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ここ最近読んだ本(東南アジア関連と小学生向け伝記)

東南アジア史関連

海の東南アジア史

昨年タイで買って(タイの紀伊國屋はやはり東南アジア関連の日本語の本が多い)ちょっと読んでみたものの、マレー半島の話が多く、インドシナが少なかったので途中で辞め、ふと年始に残りを読んでみようかなと思いついたのでした。

東南アジアそれぞれの国とその宗主国の物理的・精神的な距離を縮めるためニャイと呼ばれる現地女性が非常に大きな役割を果たしたという、興味深い本でした。

ベトナムの章では、1910年代まで北部・中部ベトナムでは科挙が行われ、南部ではフランス語学校が設立されたそうです。北部は中国の影響を非常に強く受け、南部は中世はアンコール、近世はフランスの影響を受けているということでしょうか。あまりに違うバックグラウンドに、統一するまでの長い道のりを実感したりしました。

インドシナ王国遍歴記

廃刊になっているため、中古本の値段が上下しているようです。2024年2月現在2,170円の値がついていますが、2023年半ばに購入したときには950円でした。

1850年代にフランス人のアンリ・ムオがタイとカンボジアを探検し、アンコールワットの詳細を世界に初めて紹介した、紀行文です。なんせ170年前なので、旅行なんて気楽なものではなく、生死をかけた移動や宿泊にハラハラします。

アンコールワットの章は、絶賛の嵐です。

この寺を見ていると魂はつぶれ、想像力は絶する。ただ眺め、讃欺 さんたんし、頭の下るのを覚えるのみで、言葉さえ口に出ない。この空前絶後と思える建築物を前にしては、在来の言葉ではどうにも賞めようがないからである。

最初はムオのプノンペンを見下した態度に腹が立つのですが、当時のバックグラウンドを考えて「その時はそういうものだった」と一旦脇に置くと、170年前の宗主国と植民地の関係がリアルに感じられて興味深いです。

カンポットを旅した時には、この1850年代に既にカンポット港の商人の9割が中国人だったそうです。シハヌークビルなどの港はこの数年で突然中国の街になったイメージがありましたが、突然歴史は変わったのではなく素地はあったのかなと思いました。

また当時はトンレサップ湖に杭が打ってあり、そこがカンボジアとシャム(現タイ)の国境があったそうで、知識としては知っていても実際のその記述には驚きました。その頃からアンナン人の水上生活者は2〜3千人いて、「王も役人もその正確な数字を上げることはできない」とありました。

伝記・歴史(英語圏小学生向け)

キャサリン・ジョンソン

ホーチミンFahasa書店で購入。アフリカ系・女性と二重のハンデを負いながら数学者としてアポロ11号を月面着陸させた陰の立役者です。かなり勇気づけられます。このシリーズ、子供向けの本なのにイラストや構成が子供っぽくなく、読んでいても楽しいです。

ミシェル・オバマ

バンコクの紀伊國屋で購入。知っているようで知らなかったファーストレディのミシェル、ハーバードロースクール出身の弁護士ですが、祖先は父方も母方も奴隷として連れてこられた人もいたそうです。

キュリー夫人

こちらはAudibleで購入したので、ジムでワークアウト中に聞いていました。
女性の伝記は、数が少ないです。1,800年以前は女性の伝記はほぼなく、キュリー夫人は数少ない1,800年代の女性の偉人です。

ポーランド出身で、フランスで大学に入ろうとしますが、「女性の学生」という名詞がフランス語になかった時代でした。大学に女性用のトイレもなく、苦労したそうです。
自分で発見した放射線のため亡くなってしまい、10年後には世界の歴史を変える武器として使われるなんて想像もしなかったと思います。

デヴィット・ボウイ

すっかり忘れていましたが、高校生の時に大ファンでした。Ziggy Stardustを聴きながらゴロゴロして読んでみると、もう懐かしすぎて涙が出そうで、またあの頃「英語がわかれば、歌えるし、意味わかるし…」と強く思っていたのが、30年後には(年齢バレる)突然近づいていることに気がつき、感慨深かったのでした。

1987年にベルリンの壁のすぐ近くでコンサートを行い、"Heros"という壁でのこちらと向こう側で住んでいる恋人の歌を歌いました。当時はニュースで見た記憶が朧げにあったもののよく分かっていなかったです。ここでベルリンの壁の本も家にあったなと思い、次にもう一回読むことにしました。

ベルリンの壁

ドイツ映画「トンネル」と「グッバイ・レーニン」で壁ができた時と壁が壊れた時のイメージはなんとなくありました。全体を知ることができ、小学生にわかるようなやさしく書かれた本としてこの本は素晴らしいです。

ベルリンの壁崩壊の時には中学生でしたが、あの時は昭和が終わったというニュースの方がショックでした。バブル景気で外はよく見えなかったけど、改めて考えてみると、世界は激動していたのだなと思います。

任天堂

Fahasa書店で買いました。これは面白かったです!(微妙に挿絵が日本でなくて中国っぽかったりするのですが)

アタリへの不満からゲーム機が売れなくなったアメリカで、ニンテンドーが彗星の如くやってきて、市場をかっさらっていく様子が日本の成長期と重なって見えます。セガと首位争いしたり、ゼルダの伝説の生まれた背景を解説したり、日本の漫画からニンテンドーゲームシステム(ファミコン)が生まれたなど、知らないこともいろいろありました。

歴代ゲームシステムの解説にもなっていて(最新はニンテンドースイッチ)親子二代でニンテンドーはお世話になっているのだなあと思いました。


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