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貴重だったはずのお盆休み

運動や根性。そうしたものとは無縁に見えるのだろう、「中学の時はテニス部だったんです」と話すと、驚かれることが多い。

厳密にいえば、ソフトテニス部だ。中1から中3までの3年間、きっちりと通い、引退した。さほど強い部でもなければ、どうしようもないほど弱い部でもない、中途半端な部だった。顧問は全員経験者で、だからこそ指導にも熱が入っていたように覚えている。

部活は、とにかくつらいものだった。何度「運動部なんかやめときゃよかった」と思ったか知れない。

それでもなぜ辞めずに引退まで所属し続けたかといえば、単純に辞めにくかったからに過ぎない。今はどうだか知らないが、当時の運動部は「入ったら(基本的には)死にものぐるいで3年続けるべきもの」だったから、顧問に申し出にくかったし、先輩の目も怖かった。

非常に残念なことに、当時わたしが通っていた女子校はものすごく荒れている暗黒の時代を迎えていて。とにかく先輩たちが怖くて怖くて、必死に目立たないようにひっそりと生きていた。

部活は毎日、休まずあった。入部前には週に一度は休みがあると言われていたのに、入ってみたら結局あってないようなものだった。土日ももちろん休みなし。長期休みも、ほとんどが部活に消えた。

そんな中で唯一、休みが取れたのがお盆と年末年始だ。もはやサラリーマンと一緒である。青春っていったい。

あの貴重な、待ちに待ったお盆休み、わたしはいったい何をして過ごしたんだったか。お墓参りに連れ出されたのかもしれないし、溜まった宿題を片付けるのに費やしたのかもしれない。なんにせよ、たいしたことはしていなかったのだろう、まともな記憶がない。

あのつらかった3年間はなんだったのだろう。中途半端な部でしごかれながらひーひー頑張っていたわたし達は、それでも結局たいした記録は残せずに引退した。あとに残ったのは「テニスはまあ、好きだよ」「あー、久しぶりにテニスやりたいなー」という思いだけ(やることはない)だけれど、かけらが残っただけ良かったのかもしれないな。


ここ数年の夏の暑さは異常だ。もしかすると、異常が通常になってしまったのかもしれないけれど、それでも学生たちは炎天下を走り回っている。グラウンドを、あるいはテニスコートを。

好きな時に水を飲むことすら「甘えだ」と許されなかった当時と事情はだいぶ違うだろうけれど、それでもああやって走る彼ら、彼女らの姿はほんのちょっぴり、当時の自分と重なるものがある。

きみたちも、お盆は休みなのかな。

今回のお題「お盆」「部活」

#脳トレマガジン #ライター #部活 #お盆 #夏休み #夏の思い出 #テニス  

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