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1分ショートショート:『お空のレストラン』


時計が真夜中を指す頃、一人の少年が膝を抱えて窓の外を眺めます。お母さんが恋しい…。流れ出る涙を拭い、ぎゅっと顔を膝にうずめて。少年のお母さんは少し前にお空へと登っていきました。大好きだったエビフライも、ピーマンの隠れたハンバーグも…もう二度と作ってもらえる事はありません。

テーブルに並んだホカホカの料理。『おいしい?』優しく首を傾げたお母さんの問いかけに、素直に答えられなかった日々がチクチクと少年の胸に刺さります。美味しくて美味しくて、何ばいだってお代わりできたくらいだったのに。。。

少年はふと立ち上がり、エンピツと紙切れを取り出します。【お母さんへ】もくもくと書き続けます。恥ずかしくて言えなかった言葉達を、へたっぴな字で綴ります。お母さんの問いかけに目一杯答えるように…もう届かないと分かっていても一生懸命手紙を書きました。

『いまさらでごめんなさい』窓辺にそっと手紙を置くと、手紙は夜風に吹かれて舞い上がります。見る見るうちに空高く上り、やがて見えなくなりました。少年の瞳に涙が浮かんだその時、夜空がぴかっと光ります。『1、2… 5つ星!!!』ふふっと笑い声が響き、

『ありがとう』母の優しい声が聞こえました。



『お空のレストラン:5つ星レビュー』
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これは立山さんの詩『電話の缶詰』から生まれたショートショートです:)

久々にショートショートものすごく書きたいと思わせてくれた立山さんの詩は、暖かくて 優しくて…コメントを書いている時に、あぁこれをお話にしたいと そう強く思いました。
ちょっとした一言に詰まっている沢山の愛情を缶詰にして届けてくださってどうも有難うございます立山さん:)


そして…この形式…ふふふ。そうです…このお方…

毎日読めなくなってしまったので叫びます。。。
I miss you 小牧さん!!!


久々のショートショートでした:)


七田 苗子


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