんが、物理的に侵入者を防ぐようにしないといけないと思っているはずです。実はこれ、憲法9条と軍事力の関係です。先述の例のお札が9条、鍵を掛けて物理的に侵入を防ぐ行為が軍事力です。憲法9条の条文は立派ですが、単なる理念です。理念だけで、国を守れるほど甘いものでありません。現実の脅威が迫っている中でそんな悠長なことを言っている暇はないと思います。庵忠茂作さんもカンディーの話をもとに安全保障について書かれています。


安全保障議論はタブー?

安全保障の議論は軍事力の議論に直結します。安全保障を考える上で一番重要なのは軍事力です。軍事力がなければ国を守ることはできません。ウクライナがロシアからの侵略に耐えているのはウクライナ軍のおかげです。どうしても軍事力と言うと負のイメージが付きまといますが、現実的に必要なものです。自衛隊は外国では軍隊として認識されていますが、日本国内では軍事力ではないといった変な議論がなされています。自衛隊を見る限り、どう考えても軍隊です。彼らは日本国民に銃口を向ける存在ではなく、我々、日本国民を守る存在です。

憲法9条の改正議論になると左翼勢力が日本を軍国主義の道を歩ませるつもりかと言いますが、ロシアのように自ら戦争を仕掛ける国を目指しているのではなく、そういった国から日本を守る必要があるからです。ロシアや中国のような国が攻めてきて、丸腰でいろというのはおかしな話です。そういった国に攻めさせないようにしたり、攻められたりしても守るようにするのが大事な話であって、9条改正=軍国主義と飛躍される左翼勢力は間違っています。現時点の国際社会では取り締まる機関がなく、各国の実力と倫理観が平和をもたらします。ロシアのような実力はあるがおかしな倫理観を持っている国がいるとそれだけで平和は脅かされます。今回の件で国連が機能しないことも白日の下に晒されたと言っても過言ではありません。悲しいですが、これが国際政治の現実です。

ウクライナは冷戦終結後にブタペスト覚書で核兵器を廃棄する代わりに西側諸国がウクライナを守ると約束しましたが、そこから約25年後、ロシアのウクライナ侵攻に軍事的支援をした西側諸国はありませんでした。西側諸国がロシアに科したの経済制裁のみです。戦力を骨抜きにされ、援軍がいなければロシアが好き勝手にするのは明らかです。日本も安保条約があると言いますが、今回のウクライナの事態を見ると、日本も他人事では済まされません、自力で守らなければならないことも考える必要があります。ウクライナが将来の日本にならないためにもウクライナを取り巻く情勢から学ぶ必要があります。安全保障の議論や核共有の議論をタブー視すること自体、国際社会の現実から目を背けていると思います。


最後に

戦争のない平和な世界が実現すれば、すべてが丸く収まります。こんなことを書くと支離滅裂と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。軍事力の話をする=好戦的と思われますが、軍事力を増強する理由は周辺の脅威から身を守るためであって、こっちから戦争を仕掛けるわけではありません。現時点で平和を実現させる手段が軍事力を維持か増強させるしかないので、そう言っているだけです。全員が武器を捨てれば、いいと言いますが、絶対捨てずに隠し持つものが現れ、そのものによって支配されます。アニメや漫画であるように約束を破って隠し持つものは大抵、ろくなやつでありません。ヒーローものや漫画が国際社会の縮図を表しているとも言えます。いい人は歩み寄ろとしますが、悪い人は歩み寄りを利用し浸けこんできます。これは国際社会でも同じで、常軌を逸した国に歩み寄ろとすると割を食うだけです。そういった国に対しては毅然した態度で接するのが一番です。これが現時点で平和を維持する方法です。過去の戦争も常軌を逸した国への歩み寄りが戦争を引き起こしています。

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