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日本の営業の「プレイングマネージャー」は消える説。

みなさんこんにちは!セールスサイエンスラボの中谷です。

今回は少しばかり切ないタイトルですが、最近本当に「プレイングマネージャーは消える」説はあるのではないかと思うわけです。今日は、その理由について説明したいと思います。(もちろん、全ての業界の全プレイングマネージャーが悪などと言うつもりはありませんので悪しからず。)

そして、現在プレイングマネージャーの方には、私のこれまでの30社以上のコンサルティング支援経験から、一定の解をお示しできればと思います。

営業あるあるですが、「プレイヤーの時は成績優秀でトップセールスだったのに、マネージャーになってからはイマイチぱっとしないんだよなぁ」という方、そういう方が身近にいらっしゃる方などには特に読んでいただきたい内容です。

※なお、セールスサイエンスラボでは、このようなケースの企業向けにコンサルティングサービスもご提供しておりますので、下記よりお気軽にお問合せください。

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プレイングマネージャーの現状

日本の営業は「プレイングマネージャー」が多い一方で、専門性を持った「専任マネージャー」が少ない傾向にあります。

ここでのプレイングマネージャーの定義は以下とします。

プレイングマネージャーとは
自分の案件を持ちながら、売上数字の責任を持っていること

みなさんの会社ではいかがでしょうか??

ちなみに以前、Twitterで収集させて頂いたアンケートでも、プレイングマネージャーの割合がとても高いことが判明しています。(なんと70%以上が「プレイングマネージャーがチームを見ている」と回答!)

私の感覚値的にも、企業の最小のセールスユニットのマネージャーはプレイングマネージャーである確率が極めて高いように感じています。

日本の営業組織の課題

少し話を変えますが、日本における文系大学生の7割以上が営業関連職種に従事すると言われている中で、そのうちの8割以上が営業職に対しネガティブな感情を持っていると言われています。

また2018年には『子供になってほしくない職業ランキング』がYouTuberに次いで2位の営業(※日刊SPA!調べ)という発表がなされていたのも記憶に新しいことです。

日本において営業にこのようなネガティブな印象を植え付けているのは、営業マネージャーが適切にマネジメント出来ていないことが大きな原因の一つだと考えています。

例えば、営業マネージャーがマネジメントを上手くできないままに業績を追うと、『なんで売れないんだ!』『もっと頑張れ!』など非論理的な指示が飛ぶようになる一方、メンバーは『どこを目指し、どう改善したら売れるのか、わからない』というままプレッシャーばかり強まり答えが見えず、疲労困憊になります。

なぜこのようなプレイングマネージャーが誕生してしまうのかと言うと、企業側がマネジメントとプレイヤーとしての業績の挙げ方の違いを理解しないままトッププレイヤーを”取りあえず”登用するためだと考えます。「マネジメントスキル」というのは全く異なる専門スキルです。

「名プレイヤー名監督にあらず」と言われるように、トップセールスがマネージャーになったとしても、セールスで使う脳みそと、マネージャーとして使う脳みそは全く違います。これを理解しないまま、日本企業は安易にトップセールスをマネージャーに充ててしまい、機能しないケースが多いように感じています。

本来であれば、以下2つは別けて考える必要があると考えています。

・プレイヤー(自分で売ること)を極めるエキスパート
・マネジメント(組織で売ること)を極めるマネージャー

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売る力(だけ)がある人には、マネジメントコースにいかずにエキスパートコースにいくキャリアパスがあり、人や組織をマネジメントせずとも自分が売り続けることで給与も評価も上がる仕組みが整えられてしかるべきだと思います。マネージャー職とは、単なる一役割であって、ヒエラルキーでエキスパート職より上位であると捉えるべきではありません。

具体的に、専任マネージャーとして行うべきマネジメント業務を挙げると、下図のように多岐に渡ります。

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プレイングマネージャーの方、この全てをできた上でのプレイング業務になっていますでしょうか?

私の経験では、この業務を全うした上でプレイヤー業務も務まるのであれば素晴らしいですが、そのようなマネージャーは残念ながらほとんど見たことがありません。

ちなみに、受失注分析だけを例に挙げても下図のボリュームになり相当の工数を使います。(その代わり、効果は絶大です。)

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こんな分析までやっていたら、恐らくプレイング業務なんて通常務まりませんよね。(少なくとも人間的な生活は送れないはずです。)

一応補足しておくと、稀に専任マネージャーでなくとも十分にチームが機能する構造の企業もあります。それは、、
① 営業企画、セールスイネーブルメント系の部署が強く、最小チーム単位の実績、活動情報、案件情報まで分析し施策立案まで行っている企業
② 案件や顧客によって営業活動が変化することのないシンプルな営業(どちらかというと販売職に近いイメージ)で金太郎飴スタイルの営業が正解とされる企業
などです。

プレイングマネージャーにマネジメントスキルがないと何が起きるか(具体例)

まず、マネージャーの役割を時間軸で捉えると、以下2つに分けられると思います。

・チームの現在の売上を最大化すること
・チームの将来の売上の仕込みをすること

しかし、プレイングマネージャーにマネジメントスキルがないと以下のような事象が起こります(身に覚えのある方は要注意です)。

1) 現在の売上が足りないことでチームを詰めてしまう。
⇒『自分だったら売れるのに…』と思い、部下ができない理由がわからない/どう支援すればいいかわからず、フラストレーションが溜まる。
2)『足りない分は自分で売らなければ』と思い、プレイヤーとして立ち回りすぎてマネジメント業務(中長期売上の確保など)が疎かになる。

このように、プレイングマネージャーとして組織の短期的な売上を最大化することにフォーカスにしてしまい、チームの売上が足りない分、自分で数字を作りがちです。

プレイングマネージャーであり続けることで、相対的に、将来の売上の仕込み(戦略を描く、組織を作る、人を教育する、施策を練る、分析をする)は疎かになります。

将来の売上の仕込みをするよりも、自身が優秀プレイヤーであるため売ることの方が得意ですし、今の売上を最大化させたいという方に意識が向いてしまうのでしょう。そして、企業側も短期的にはそれを求めてしまったりするものです…

よって、マネジメント業務の優先順位は低くなり、プレイヤー業務の比率が上がり、あろうことか、メンバーよりもプレイヤー業務により集中しだすこともあります。

マネージャー自身、プレイヤー業務をする以上はメンバーより「自分の方が売れる」という背中を見せないと恥ずかしい気持ちになってしまいますし、むしろマネージャーが売り上げていないと周りは舐めるようになります。「なんで自分より売れていない人に指図されねばならんのだ」と。

こうして、いつまでも目先の数字だけを追うような、変われない営業組織が作り上げられていくのです。つまり、マネージャーが自ら案件を追い受注するプレイング業務を行うことは『絶対に超えてはならない一線』とも考えています。

これは単に「そのプレイングマネージャーが悪い」という話ではなく、企業としての構造的な要因があります。

こうなると、多くの企業は生産性の低さを営業人員数を増やすことでカバーできると勘違いしがちですが、最善の策ではありません。今の日本においては労働人口が今後の20年間で20%減少すると言われている(さらにマネージャー層は30%の減少が見込まれる)中で、一人当たりの生産性を向上しなければ抜本的な解決策になりません。

20世紀最高の経営者と呼ばれた、ゼネラル・エレクトリック社のジャック・ウェルチも、下記のような趣旨の発言を数多く残しています。

環境の変化に対応できないものは淘汰される

この言葉のように、変化出来ず人を増やすことでしか売上を上げられない、となると超労働集約的になって、ただただ組織が肥大化していきます。

変われない組織の象徴である「プレイングマネージャー」の存在は諸悪の根源であり、ここから変えていかないと、いつまで経っても強い営業組織にはなれないのではないでしょうか。

脱・プレイングマネージャーのためにできること

以下4つの観点が重要だと考えます。

1)職務範囲を明確に定義する(プレイヤーとマネージャーの役割を分ける)

ちなみに、マネージャーは絶対に案件を持ってはいけないという訳ではなく、例えば現場感を失わないために案件を1〜2件だけ持っておく、という程度であれば問題ないのではないでしょうか。

2)マネージャーはプレイヤーよりも偉い訳ではないと理解する

マネージャーとプレイヤーは役割の違いでしかない、と認識を揃えておくことが必要です。

3)マネージャーはただの管理者にならない

散々プレイヤー業務をし過ぎてはいけないと言ってきましたが、逆に、ただの管理者にならないようにバランスよく現場に介入することも大切です。例えば一緒に案件に同席する、案件のレビューをする、など。自分が案件を持たずとも、現場をよく知るという意識と活動は必須です。

4)マネージャーはマネジメントの専門性を高める

今までは営業として、目の前のお客さんを口説けばよかったのが、マネージャーになると、戦略・施策・実行を通じて多岐に渡るスキルが必要になります。

例)
⇒数字を分析して何を読み解くのか?市場はどうなっているのか?自社のポジショニングは?どのセグメントをターゲティングすべきなのか?
⇒メンバーとコミュニケーションを取ったり教育するために、正しく言語化できることや、構造化できることなどのロジカルシンキング。

これらができれば、自分が案件を持っていなくても現場を捉え続け、正しい意思決定のもとで、組織を変えながら、中長期の売上を作っていけるマネージャーになれるはずです。

ご本人はもちろんではありますが、企業としてもこうしたスキルを極められる環境をつくってサポートすることが必要不可欠です。

僕は、個人的にも日本の営業をアップデートするために、そのセンターピンであるマネージャーにテコ入れをし、プレイヤーとは全く違う角度からの営業マネージャーという専門性を定義して教育出来る仕組みができる未来をつくりたいと考えています。

以上、耳の痛い方も多かったかもしれませんが、多くの方が悩まれてるポイントだと思います。
⇒専任マネージャーになるにはどうすれば良いのか、明確にわからない方
⇒営業マネージャー育成の仕組みが整っていない企業の方

まずは30分無料でご相談に乗らせていただきますので、お気軽にお問合せください。

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