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小さなことから、ひとつずつ 〈自分だけじゃない〉

病気は苦しいのでない方がよいと思うけれど、自分の経験のひとつとして乗り越えていけたら、また病気のたいへんさがあっても折り合いをつけて生活していけたら、それですばらしいと思う。
日常生活がそこまでたいへんでなく仕事をして生活費を得ることができ、人との繋がりがある中で自分らしい人生を創っていけたら、とても豊かな人生であると思う。
 

※強迫症(私の場合)のこと再び。
(行きつ戻りつ同じ話が出てくるnoteでごめんなさい。)
 
強迫症のつらさは、日常生活に大きく影響するところであると思う。
不潔恐怖の場合だと手を洗う時間が長いなど、手洗いの強迫行為に時間を取られるという点もあるが、私自身は沸きあがってくる強い不安強迫観念が心底つらかった。
 
不潔恐怖の症状(人に害を及ぼしてしまうことが心配になる加害恐怖があるパターン)があったが、例えば私の場合はこんな感じ。
自分の手に「ばい菌」が付いていたらと想像がふくらんだ。自分が接する人に(物を介してなど)拡げてしまい、そのせいでその人はなんらかの病気になったりして取り返しがつかないことになってしまったらどうしよう…、そうならない方がいいから、私が人と関わらない方がよい。人と会ったり仕事したりするより引きこもっていた方がよい。そんなふうに思考が働いた。馬鹿げていると思うけれど、ただただ心配になった…。
沸いてくる強い不安や心配の感情にどう対処していいかわからず、たまらなく苦しかった。その不安の感情に対して、こんなふうに思うのは馬鹿げてるから…と、無視してふつうに行動しようとすると、後から“あのときにばい菌を拡げてしまったかもしれない、どうしよう…”などとすごく心配を引きずるのことになり余計につらかった。
私はその頃(30代前半)強迫症になってから10年以上経っていたがまだ強く症状がありつらかったのだが、過去に痴漢に遭遇した経験から人から危害を加えられたらと不安になる被害妄想も強くあったので、様々なことが不安でつらい…といった状態が長期に渡って続き、疲労困憊していた。
 
強い不安や強迫観念、うつの気分の重さというのは本当に強力だから、動けなくなったり引きこもってしまうのは本当に簡単なことだ。けれど引きこもって休んでいても強迫症は良くなる訳ではないのだから、本当の意味で自分を思いやる、えいっと一歩動くことは一番大切なこと。
ほんの少し動くことが恐ろしくたいへんであっても、ちからを振り絞ってでも少し動いたら変わっていく。
特に症状が強いようなとき、自分ひとりで何とかしようとするより、相談できる人がいたら話してみることや自分に合う専門家の方を探してみることはとても大切だと思う。

よかった本の紹介

電気のスイッチは切ったか…
家のカギは締めたか…
つい手を洗いすぎてしまう…
他人を傷つけてしまわないか…
同じ位置に物がないと不安で…

『いちばんわかりやすい強迫性障害 -強すぎる「不安」と「無意味な行動」の断ち切り方-』
原井宏明:著
(表紙より抜粋)

コミカルな絵が満載でふふっと笑えたり、書かれている症状に、わかるわかる!!と共感し感動しました。私は著者の原井先生のクリニックを受診したことやこの本で紹介されている認知行動療法を受けたことはないのですが、とっても助けになる本だと思いました。
(症状についてたいへん詳しく書かれています。私は現在は日常生活に困るほどの症状はないですが、この本にも書かれている、ストレスが高いときに髪を抜いてしまう“抜毛症”など残っている症状もあります。)

強迫症に困っていたり強迫症かも?と思っておられる方がいたら、図書館や本屋さんなどで手に取ってみてください^^



果物好き。大・中・小の大きさの柿。



*   *

私は自分の苦しみしか見えなくなっていて卑屈になること自体が余計に自分を苦しめていたけれど、2011年に東日本大震災が起こったことで、やっと自分だけが苦しいんじゃない、私の苦しみなんて大したことじゃないと思った。
「自分だけじゃない」
どんなときもそう思うことはとても大切なこと。
 
その後、私は東北の被災地ボランティアへ行こうと思いほんのしばらく出かけた後、地元の山あいの有機農業の農家さんで1年間農作業のアルバイトをさせていただいた。
やはり体調の悪さはあったが、苦しくてもとにかくなんとか働いて食べていけるようにしようと決めた。お世話になった農家さんの優しさにも助けられて仕事を続けていくことができた。
 
その1年間の後、県外へ行きたいと思って私は移住先を私は探していた。
人との繋がりがなかなかできず孤立してとてもつらかったことが理由のひとつだった。わかってほしい気持ちと裏腹に人と気持ちのすれ違いが多く起こり、私は傷つくことを重ねて疲れて果て、こころを閉ざしていた。
逃げ出したかったし、自然の多い場所で農業などに関わってみたい憧れもあった。
お金がまったくないのに安易な考えだと思われても、どうしてもそうしようと思った。
移住をきっかけにして、自分の生き方を変えたいと思ったからでもあった。


自分の電話番号を公開して“いのっちの電話”をする坂口恭平さん。すごいなぁ。誰かひとり話せる人がいたら人は変わっていく。『よみぐすり』