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#怒涛の妄想劇が繰り広げられた3分間

「これも、わたし。」
心の中の本音を、こっそり、ぽつりと。
ここだけに書き綴る。

ある日の休日。

地下鉄で、目の前に座っているおじさんが
何かを落とした。

ちいさな、丸い、缶のようなもの。

得意の妄想劇がはじまる。

周りの人たちは、落ちた音に気がついて
チラッと見るも、誰も拾おうとしない。

ふと、自分の足元を見てみたら、
意外と自分では死角になって
きっとおじいさんも缶が落ちていることに
気づいていないのだとわかった。

そして何より、気づいていないのに誰も拾わない、
この空気が、さいっこうに気分が悪かった。

でも、かくいう私も
すぐには拾えなかった。

得意の妄想がはじまったからだ。


「ちょっと危ない人で
声かけて怒鳴られたらどうしよう。」

「拾ったものの無視されたら、
悲しすぎるし恥ずかしすぎる。」

「「触るな!!!!!」と逆ギレされたら
もう立ち直れない。」



でも、ふと、この妄想が頭をよぎったとき、
「私はこの缶を拾わなければ!」
猛烈に思ったのだ。

「この缶は、奥さんであるおばあさんが
大事にしていた形見が入っていて、
片時も離さず持ち歩いている。

そして家に帰宅し、
鞄を開けておじいさんの時が止まる。

「あ、、、ばあさんの形見が、、、無い、、、」

一日中出掛けていたら、
どこで落としたかなんて検討もつかないだろうな。

そんな切なすぎる結末は嫌だ。」


これはもう、絶対拾いたい。

と思い、
ちょうど次の駅で降りるタイミングで
さっと缶を拾い、「落ちてましたよ」と
おじいさんに渡した。

「あ!ありがとう、ありがとうございます。」
とお礼を言うおじいさんはとても優しい方で、
「無視されなくて、怒鳴られなくてよかった」
と心底ホッとした。



あの缶には
何が入っていたのだろう。

おばあさんとの大事な思い出だといいな。
なんて思う。



妄想族って、
マイナスな方向にいくと
起きてもいないことに不安になって
良くない思い込みをしてしまう。

(過去の私はまさにそうだった。
主に恋愛面で思い込み妄想激を繰り広げて
自爆していたことが多々。)


でも、こんな風に、
《相手のことを思って行動する》
パワーにもなりうるというか、
プラスに働くこともあるのかもしれない。

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