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マイクロノベル集 228「プチ雪国」

No.1329
雪が降ると犬は喜んで庭を駆け回るという噂は本当だった。やめてくれ、ずぶ濡れになるだろ。お前には防水機能がないんだぞ。ゆきモードの解除はどうやるんだ? 「こたつに押し込んで丸くして下さい」ロボット犬の重量、約五十キロ。家族はコタツで丸くなる。


No.1330
珍しく雪が積もったので、小さなカマクラでも作ろうかな。「よいお住まいで」あら神様。いつの間にこちらへ? このカマクラは明日には解けてしまいますよ。「やだー。延長希望。無病息災をあげるから」翌日、カマクラはあっさり解けて、腰痛が襲ってきた。


No.1331
まるでそれは螺旋の吹雪だった。粉雪が風に吹かれて舞い上がり、円を描きながら天井に頭をぶつけた。「あいたっ」電車の中でしゃがみ込む。「雪だー!」ドア付近にいた子どもたちがあっという間に雪だるまを作って、次の駅で降ろした。とけなくてよかったね。


No.1332
プチ雪国を作っている。サイズは100分の1ぐらい。だから雪が積もってもせいぜい1センチ。でも、吹雪いたり、水道管が凍ったり、電線が切れたりする。「プチなのにメリットがないぞ」そんなことはないよ。はい、集まって丸くなったプチ猫。



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