【DX白書2023を読む01】デジタルオプティマイゼーション

先日、「DX白書2023」が公開されました。
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/dx-2023.html

DXは、企業経営においては実践必須の内容となります。
わたしも、IT屋のはしくれとして、この白書の内容は把握しておく必要があります。今回からしばらくはシリーズとして、「DX白書2023」を読みながら、個人的に気が付いた点、重要と感じた点、面白い事例などを織り交ぜてアウトプットしていこうと思います。

今回は、「デジタルオプティマイゼーション」について。

前回は、DXの構造として、以下の3つの領域が定義されていました。
①デジタイゼーション:アナログ・物理データのデジタルデータ化
②デジタライゼーション:個別の業務・製造プロセスのデジタル化
③デジタルトランスフォーメーション:組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、「顧客起点の価値創出」のための事業やビジネスモデルの変革

プロセスとしては、①→②→③の順でDX化を進めていくこととなります。
①でまずは情報をデジタルに置き換える、②でそのデジタルを各部署の業務フローに乗せる、③で全社的な業務フローに乗せつつ、事業発展のための活動や顧客が満足するような製品・サービスの創出に活用する、という流れですね。

そして今回は、新しく「デジタルオプティマイゼーション」という単語が出てきました。
①デジタルオプティマイゼーション:業務変革を目指す
②デジタルトランスフォーメーション:事業変革から社会の変革までをあらわす

①と②の違いについて、白書に掲載されている事例を参考に分類していきます。

①デジタルオプティマイゼーション
業務の可視化・自動化による効率化や、顧客や取引先・サプライチェーンを巻き込んだデジタル化などがあります。例えば、IoTを駆使してデータを収集する、AIを使って自動発注を行う、RPAで業務を自動化する、などの事例があります。

②デジタルトランスフォーメーション
デジタル化した情報・プロセスを用いて、サービスの提供やプラットフォームの構築、ソリューションの提案などがあります。例えば、高齢者見守りサービス、メタバースの空間提供、マッチングサービス、などの事例があります。

収益上で定義すると、①はコスト低減(守り)、②はセールス拡大(攻め)にあたりますね。①と②を行うことで企業の収益が上がり、また②を行うことで社会へ価値を提供することになりますね。

攻守両面で活動することが最終目標です。
ただ最初の一歩は、「①デジタルオプティマイゼーション」を確立する必要があります。企業に関わる情報をすべてデジタル化して、その流れを構築して、活用する、ことが必要です。

①を進める上では、ストラテジ・アーキテクト・マネジメントを念頭に置くべきと、私は思っています。以下は前回の記事です。

①デジタルオプティマイゼーションの「ストラテジ」
まずは、目的をはっきりさせることです。何のために、業務変革をしていくか?を全社として理解をすることが必要です。
また、全社的な視点から、業務フローを大まかにどうしたいのか?最終的に企業の中にある情報・データを企業内でどう使っていくか?を定義すること、が必要となります。ここがぶれると、進めていくうちに空中分解する恐れがあります。
また業務変革することで、最終的に工数・コストがどれくらい低減されるのか(したいのか)をシミュレーションしていくことが必要です。戦略ですので、財務的な視点も当然必要です。

②デジタルオプティマイゼーションの「アーキテクト」
業務変革するために、業務を具体的にどういった構成・フローにしていくか、を定義します。既存業務の分析(AsIs)、あるべき業務の定義(ToBe)をし、そのギャップを埋めるためにどのように業務を変えていくか?の方針を考えていきます。既存業務の延長線で改善していくのか、もしくはゼロベースでガラッと変えていくのか、はケースバイケースです。
方針が決まれば、あとは1つずつ進めます。たとえば、紙で管理している情報をデジタルに置き換える(紙の運用を廃止する)、デジタル化した情報をクラウドや共有サーバに格納し全社的に共有する、マッチするアプリがあれば、それを導入して、部署間連携も含めて業務を変えていく、などです。

③デジタルオプティマイゼーションの「マネジメント」
方針を決めて業務改革を進めるにあたり、計画に対してどれくらい進んでいるか?何か課題があるのか?を管理することが必要です。ここがはっきりしないと、いつの間にか業務改革も進まなくなり、企画倒れになる可能性があります。
また、業務を変える、ということは、心理的に抵抗を持つ人は必ずいます。効果をいかにわかりやすく伝えるか、もマネジメントの一環です。

デジタルオプティマイゼーション(業務改革)は簡単なことではありません。規模が大きくなればなるほど利害関係者が多くなるし、創業して年数が長ければ長いほど業務フローが固く確立されているためです。ただ、これをしないことには、サバイバルに勝てません。

まずは業務改革を絶対にするという意志と、戦略→構築→推進で進めていく必要があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?