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人と旅する楽しさを教えてくれた最西端ポルトガル

家族でフィレンツェに滞在している朝5時。ふと一人で散策に出かけた。
街には私と大きなバックパックを背負った若者しかいない物静かな印象。
そんな人気のない空間。彼を見ていると5年前の私を見ているようだった。

あの出来事が起こるまで私の旅はいつも1人だった。

1人旅の出発点は8歳の夏。新宿発松本行きの特急あずさで祖父母に会いに。さらに青春18切符を使った鉄道旅も。10代で旅がすっかり風物詩に。

大学生になると、初海外をマルタに留学、そしてイギリスも。
世界を知ることが好きになっていた。

大学4年生、「どうにかなる」との考えでやっていた就活も無事終わり。
頭の中は「旅、旅、旅」の一色。たいてい1人で旅をする私だが、ゼミの同期と欧州を巡ることに。旅のルートは長くなるので割愛するが、9カ国19都市を6週間かけてバックパッカーをした。

ロンドン、マルタ、フランクフルトを周遊して訪れたのが、今回の舞台ポルトガルはリスボン。

まずポルトガルを旅のルートにしたのは、私にとって暗黒の時代である浪人時代に遡る。
大学受験に失敗して2年も浪人生活を送ったあの日々。
大っ嫌いな世界史では大航海時代、フランシスコ・ザビエル、種子島への漂着などたくさんのキーワードを習い、夏期講座でもボタン、カボチャ、カルタなどの外来語がポルトガルから入った言葉と初めて知った。
そんな記憶を思い出し、あんなに受験勉強で学んだんから自分の目で見てみようと。

人生ではインプットだけでなくアウトプットも大事。
単純な動機である。カステラの本場の味を知りたいのも。
さらに旅人に人気の国でもある。裏付ける理由として名だたる都市をおさえて、世界のベストホステルの上位4つがなんとリスボンなのだ。私が宿泊したのはHome Lisbon。
どこか懐かしさを感じさせるマンマの手料理が食べられることが決めて。
扉を開けた瞬間から家に帰ってきたかのような雰囲気を醸し出していた。
とにかく私はホステルが好き。施設の当たり外れがあるのはもちろんだけれども、同じ部屋に国も言葉も文化も違う人と出会えるワクワクには代えられない。

相棒とは別々の予約のため部屋が違うことから明日の予定をスタッフにオススメを聴きながらロビーで計画を立ててこの日は終了。

今回は、男女共有の6人部屋。
部屋を開けるとアジア系のどこか日本人にも見えなくない人がいた。
突如聴き馴染みのある言語で話しかけられたが、ほとんど理解できなかった。
すると「日本人ですか?」と流暢な日本語で語りかけてきた。
そう彼は韓国人。私も高校時代の第二外国語で学んでいたからハングルを読む程度なら。
アジアのハブ空港で有名な仁川で大学生をしているとのこと。
初めて出会ったのに、1時間以上立ち話をしていた。           
これがホステルの醍醐味。
話を続けるとどうやら明日の目的地、
行きたい場所が同じ出会った。
ひょんなところから3人で旅をすることになった。相棒には朝まで言ってないけれど。

同じ部屋には他にも2人。ドイツはドレスデン出身の女子大生。彼女は大学の冬休暇のよう。もう一人は、フランスはパリ出身のロレーナ。世界一周をつい最近始めたそう。
夜な夜な4人で話した数時間はお金では買えない有意義なひと時だった。

日が昇り、相棒に新しい旅の仲間を伝えた。彼はびっくり仰天していた印象。
それからロシオ駅を出発して50分、
シントラ駅に到着した。
小さくなんとも可愛らしい駅舎だ。平日だからか人は少なめ。
駅前から出ている403番のバスの2人がけ椅子に前後に別れて座った。
すると1人のアジア系の男性が私の横に座った。

日本でならバスの中で他人に話しかけない自分だが、この時ばかりは違った。
「どこから来たの?」って。
彼は中国人で高校の頃からオランダはロッテルダムで生活していると。
日本と韓国だし、ここに中国が混ざったら、なんだか面白いなって脳裏に。
「一緒に1日旅する?」って聞いてみた。
すんなりイエスがきて、なかなか面白い展開になってきた。
それから車窓を見つつ、4人による自己紹介タイムが始まった。

一度話したらすぐに仲良くなってしまうこれまた旅の不思議な力。
話に夢中であっという間に目的地に到着した。

ここはロカ岬。
ユーラシア大陸の最西端として多くの
ツーリストが訪れる地。

インフォメンションセンターでは到達記念の証明書を日付付きで発行してくれる。なんとも嬉しいサービスだ。

詩人カモン・インスはこう詠んだ。
「ここに地果て海始まる」周りを見渡すと果てしない海、波の音が「ザワー、ザワー」とBGMのように聞こえてくる。一面には緑のアイスプラントが咲き、絨毯のようにも見えてくる。

そんな岬を歩いていると1人のアジアンビューティな女性に写真をお願いされた。
この岬はヨーロッパであるのに辺りを見渡すと我々しかいない奇跡。
立ち話をまたここでもして、仲間として旅をともにすることに。
仲間が増えると言えば、昔話で言えば「桃太郎」、アニメで言えば「ワンピース」。まさにそんな状況。

そうそう彼女も中国人。上海からどうしても訪れたかったポルトガルをキャノンの1Dと望遠レンズを持って一人旅しているそう。

そんなこんなで東アジアの国境を超えて5人で残りのシントラを旅することにした。

て、これでもかとお互いの国を知り、また笑って、「この1日がずっと続けばいいのに」と思えるような時であった。

冒頭で触れた通り、今までの旅は一人旅が中心だった。計画から宿泊、食事も全て自分のペース。
誰にも気を使う必要もなく自由に旅ができるスタイル。

ただこの異国の旅で、国籍、文化の違う人と出会い、貴重な経験値を獲得した。一人での経験より複数人で経験を積むと
何年経っても「あの時こうだったよねー」と回想できる。
それはSNSが発達している時に生まれている我々の最強ツール。

それからシンガポールやマルタ、イタリア、日本でも仲間と旅をしたり、街中で仲間を探したりと現在のスタイルを確立した。

旅だけではない。「人」への興味が旅から領域を広げ仕事に。
これまで何千人と人を理解するインタビューをしてきた。

そんなきっかけを作ってくれたポルトガルは私の財産であり、また同じ仲間5人で訪れたいと切に思っている。


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