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イタリアで学生の夜遊びとケバブ文化に触れる

日本で飲み会という飲み会に参加したこともなければ、クラブにも行ったことがない私が、海外で初めて夜遊びを経験したある夜についての体験と、それに付随してイタリアにおけるケバブの立ち位置について、ここに残してみたいと思います。


そもそもクラブやダンスに対する各国の印象の違い

行ったことがないため、偏見を含みますが、日本だと、男女の出会いの場所、踊ることがメインではない、なんとなく危ないイメージ(クスリなど)といった印象がある中、

イタリアでは、ただただ踊ってストレス発散するところ、日本でいうカラオケのような感覚に感じました。

また、イタリア人といえば陽気で、どんなノリにものってくれる人のイメージが強く、みんなクラブ好きなのかなーと安直に想像していましたが、イタリア人全員がクラブを楽しいと思う訳ではなく、体感だと半数は楽しいとは感じず、ただ疲れる場所と思っている友人もいました。

といいつつも、イタリアでは踊るという行為そのものがかなり身近。
飲み屋で飲んでいても、じわじわとお店のBGMがノリノリの曲に変化していて、気が付いたらみんな踊っていたり(しかも他のお客さんが踊っていようといまいと関係ない。踊り続ける)、ホームパーティーでも寮のパーティーでも後半はみんなでダンスという感じで、ダンスが日常のすぐそこにありました。

(上)ホームパーティーの後半、テーブルの料理もほどほどにみな立ち上がってノっている様子
(下)寮のパーティーでダンスしている様子

ある夜の流れ

こんな環境に囲まれつつも、自分自身がダンスをすることはないだろうなと思いながら過ごしていたある日、思いがけずクラブデビューを果たしたので、その日の流れをご紹介します。

第一段階目:ホームパーティ

お菓子を食べながらスピーカーで各々好きな曲を流し、歌っている様子

ある日、チリ出身の友人たちと日本人数人が集まって、ちょっとしたホームパーティを開催。

それぞれが食べ物やお酒を持ち寄って、おしゃべりしたり音楽をかけて歌ったり。

ひょんなことから、チリ人の友人からショットを飲んだことはあるのかと聞かれ、ないと答えると、「じゃあ南米出身の俺が、南米の誇るべき酒、テキーラの飲み方を教えてやるよ!」と言い出し、「さ、外に行くぞ。」と突然外に連れ出されたのでした。

第二段階目:ショットバーへ

ここでチリ出身の別グループが合流し、もともと10人弱だった私たちはもっと大きな団体に。

連れてこられたこのお店はショット専門店で、ショット1杯あたり1~2ユーロで販売されていました。
1杯ずつ買うこともできるけど、12杯まとめて買うと割安のよう。

とんでもない色のショットたち

基本甘い。

みんなでショット片手に乾杯

テキーラのショットは、いくつか甘めのショットを飲んだ後、最後に〆として飲みました。片手にカップ、反対の手の親指の付け根のくぼみに塩をふりかけて、レモンをもってスタンバイ。せーの!と掛け声がかかると皆一斉に親指付け根の塩を舐め、即ショットを流し込み、飲んだ瞬間にレモンにかぶりつきました。これがテキーラの正しい飲み方らしい。

テキーラのショットを頼むとカウンターから塩が貸し出される。親指の付け根に塩をセット中

7,8杯ぐらい飲んだところでみんな完成。
これで解散かなぁと思っていた私はまだ甘かった。

第三段階目:人生初クラブへ

完成したらみんな踊りたくなるものらしい。

有無を言わさず、クラブに連行。
入り口で上着を預け、中に入るとたくさんの若者がこぶしをあげ、流行りの歌を大合唱していました。

熱気の凄いダンスホール

(余談ですが、私がここを訪れたのは2022年4月。日本だとまだコロナは第4波が流行しているといわれ、みんながマスクを徹底していたのに対し、このクラブでは密室にもかかわらず、誰一人マスクをせずに大声で歌い踊っており、私がいままでマスクをしていたのはなんだったんだと、感染対策を徹底している日本との差に大きめのショックを受けました。)

ここのクラブは、二つのセクションに分かれていて、広めの部屋で流行りのポップスなど、もう一部屋ではレゲエなどのラテン系がかかっているようでした。

大人数で行ったのにも関わらず、だんだん各々でお酒を注文しに行ったり、好きな音楽のテイストのセクションに分かれたり、ほかの人に声をかけられるなどして散り散りになっていき、気が付いたら私一人に。

遠くの方に仲間がいるのはわかるけど、一人で踊るような人間でもない私は、お酒片手に中庭に出て、そこから踊り狂うダンス広場を眺めていたところ、まったくはじめましての女の子たちに話しかけられました。

彼女たちはメキシコ出身らしく、彼女たちもまた大人数で踊りに来たらしい。お互いどこで何を勉強しているのかなど自己紹介とちょっとした談話を終えると、いつしか手を添えられてダンスホールに後戻り。いつのまにかメキシコ人グループに囲まれて、リズムに揺られている自分がいました。

突然ダンスホールに現れたスパイダーマンと一緒に踊る図

この日だけで、合計6か国、20人以上の人と話すことができ、日本でのクラブの印象=人との出会いの場、というのはあながちどの国でも間違いはないのかなと思いました。

ちなみに、このクラブのトイレは本当に最悪環境で、詰まって水が溢れ、床はベチョベチョ。紙はもちろんなく(お店の人にトイレットペーパーをもらいに行ったら、明らかにトイレには流せないキッチンペーパーを鷲掴みでもたされました)、どの個室もことごとくカギが壊れていてかかりませんでした。

しかし、こういう時の女子は団結力が強い。閉まらない個室は他人だろうが何だろうが、お互い個室のドアの前に立ち合いっこして、誰かが来たら「ここ今使ってる」と伝えあって守り、紙をお店の人からもらってくるとみんなに配り合っていました。

第四段階目:〆はケバブ

夜中の2時半を過ぎると、もういいか、という気になっていきました。携帯を覗いてみると、ちょうど一緒に来た仲間から「そろそろ帰る?」との文字が。ダンスホールの端っこで合流すると、目についたほかの仲間たちに声をかけ、まだ踊りたい人は残り、帰りたい人はまとまって外に出ることになりました。

しかし、学生の夜遊びはこれだけでは終わらなく、最後に夜食を食べるまでが1セットだそう。

日本は24時間空いているお店といえば、コンビニ、マック、サイゼリヤなどいろいろ挙がりますが、イタリアで夜中空いているお店といえばケバブ屋さんのみ。

ということで今回我々は、川沿いのケバブ屋台をチョイス。夜中だけ出現するこの屋台は、たくさんの人で活気あふれていました。

煌々と明かりのついたこの屋台は真夜中とは思えないほど賑わっていました

ケバブを注文すると、お店の方がパンを鉄板にセットし、ある程度温め終わると、もう既に大量に炒められていたお肉を豪快に挟んでくれました。

食べるためのテーブルや椅子などは当然なく、みな近くの広場のベンチや屋台前の道路の段差に腰かけて、顔ほどにもなる大きさのケバブに頬張りついていました。

これにて長い夜はようやく終結。

山盛りのケバブは夜食として食べるには大きすぎたため、半分は持ち帰り、次の日の朝ごはんとなりました。


イタリアにおけるケバブ

イタリアに来て驚いたことの一つにケバブの立ち位置があります。

意外なことに、イタリアにはかなりの数のケバブ屋さんがあり、街を歩けば簡単に見つけることができます。一つ4~5ユーロで注文することができ、マックもそれほど安くないこの国では、ケバブ屋さんが日本でいうマックのような存在。どのファストフードのお店よりも定番化しているように思えました。

ケバブと聞くと想像する姿は、ラップのような薄い生地のパンに包まれていたり、ピタパンのような半月型の薄いパンのあいだに挟まれているものではないでしょうか。

イタリアで主流だったのは、表面が軽くあぶられたある程度分厚さのある柔らかいパンで挟まれたケバブ・パニーノ

手のひらよりも大きく、具たっぷりで食べ応えがあります。

もしくはケバブピザ。偽物のピザだと揶揄されつつも、その癖になるおいしさにハマっている人たちもいるのが事実。

ケバブにはセットでフライドポテトをつけるのも主流。ケバブピザの場合は上にトッピングされます。

フライドポテトがトッピングされるケバブピザ

味付けはマヨネーズと唐辛子系の辛いソース。どのお店でも辛いソースはかけるか否か聞かれます。意外なことにイタリア人は辛さに弱い人が多く、辛いソースをかけない人も身近に多くいましたが、アジアや南米出身の友人たちは辛いソースを断る人は少なかったように感じます。ちなみにトルコではこの辛いソースはかけないそう👀

若者は夜中、小腹がすいたらケバブ屋さんに駆け込むため、それぞれお気に入りのお店があります。


トリノでおいしいと感じたケバブ屋さん2選

私が何店舗か食べて回った中でおいしいと感じたのはこちらの2店舗↓

Istanbul Ayasofya

Turkish Home of Kebap

2店舗ともパンにはさまれたお肉や野菜の量が多く、とってもジューシーでした✨

イタリアのケバブ屋さんにはkebap表記とkebab表記の二通りがあり、トルコ人曰く、kebap表記の方が本物でおいしいとのこと。これはトルコ語かアラビア語の違いらしく、これを聞いたときはトルコ人の口に合うのはトルコの人が作ったケバブなんだろうなぁくらいにしか思っていなかったのですが、いろんなお店を試しておいしいと感じた上記2店舗はよくよく見てみるとどちらもkebap(トルコ語)表記。彼の言っていたことは本当だったのかもしれません。 

kebap表記のケバブ屋さんの店頭

以上、イタリアの学生の夜の過ごし方と意外なケバブの地位についてでした。

次回はベネチア旅行記!


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