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お母さんより 2022.11.5.

お父さんもお母さんも、そしてきみ自身も慌ただしかった生後8ヶ月。
また遅くなってしまったけれど、節目にきみに向けて1ヶ月を振り返っていくよ。
どんな30日間を過ごしたんだっけね……

前回のお手紙……

生後9ヶ月までのあゆみ

人生初の中耳炎

手足口病発症から2週間くらい経ったある日の深夜2時。
普段の途中覚醒とは違う、弱々しくも悲痛なぐずり声。
抱っこしてみると、きみの身体が熱い。
いつもよりほんのり、熱い。

すぐに小さな脇の下に体温計を挟むと、39.4℃と高熱になっていた。
その日は少し肌寒くてパジャマの下に肌着を着せていたので、汗もかいているしと着替えをさせて、授乳をしてみる。
よかった、おっぱいを飲む力はあるみたい。

夜間外来に駆け込もうか?以前もお世話になった#8000にお電話してみようか?色々考えたけど、おっぱいも飲めるし抱っこをしてあげるとすやすや眠ってくれて。
5時近くには38℃弱までお熱もひいてきたので、病院が開くまでそのまま一緒におうちで過ごしたね。

お医者さんがすぐにお耳の中を診てくれて、中耳炎という診断が出た。
お薬を3種類もいただいて、ちょっと変わったご飯の前のデザートを3週間近く続けた。
ありがたいことに嫌がるそぶりもせず(ゼリーが美味しかったんだね)、ちゅるちゅると甘いお薬を吸い込んでいく姿に、ホッとするやら不安になるやら。

病気って辛いよね。
身体の辛さはどうしてもわかってあげられないけど、きみとはまた違った種類の辛さをお母さんも同時に通過して、また一緒に回復して。
健康第一だけど、これからも力を合わせて乗り越えようね。

さよなら、保育園

いよいよその日が来てしまった。
短い期間だったけど、本当にお世話になった生まれて初めての保育園とのお別れ。

振り返って思う。
本当にいい保育園、先生たちだったね。
きみの成長を、お父さんお母さんと一緒に喜んでくれて、きみの一挙手一投足を観察してくれた。
幼いきみをちゃんと一人の人間として見てくれて、可愛がって、育み、愛してくれた。

お友達だってそう。
みんなきみを好きでいてくれて、一緒に遊んでくれたよね。
いつも気にかけてくれる1歳クラスのお姉さんや、同い年の色白ぷくぷくなお友達。
積極的な性格のきみにいつもびっくりしていたみたいで、お迎えの度に「今日はいたずらしなかったかな?」とソワソワしていたお母さんだったよ。(先生は、「大丈夫ですよ〜」と言ってくれていたけどね)

きみの0歳は、保育園の先生やお友達なしには語れないよ。
2ヶ月半、素敵な思い出を作った場所があの場所にあったこと、心のどこかにしまっておいてくれるといいなぁ。

ここはどこ?初めてのお引越し

保育園を退園して2日後、生まれてから過ごしてきたおうちを離れて新しいおうちへ。
おうちに帰るのにエレベーターに乗るのだって、おうちにベランダがあるのだって、畳のお部屋だってすべてが初めてだったね。
少し大きくなったおうちに初めて着地したきみは、いささか戸惑い顔できょろきょろと周囲をよくとらえていたように覚えているよ。

一度、悲しそうに泣き出したきみの様子がなぜか気になったことがあった。
眠いわけでもお腹が空いたわけでも、おむつが気持ち悪いわけでもない。
何かいたずらしようとしてお父さん・お母さんに阻止されたわけでもない。

きっと、怖かったんだね、帰りたくなったんだ。
みんなで暮らした、あのおうちに。
そう思って、お母さんもとても切なくなって、ぎゅっときみを胸に抱いた日があった。

積み上がっていた段ボールもすっかりなくなって、日常が回り始めた今は、きみも我が物顔で家中を探検しているね。
王さまの行進のように堂々とハイハイをして、ソファやハイチェアに手をかけてつかまり立ちするきみを、誰も止めることはできない(止めるけどね)。

きっとこのおうちは、前のおうちよりも長いおつきあいになると思う。
広かったはずのおうちが小さく感じられるその日まで、そしてそのあとも。
家族で幸せな時間を刻んでいこうね。

親子で楽しむ新天地

引っ越しが落ち着いて、昼間はお母さんときみと二人だけの時間。
家にいても飽きちゃう!ということでいろんな場所に遊びに行ったね。

前に住んでいたところはいわゆる閑静な住宅街。
静かで周りに大きなお店もなく、駅から1分も歩けば鳥のさえずりや車数台の走行音だけが響く場所。
そこから一変して高いビルが立ち並び、立ち並ぶお店の群れに、どこへいこうか目移りしちゃうくらい。

刺激的な街で少しずつ心地よい場所、心を許せるお友だち、お気に入りの空間を増やしていく作業は、楽しい気持ちに一滴心細さを垂らしたような気持ち。
でもきみの笑顔がいつもお母さんに力を授けてくれるし、不安や寂しさも滲んで見えなくなっていくよ。

なんだか魔女の宅急便で、修行の街に降り立った魔女のキキみたいだね。
ワクワクと、ソワソワと、ドキドキと、シュンと。

きみもお母さんも、この街を自分の街だって思える日が来るまで、たくさん探検して、知って、飛び込んでいこうね。

0歳の気持ちの伝え方

つかまり立ちやハイハイによる危なっかしさは健在なきみ。
この1ヶ月で追加された新しいきみの成長があるんだ。

それはね、自我の芽生え。

よく、きみが危ないことをしていると、お母さんが抱っこして違う場所に移動しちゃうよね。
オムツ替えの時に寝返りしようとしていたら、「ちょっと待って!」と言ってもう一度仰向けにしようとするよね。
おかゆで汚れたきみの口元を、ウェットティッシュで拭こうとするよね。

そんなとき、きみは決まって唸る。
「うううう」って唸って、手を大きく振って「嫌だ!」を表現する。
大人にもしっかりと伝わるように。

一回にまとまった量のミルクを飲めないから、200ml入れても150mlくらいしか飲めないきみ。
お腹いっぱいを表現するのにも、眉毛をグッと中央に集めて、小さな手で哺乳瓶を力一杯押し退ける。
「もういらない!」以外のメッセージでは解釈できないくらいに、上手にきみの気持ちを伝えてくれる。

NOの表現を、涙や泣くことだけに頼らず別の方法で示すようになったこと。
きみとのコミュニケーションがさらに一歩進んだような気がして、当たり前だけど「子どもだけど、私が育てているのは本当に人なんだな」と嬉しくなったりして。
そして数年後の未来で、お母さんにも通じる言葉で「やだよ!」「お腹いっぱい!」を伝えてくれるきみが想像できるようになって、今からお話しするのがすごく楽しみになったんだ。

毎日の絵本は、お話しできるようになったときの言葉の選択肢を増やしておくため。
慣れない英語でも絵本を読むのは、きみが一つの言語や方法に頼り切ることなく、いろんな方法で思いを伝えられるような人になってほしいから。
まぁでも、健やかに幸せに生きてくれたらそれだけでいいのだけれどね!
また新しいきみを見せてくれて、本当にありがとう。

最後に

生後9ヶ月になって1週間ほど。
この期間もまた特急電車のように猛スピードで過ぎ去っていって、毎日の育児日記は最近滞り気味。
人間の頭って賢くあるためにも、情報をインプットした分淘汰されていく記憶も多い。

きみと過ごす0歳はあと3ヶ月を切ってしまった。
写真や映像のセンスがまるでないお母さんは、こうして文章をしたためることでやわらかく思い出を刻んでいくね。
また来月も、その次も、きっとその先も。

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