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かつて中高生だった私が書いた読書感想文⑫ <夢に殉ず>

“現在の私”ではなく、“過去の私”が書いた読書感想文。
かつて私が中高生だったときに読んだ本の12回目です。今回ご紹介する曽野綾子さんの本は愛について考えさせられました。

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夢に殉ず 著者:曽野綾子さん

主人公の天馬翔は、職はなく、アパートの家賃収入を頼りに三浦半島にわずかな畑を耕して妻の葉子と2人で暮らしている。しかも、女好きで3人の愛人がいる。妻が一番大切と言いながら、同時に3人の女も好きで、妻に「今日は〇〇に行ってくる」と言い、ぶらりと出かける。これだけ読むと“なんて男だ”と憤慨しそうだが、翔が今の生活を楽しんでいて、人を惹きつけているのかもしれない。

葉子と一緒になることを父に反対されて天馬農園に追い出され、妹の朱美にもどうしようもない兄さんと言われ続けていた。しかし、翔は貧乏だがそれを恥ずかしいことと思わない。少々の蓄えがあって食べ物の困るほどではない。会社にも行っていないので時間に制約がなくストレスもたまらないのだ。

自分で料理もするし、人を思いやる心が十分ある。葉子が翔へのあてつけで住人の医学生と関係ができても翔は何にも言わずに、葉子がそのことで心が休まるならばそれでもいいと思っていた。しかし、葉子がその男に愛されていないことを可哀そうだと感じる。

そんな翔は、自分を捨てて金沢に帰った水音に平気で会いに行くし、旅館で知り合った真木子にも一緒に話をしたいという。
悠々自適で、プライドがなく、まっすぐな心を持ったひと?

変わっていると言えば、葉子も同じ。嘘は嫌と言って、女の人の電話を翔につなげる。人が良いと言うか、ちょっと感受性が違うなとぁ思った。

ひとりの男とその妻、そして3人の愛人。
これは広い意味での人間愛と言うのだろうか。

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