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農地の状態をデータで可視化する

今回の記事では、学部4年生の山田さんが、先日北海道千歳市のハスカップ農園にご協力いただいて行った実験について、ご紹介します。

〇千歳市

千歳市は、新千歳空港に近くアクセスが便利で、広々とした道路はドライブに最適です。千歳駅周辺は賑わいがあり、少し車を走らせれば、畑や森が広がるとても魅力的な街でした。もちろんグルメも豊富です!(記事後半におすすめの北海道グルメ情報なども載せているので、ぜひご覧ください!)

状態の可視化とは?

私は、家の庭のミョウガに水をあげすぎて、枯らしてしまったという苦い経験があります。一方、同じようにたくさん水をあげていたゴーヤは見事に育ってくれました。皆さんも家庭菜園や畑仕事などで、このような経験はないでしょうか?ミョウガやゴーヤがそれぞれ「もう水はいらないよ」「もっと太陽に当ててほしい」などと言ってくれれば良いのですが…。
山田さんの実験では、この野菜たちが求めているものを、データを使って目に見える形にすることができます。

〇実験内容

この実験には、パソコンやドローン、センサデバイス (温度や湿度が測れる装置) などを使います。センサデバイスは、マイコン(Arduino)に各種センサやバッテリを取り付けて自作しました。
まずは、ドローンなどを使って農場、作物の写真を撮ります。ここで撮影した写真から、フォトグラメトリという方法で3Dモデルを作成します。

次に、農地にセンサデバイスをたくさん置き、土に含まれる水分や温度、湿度などのデータを集めます。収集したデータを人が回収しに行くのは大変なので、無線通信で飛ばしたいのですが、Wi-Fiは飛んでないし、回線を契約すると意外と高い・・!そこで今回は、センサデバイスに取り付けたLEDの光でデータを送受信しました。ドローンのカメラで光を撮影して、画像処理によってデータを読み取ります(この手順について詳しくは、「OCC」の記事をご覧ください)。

こちらがセンサデバイスです。                                                                                             
                           
センサデータを光の信号に変換します。                            

ドローンカメラと光通信によって得たセンサデータを、先ほど作成した3Dモデルへと統合する方法について、研究を進めています。このような、フィジカルな状態をサイバー空間上で可視化するような取り組みはデジタルツインと呼ばれます。

フィジカルな状態をサイバー空間上で可視化している様子。                         

この技術によって、現地で目視しなくても遠隔から農地の状態がわかるようになったり、きめ細かな管理ができるようになったりすると考えられます。例えば、同じ農地の中でも作物の生育状態が異なるようなとき、きめ細かなセンシングによって、温度や水分の不均一性が分かる、といったことが期待できます。生育状況もセンサデータも、まるっと統合して可視化できたら、遠隔からでも、あるいは経験の浅い人でもデータに基づいた判断を行いやすくなるはず。
このように、センサデータを可視化することで、効率的な農業管理や資源の最適化が可能になるのではないかという実験をしています。
この実験で農業の未来に貢献できると嬉しいです。

"今後の実験もうまくいきますように…"

今回初めて自分が主体となって外部での実験を行った山田さんにお話を聞いてみました。

(ちなみに、先ほど登場したセンサデバイスは山田さんが一つ一つ手作りしました。)

〇研究のきっかけ

「母が、ガーデニングが好きで、家に木や草花が植えてあったことから自然が好きになり、小さな頃から農業に興味を持っていました。
また、ゲームをするのが好きで、3DやCGにも関心がありました。
そこで、中山先生から農園の3D化(点群データ化)を扱う研究を提案していただきました。大学で学んできた『情報システム』と、小さな頃から興味があった『農業』を組み合わせた『スマート農業』の研究はとても魅力的で、このような研究を提案してくださった先生にはとても感謝しています。」

※「スマート農業」とは?
 →「スマート農業」とは、
 「ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用する農業」のこと。
 (出展:https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/

〇大変だったこと

「実験前に、実験で使用する20個のセンサデバイスのプログラミングや組み立ての作業をするのが、集中力や時間を要するので大変でした。また、実際の実験でも、計画よりも時間がかかってしまってしまい、実験の難しさも感じました。実験は、実験当日だけではなく、実験の前からの準備や計画が大切だということを学んだので、次回に活かしたいです。」

〇楽しかったこと

「実験当日は、自然が好きなので農地に行くだけでも楽しかったです。実験では、自分で作成したセンサデバイスがうまく作動して光を出力したり、センサデータを採取していたりしたときはとても嬉しく、やりがいを感じました。
また、研究以外では、千歳科学技術大学の吉本先生にジェラート屋さんや世界遺産に連れてっていただいき、学生さんたちともジンギスカンを食べに行くなど交流できたことが楽しかったです!」

〇学んだこと

「実験は一人ではできないものなのだということを学びました。移動や装置の設置作業などたくさんの作業があり、千歳科学技術大学の吉本先生、吉本研究室の及川さん、同じ中山研究室の名取くんには、本当にたくさん実験を手伝っていただきました。手伝ってくださった方々のおかげでたくさんのデータが採れました。
そして、農家の方に農地を貸していただいたおかげで、東京では不可能なドローンの飛行や農作物の撮影などを行うことができました。
また、実験以外でも、千歳科学技術大学の皆さんと一緒にジンギスカンを食べるなど楽しい時間を過ごすことができました。実験に来て、まさか新たな交友関係を築けるとは予想していませんでしたが、最後には空港に見送りに来てくださった方もいて、とても嬉しかったです。
たくさんの方のご協力のおかげで実験ができ、良い経験が出来たことに心から感謝しています。」

実験に同行してくれた名取君にも感想を聞いてみました。

「千歳科学技術大学の皆さんには、農場の実験でLEDパネルの設置などたくさんご協力いただき、お世話になりました。また、ジンギスカンを一緒に食べに行ったことが思い出深いです。歓迎していただき、とても楽しく、嬉しかったです!今回4年生のみの実験で正直かなり緊張していましたが、すごく温かく接していただき、感謝しています。おかげさまで北海道での実験をしっかりとおこないつつ、北海道を楽しむことができました!」

たくさんお世話になりました。

今回お世話になった「北海道千歳市」のおすすめスポット紹介!

北海道グルメ!

①スープカレーGARAKU
実験に協力していただいた千歳科学技術大学の学生さんがオススメしてくれたスープカレーを食べました。 肉も野菜もしっかり味がして美味しかったです!
(お店→  https://tabelog.com/hokkaido/A0107/A010701/1069655/

②「きくよ食堂」の海鮮丼
かに&イクラの美味しい海鮮丼を新千歳空港で食べました。魚臭さが一切なかったので、海鮮系があまり得意ではない人でも美味しく食べられると思いました。特にいくらの味が印象的で、デパートで買ったものよりもマイルドな味に感じました。
(お店→  https://tabelog.com/hokkaido/A0107/A010701/1054111/

③「花茶」(カチャ)のジェラート
「北海道に来たのにアイスクリームを食べていないのは良くない」と実験でお世話になった千歳科学技術大学の吉本先生がジェラート屋さんに連れて行ってくださいました。地元の方のおすすめのお店はやはり美味しかったです!ご当地ならではのハスカップ味もありました。
また、お店の近くには花茶農園という広い畑があって、時期によってはイチゴやブルーベリーの摘み取り体験もやっているとのことです。イチゴは露地栽培のものが3種類もあり、食べ比べも楽しめそうです。
(お店→ https://www.kacha-ice.com/

④「きのとや」のソフトクリーム
中山研究室の近藤さんがオススメしてくれたお店に行きました。本当に誇張なしで「でかい。重い。これホントにソフトクリーム?」以外の感想が出てこないくらい衝撃的なサイズと重みです。さらに口当たりがすごく印象的で、柔らかいのに溶けていかないという初めての感覚でした…。味は濃厚なのにくどくなく、無限に食べられそうで、口どけも素晴らしかったです!
(お店→ https://www.kinotoya.com/)

⑤「ささきつみとり農園」
今回の実験でお世話になった「ささきつみとり農園」さんでは、北海道ならではのハスカップの摘み取り体験が6月下旬~7月中旬に楽しめます。熟したハスカップを食べさせていただいたら、甘さよりも酸っぱさの方が強く、クセになる味でとても美味しかったです!ハスカップのジャムやジュースも食べてみたくなりました。
(HP→ https://sasakifarm.net/
(Facebook→ https://www.facebook.com/sasakihascup?locale=ja_JP

こんな貴重な体験も!

〇ポケモンジェット
行きの飛行機は、ポケモンジェットでした。飛行機の外観だけでなく、機内にもポケモンがいて、機内食のスープの紙コップにもポケモンが描かれていて、テンションが上がりました。

〇キウス周堤墓群
見た目はただの丘のようですが、実は北海道にしかない珍しい形の縄文時代の古墳で世界遺産にもなっています。驚くことに近くには国道が通っています。千歳科学技術大学の吉本先生に連れて行っていただき、楽しい思い出になりました。
(HP→https://jomon-japan.jp/learn/jomon-sites/kiusu

※ちなみにキウスとは、アイヌ語の「キ・ウシ」(かや・たくさんある所)からつけられた名前です。遺跡(いせき)の近くには沼(ぬま)があり、たくさんかやが生えていたのでしょう。
(出典:https://jomon-japan.jp/kids/learn/map/kiusu/

最後に

この記事で、こんな研究があるんだということを知っていただけたら幸いです。頑張ってねと思ってくださったら、下のハートを押していただけると励みになります。
そして、北海道に行く機会がありましたら、ぜひこの記事でご紹介したおすすめスポットにお立ち寄りください!



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